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タイトル 神話の研究について
記事No 2237
投稿日 : 2005/12/01(Thu) 00:45
投稿者 RisingForce   <qqk488m9@vanilla.ocn.ne.jp>
初めまして、RisingForceと申します。

自分は今、大学で世界各国の歴史と神話(主にギリシャ、オリエント、北欧を中心に)について研究していて、最近ケルト神話に手を出してみようと考えています。ですがケルト神話について詳しく書ている本が思うように見つからなく、現在途方に暮れています(汗)神々の系統と英雄伝説(クー・ホリン)について書かれているものが望ましいのですが、どなたか御存じないでしょうか?もし情報をお持ちでしたら些細な事でも構いませんので御提供をよろしくお願いしますm(_ _)m

PS.管理人様へ
初めまして、いつも「無限∞空間」を楽しく拝見させていただいています。自分も歴史・神話の探求をエジプトから入ったので、エジプトのコンテンツにとても興味関心があり、なおかつその完成度にとてつもないほどの素晴らしさを感じます。(特にドゥアド産業株式会社とアテン神の扱いにどれだけ爆笑した事か・・・(笑))自分はまだまだ若輩者ですが、管理人様のように凄い神話探求者になれるようにがんばって行きたいと思います!

長々と失礼しました。ではこれにて失敬します。

タイトル Re: 神話の研究について
記事No 2238
投稿日 : 2005/12/03(Sat) 10:45
投稿者 岡沢 秋
初めまして。

>神々の系統と英雄伝説(クー・ホリン)について書かれているものが望ましいのですが、どなたか御存じないでしょうか?

神々の系統についての話は、神話としてではなく、歴史書として書かれたものです。通称「侵略の書」、または「アイルランド征服の書」というもので、12世紀に「歴史として偽造」された書物です。
ニュアンス的には日本書紀に近いのかなと。

最初から全部追っかけてる本は意外に無いですが、「ケルト 生とシの変容」(中央大学出版部)や、ケルトの神話(ちくま文庫)あたりで大まかな流れは読めますよ。

ク・ホリンの話は「トィン」の中に含まれてますが、原典が幾つかあって多少展開が違ってます。こっちは神様の出てくる英雄譚という扱いになっているので、一冊に詳しく纏めてある本はあまりないかもしれません。

全体を読みたいのであれば、「アイルランドの神話伝説」という、けっこう分厚い上下巻の本が名著普及会から出ているので、それを探してみるとよいんじゃないでしょうか。
ちょいと古い本なので、カタカナ表記が今の本とかなり違ってますが、注釈は参考になります。


> PS.管理人様へ
いやあの。ただの小娘なんで「様」イランですよ…
お気遣いありがとうございます。

タイトル ありがとうございます!
記事No 2239
投稿日 : 2005/12/04(Sun) 00:50
投稿者 RisingForce   <qqk488m9@vanilla.ocn.ne.jp>
ご返信ありがとうございます。m(_ _)m

なるほど・・・、純粋な神話形態でなく歴史書としてまとめられていたとは・・・。これは研究のしがいがありそうです(笑)
えっと、ここでもう1つ質問なのですがここで偽造されたのは神々の系統のみで、神様自体は古来からの神話のものなのですか?

情報ありがとうございます!さっそく教えていただいた本三冊を明後日にでも注文してみます♪自分は各神話の死生観についてかなり興味を持っているので「ケルト 生とシの変容」を徹底的に読みつくしたいですね♪(笑)

あ、やはり少ないんですね(汗)大学の本屋にあったケルトの神話系の本に一応載っているのは幾つか見たんですが「どれもこれも決め手にかけるなぁ・・・」と思っていたんですよ(笑)了解しました!前述の三冊を中心に自分なりにまとめて読んでみます!

いえいえ!自分の中では岡沢さんはイシス神並に神格化されてますよ!・・・いや、過去を紡いでるからウルズ様かな?(笑)是非ともいつか神話について徹底的に熱く語り合ってみたいものです(笑)あ、そういえば。北欧神話の参考文献にあった「エッダ 〜古代北欧歌謡集」を読ませていただいたのですが、確かにとても素晴らしい書物でした!北欧神話について更なる探求が進められた事に感謝いたします♪

長々と駄文を失礼いたしました。では失敬。

タイトル 誤字っとるがなーーーorz
記事No 2240
投稿日 : 2005/12/04(Sun) 01:34
投稿者 岡沢 秋
>「ケルト 生と死の変容」

ですがなっ!! はああ…がっくし。すいません…
あの、こんなです。褒めても何も出ませんよ。

>偽造されたのは神々の系統のみで、神様自体は古来からの神話のものなのですか?

