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初期王朝時代 黎明期
Scorpion T
王朝の首都;ヒエラ・コンポリス(古代名ネケン)
埋葬地;アビドス ウンム=エル・カアブ U-j
出身地;不明
家族構成;不明
上エジプトに最初の王国を築いたとされる王。即位名などは不明。出土品に描かれたサソリの標章から、こう呼ばれている。現在知られている限り、王権が成立してから最初の「王」で、この王とその一族と思われる初期の王たちは連続してアビドスに墓を築いている。
●この時代の信仰
この時代にはまだ文字体系がきっちり成立しておらず、文献資料がないため信仰については不明点が多い。おそらく神話体系についても整理されておらず、漠然とした原始的な信仰のみ存在したのではないかと思われる。ただ、ホルス神、ハトホル女神については既に原型が存在していたことが分かっている。その他の神々がどのような形で存在していたかは不明だが、サソリの標章がセルケト女神を指すのではないかという説もある。
●時代背景と文化
古代エジプト世界の「歴史期」は、ここから始まる。
王朝以前の文明では、ナイル下流で発展したファイユーム文化(小麦などメソポタミア由来の農法はこの文化が最初)やメリムデ文化、バダリ文化を継承するナカダ文化がそれぞれに独立していた。その中から勢力を広げていくのが上流のナカダ文化で、下流へ広がる過程で小麦の農法など後の王朝の基板となる他の文化の特性を取り込んでいったと思われる。ナカダ文化の特徴はいち早く階層的な社会構造を作ったこと、熱心に墓創りを行なっていたこと、金属器(銅)を取り入れたことなど。特徴的な土器がナイル下流域でも見つかるようになる時点から「文化の統一」、王朝の基盤づくりの時代へと入る。つまりは、王権が誕生してエジプト全土に支配を広げていく過程で、支配者の文化が支配的になっていったのである。
スコルピオン王の時代は、厳密に言うと、この「ナカダ文化」の第三期(ナカダV)にあたる。
この時代までに、エジプトは既にシナイ半島への遠征などを行なっており、メソポタミアやシリアなど外国都市を経由した交易によるアフガニスタンからのラピスラズリ輸入の痕跡も見られる。少なくともヌビアおよびパレスチナとの交易関係があったことは、現地で発見された土器から証明することが出来る。
エジプトに先立って発展したと思われるメソポタミアのシュメール人たちの文化は、紀元前3,000年頃には既に頂点を過ぎ、次の時代に入りつつあった。
●オマケ
もしかして: 古代エジプト初代王、めっちゃ酒飲みだった
スコルピオン王の墓の埋葬物、ほぼ酒であるという話。
酒の大量生産が出来るだけの物流や製造ラインは既にあった、という証明でもある。
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