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タイトル シュメールとエジプトの神さま
記事No 2748
投稿日 : 2007/09/03(Mon) 15:34
投稿者 greenbard
参照先 http://hetappi.gozaru.jp/
シュメールとエジプトの対比、非常に面白いなーって思いながら読みました、日記。ボクはシュメール神話は最近、取り掛かり始めたばっかりなので、あんまり深く掘り下げられていないのですが、岡沢さんの仮説とは別にもう1つ提示してみたいと思います。

仮説4:シュメールではジッグラトが建設されている

もちろん、最初は都市神として出発した神さまだと思うんです、シュメールも。でも、文字が成立した時点で、すでにある程度、神話は整理・統合されていて、神さま=天体神というのがシュメールの神さまの特徴になっていたんだと思うのです。《神》を表すディンギルが「星」の象形文字なのがその根拠です。(エリアーデの言葉を借りるなら)シュメールの神さまたちは天空に住んでいるわけで、そのために、大地に降りて来る際に神さまが降り立つ基地みたいなものが必要になるんです。だからシュメール人たちはジッグラトを建設することになる。ジッグラトみたいな大規模なものはそんなにあちこちにぽこぽこと造れないので、最初に建てられた場所(つまり都市神として成立した場所)がそのまんま必然的に神さまの本拠地(一大宗教センター)みたいになっていく。そんな印象を持っています。

実際、各時代の王さまはジッグラトの改修は積極的に行なっていますが、移設や新設ってほとんどない。老朽化して取り壊しても、また同じ聖所内にジッグラトを造っているわけです。ジッグラトのそばにはその神さまの神殿も別途ちゃんと造られているので、神殿とジッグラトには別々の役割・機能があったはずなんですよね。シュメール人はジッグラトに何らかの特別な意味づけをしていたはずなんです。

それぞれの神さまのジッグラトが総本山的な場所に1つしかないために、神さまはその土地から離れることができなかったのではないでしょうか。主要な神さまたちがそんな性質を持っているために、下っ端の神さまたちも都市神としての性質が最後まであんまり抜けなかったのかも。

そんな風に感じています。あくまでも印象ですが。

エジプトの神さまと同じで、シュメール人も各地に神殿を建てていて、その土地土地で神話は発展して、やっぱり複雑だったと思うんですよね。たとえば、ウルクのイシュタル女神はアンの娘ということになっているのに、ウルのイシュタル女神はナンナ神の娘ということになっているわけで、混乱が見られる。自分のところの神さまの系譜に、他所さまの神さまを取り込んでいるわけです。

エジプトにはジッグラトのような特殊な施設がなかったので、人々は別の土地に移動しても、そこに神殿を造って、その土地に根ざした神話を展開していけたのかもしれませんが、一方のシュメール人たちは神殿こそあっちこっち造って、異伝別伝が発展しても、神さまが降り立つべきジッグラトは一ヶ所に存在しているので、一大宗教センターが成立していて、エジプト人のようになかなか自由な発想を持ち込めなかったのかもしれません。

タイトル Re: シュメールとエジプトの神さま
記事No 2750
投稿日 : 2007/09/03(Mon) 17:48
投稿者 岡沢 秋
どもっス。
別件ですが、神話同盟の掲示板のシュメールの質問、ひっそり回答しておきましたっス。(遅)

日記ネタって↓これですね。
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シュメル文明の神様たちというのも、エジプト神話と同じく基本的には「土地神」「都市の守護神」として誕生している。
それぞれ受け持ちがあって、
 エンリル→ニップル エンキ→エリドゥ ナンナ→ウル イナンナ→ウルク
というカンジに、有名どころの大神たちはそれぞれホームタウンを持っている。ナンナが月神だったり、イナンナが豊穣神だったりと都市神を越えた大きな役割も持っているには持っているが、基本的に最後まで、土地密着の神という役割から外れることがない。エジプトの大神たちが、たとえばホルスがエドフの土地神という役割を早くから二次的なものとしているように、有名どころほど土地神としてのワクを越えて全国展開している(そのために役割が複雑化している)のとくらべて、ずいぶん保守的だなぁという気がする。これはシュメル神話に比べてエジプト神話が複雑化している一因のような気もする。しっちゃかめっちゃかの別バリエーションありーの、なエジプト神話は、たぶん各時代ごとに神様の役割が変化していったから。シュメルの神話に神様たちの系譜がはっきりしないのは、各神々が家族関係を結ぶ以前の、単独存在の状態で止まっているから。…なんか、そんな気がするわけだ。