ううんっと、…なんていえばいいのかな。
まず、「侵略の書」をなぞってみましょうか。
アイルランドに入植する人たちっていうのは、

1.パーホロン族(一人を残して全滅)
2.ネメズ族(フィルボルグと戦って全滅?)
3.フィルボルグ族(ダナーン族と戦って全滅)
4.トゥアハ・デ・ダナーン族(ミレー族によって地下に追われる)
5.ミレー族

と、5種類います。ここらへんは、ケルト神話の本でさらっと流されてることも多いかと思うのですが。

このうち、神話上で神々と呼ばれているのは、ご存知、女神ダナを祖先とするトゥアハ・デ・ダナーンの人々。
現在アイルランドに残っている人々はミレー族の子孫ということになるので、一歩ひいて見れば、そもそも自分たちが滅ぼした部族を神と呼んでることになるんですよ。

何の本だったかな…、ソースが曖昧で申し訳ないのですが、確か、何かの本にこのような解説がありました。

「ダナやディアン・ケヒト、ダグダなどといった有名どころの神々は、大陸のケルトにも対応する神々がいるので、大陸から運ばれたものといえる。
しかし、アイルランドに移住したケルト人、つまりミレー族は、自分たちが地下つまり死の世界に追いやった先住民に自分たちの神の名前をかぶせ、神格化したのだ。」


アイルランドの神々の系統というのは、つまり、実在し、後からやってきたケルト人に滅ぼされた民族の記憶と、大陸から持ってきた神々の系譜を融合させて、アイルランド入植後に生みだされたものだと言えるんではないでしょうか。

歴史と神話って、すっぱり線引きして分けられるものではないと思うのですよね。

)是非ともいつか神話について徹底的に熱く語り合ってみたいものです(笑)

暇な時なら、いつでもお相手いたしますよー。
物陰に隠れていらっしゃる、そっち系のお話の好きな方も出てきてくださると思いますよー。

タイトル 返信遅れましたm(_ _)m
記事No 2241
投稿日 : 2005/12/08(Thu) 12:23
投稿者 RisingForce   <qqk488m9@vanilla.ocn.ne.jp>
先日教えていただいた本を注文しました!
近日中には読めるかと。

とてもわかりやすい解説をありがとうございます。「ミレー族は自分たちが死の世界に追いやった先住民に自分たちの神の名前をかぶせ、神格化した」というくだりはとても個人的に興味深い内容です。つまり、ケルトの神々はギリシャ神話で言うヘラクレスや北欧神話のヴァルハラ軍団のように人間が神格化されたようなものなのですね。(まあコレとケルト神話とは多少イントネーションが違うような気がしますが・・・)これを読んで、やはり神話は他民族からの介入が結構あるんだなぁと感じました。ローマ神話やエジプトのセラピス神などその典型ですし・・・。

>歴史と神話って、すっぱり線引きして分けられるものではないと思うのですよね。

激しく同感です。と、言うよりもこの「歴史の事象と宗教の関連性」というのは自分の研究対象の1つですね。実際、大学にAO入試で入学する際もエジプトの宗教(神話)がどう古代エジプトの歴史に介入していたかという論文を書きましたし・・・。(具体的には王権と神話の関係、首都の遷都による信仰対象の変化、アテンちゃん崇拝(笑)など・・・)最近は神話の共通性と神話の物語の発生起源の探究を中心にやっていますが、歴史と神話の関連性はその土台とも言えるべき存在として、日々探求しておりますよ♪(実際、自分は西洋史学科ですし・・・(笑))

はい、是非ともよろしくお願いします♪それでは早速なのですが、最近自分は「神話の関連性」(ギリシャのオルフェウスと日本のイザナギの地獄下りや、世界各国の神話に見られる洪水伝承など)についてかなり探求を重ねているのですが、岡沢さんはこれについてどう思われますか?お暇な時に返信していただければ幸いです♪

今回も長々と失礼しました。では失敬。

タイトル Re: 返信遅れましたm(_ _)m
記事No 2242
投稿日 : 2005/12/10(Sat) 12:45
投稿者 岡沢 秋

>つまり、ケルトの神々はギリシャ神話で言うヘラクレスや北欧神話のヴァルハラ軍団のように人間が神格化されたようなものなのですね。

え、ヘラクレスは人間じゃ…
ヴァルハラ軍団は神様じゃ…

ん、と。瑣末なお話ですが、ヴァルハラに逝った英雄たちは神格化されないです。ご先祖として崇められはしても、神様ではないんです。

神話に色んな民族からの介入がある、というか影響を受けている、というのは、事実でしょう。
どちらがどちらの元、というわけではなくて、相互に影響しあって、その時々に変化するものだと思います。