で、なんでこんな違いが出たのかな? ということをちょっと考えてみたわけだが、

仮説1 都市間の戦争が多かったため、都市の守護神としての役割の重要性が下がることがなかった
仮説2 各都市が民族・語族の異なる集団から成っていたため、各神々の神話を混ぜることが難しかった
仮説3 エジプト人は同人誌的な神話を作るのが好きだったが、シュメル人はあんまり創作はしなかった(笑)
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> 仮説4:シュメールではジッグラトが建設されている

なるほど。あのへんの人たちって、現代でもカーバ神殿しかり、嘆きの壁しかり、なぜか同じ土地にこだわりつづけますよね。土地に対する思い入れが強いから、土地神としての性質が抜けなかったというのは、理由の1つとして、ありそう。
本体となる神殿は一箇所だけ、といわれると、確かにそうだ。

> 《神》を表すディンギルが「星」の象形文字なのがその根拠です。

そういやそうですね。エジプト語では「神」=ネチェル は旗。
神像を載せる台座についてる吹流しが原型と言われてて、神殿はうつわ、像が本体。みたいな思想がある。そのへんの違いもありそうですね。


> エジプトにはジッグラトのような特殊な施設がなかったので、人々は別の土地に移動しても、そこに神殿を造って、その土地に根ざした神話を展開していけたのかもしれませんが、一方のシュメール人たちは神殿こそあっちこっち造って、異伝別伝が発展しても、神さまが降り立つべきジッグラトは一ヶ所に存在しているので、一大宗教センターが成立していて、エジプト人のようになかなか自由な発想を持ち込めなかったのかもしれません。

いちおう、エジプトも各時代ごとに主要な宗教センターはあるんですよ。
ヘリオポリス、ヘルモポリス、メンフィス、テーベとか。
ただ、その場所に行かないと神託が受けられないってことはないし、祈れないってこともない。そう、たぶん、神様が人間と別の世界にいる、っていう考えが無い。神様たちは人間の暮らしの中に混じってて、なんとなく日本の八百万の神様チックなんですよね…。そこがシュメルとの違いの1つなのかも。

タイトル 別件、ありがとうございますー(今更感が漂い……)
記事No 2769
投稿日 : 2007/09/25(Tue) 17:12
投稿者 greenbard
参照先 http://hetappi.gozaru.jp/
そうか、なるほど。

仮説4:シュメールではジッグラトが建設されている

よりも

仮説4:シュメール人は土地に対する思い入れが強い

の方が分かりやすいですね。岡沢さん、さすが! 分かりやすい。

> いちおう、エジプトも各時代ごとに主要な宗教センターはあるんですよ。
> ヘリオポリス、ヘルモポリス、メンフィス、テーベとか。

そうそう。それはそうなんですけど。ジッグラトみたいに1つしかないナニモノかが存在する宗教センターはない、という感じでしょうか。

 * * *

というのはただの雑談で。本題はこっち(笑)。

> 神話同盟の掲示板のシュメールの質問、ひっそり回答しておきましたっス。(遅)

ありがとうございます。(遅)
どうもニンフルサグだけ異質な感じして気持ち悪くないですか?
そうでもないのかなー。

タイトル どーなんだろ。
記事No 2771
投稿日 : 2007/09/25(Tue) 17:46
投稿者 岡沢 秋
> どうもニンフルサグだけ異質な感じして気持ち悪くないですか?
> そうでもないのかなー。

アン > 天
エンリル >風(地上に吹く風)
エンキ > 地(地下)
ナンナ >名前の意味は不明だが月神
ウトゥ >太陽
イナンナ > 金星? 豊穣神
ニンフルサグ> 山、大地母神

天に対して地の神様もいてバランスとれてる感じだと思いますが…。
だいたいの神話って天地で男女の神様、いますよね。全体的に見れば、なんでここに海が入ってないんだろ? という疑問くらいか。

タイトル Re: どーなんだろ。
記事No 2774
投稿日 : 2007/09/26(Wed) 00:09
投稿者 greenbard
シュメール・アッカド神話は三大主神と三天体神が中心になって崇拝されているはずなんです。だから

アン(天空)、エンリル(大気)、エンキ(深淵)

で世界を三分しているんです。だから、きっとエンキが海です。始原の海。淡水ですけど。一番下に始原の海があって、その上に大地が乗っかっていて、大地の上空部分は大気であるエンリルが管轄。その遥か上空がアンの領域。まあ、エリアーデは、シュメール人たちがエンキ=始原の水と誤認していると書いているので、初期のエンキ神は始原の水ではなかったのかもしれません。詳しいことはボクにも分かりません。

で、

ナンナ(月)、ウトゥ(太陽)、イナンナ(金星)

が天体神。

とすると、ニンフルサグだけが浮いているように見えるんですよね。でも、もしかしたら三大主神、三天体神という発想そのものがシュメールの歴史の中では比較的新しくて、7柱の方が古いということなのかもしれません。それだったら、岡沢さんの仰るように違和感がないのかも。うん。



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