セラピス神はギリシアとエジプトの文化が混ざった結果つくられた、神様ですね。オシリス神とゼウス神が同格に混ざっているのですから、エジプト古代王国の威勢が良かった時代なら、そういうことは起こらなかったと思います。片田舎に過ぎなかったギリシアが、一つの国として勢力を増してきたことを意味していると思います。


> それでは早速なのですが、最近自分は「神話の関連性」(ギリシャのオルフェウスと日本のイザナギの地獄下りや、世界各国の神話に見られる洪水伝承など)についてかなり探求を重ねているのですが、岡沢さんはこれについてどう思われますか?

えーと。
世界中に、類似した神話がある…ていう話ですか? いわゆる比較神話でしょうか。
これについては、色んな研究の方法があると思うのですが、たとえば、どんな切り口で研究されていますでしょうか。「関連性」というと非常にアバウトな表現になってしまうのですが…

タイトル 横レス
記事No 2243
投稿日 : 2005/12/11(Sun) 03:37
投稿者 摩伊都
岡沢さん、お久しぶりです。RisingForceさん、初めまして。

> ギリシャのオルフェウスと日本のイザナギの地獄下りや、世界各国の神話に見られる洪水伝承などについてかなり探求を重ねているのですが・・・

面白そうな話ですね。(^^)
でも、岡沢さんの仰るとおり、内容が広すぎて漠然としていて、つかみどころがないような・・・。

かなり探求を重ねておいでなのなら、その内容を分かりやすく簡明に教えていただけないでしょうか?
とっても興味がありますので、よろしくお願いいたします。

タイトル Re^2: 返信遅れましたm(_ _)m
記事No 2244
投稿日 : 2005/12/14(Wed) 23:53
投稿者 RisingForce   <qqk488m9@vanilla.ocn.ne.jp>
また返信が遅れてしまって申し訳ありません。最近大学のレポートやらテストやらが忙しくて・・・(汗)

<岡沢さん

ヘラクレスは早とちりでした(汗)彼はゼウスと人間(アルラクネ)のあいだに生まれた半神でしたね・・・。ヴァルハラ軍団については初耳です、てっきりギリシャ神話の英雄みたいに神格化されたものだと思っていました。余談ですがヴァルハラの館とギリシャ神話のエリュシオンの野って似ていますよね・・・。

セラピス神については同感です。ギリシャ神話はいろいろな国の神話と融合したりしてますが、その逆もまた然りという事を思い知らされますよね(汗)

失敬しました、説明不足でしたね(汗)そうです、比較神話です。自分は大学で西洋史(主に古代・中世の文化あたり)を専攻していて、古代の歴史(文化)に深く関わるような神話をさらに専攻して研究しているんですよ。その過程で古代世界において関わりの無かったような地域で同系統の神話が発生しているという事にとてつもないほどの興味を持って、それについて色々調べている次第です。前述で言ったオルフェウスとイザナギの話については、ギリシャの文化がシルクロードを渡って中国、そして日本に伝来したという考え方で説明できるかもしれませんが、例えばデウカリオンの洪水やノアの箱舟など洪水伝承にいたっては文化の広がりようが無かった地域にまで同系統の伝承があったりするじゃないですか。自分はそういった類似した神話を歴史的側面や人間の心性なども含めて「どういった経緯(地域、歴史的状況)で発生したのか?」とか「どうしてこんなにも似通っているのか」とか「その違いは何か?」とかを中心に研究して行きたいと思っているんですよ。まあ平たく言うとしたら「神話」の発生理由を歴史的背景、人間の心性、地域の特性、民族の思想など色々なカテゴリを使って探求していきたいなぁ・・・という次第で御座います。え〜っと、簡略的にといわれたのに無駄に長くてスイマセン・・・(汗)

>摩伊都さん

こちらこそ初めまして、RisingForceと申します。

いやぁ、趣味が合いますね(笑)内容が漠然としているのは自分の力量不足です(汗)神話系統はけっこうカジっているのですが、まだまだ若輩者なので・・・(苦笑)

前述でもカキコしたとおり、自分は神話の発生過程を歴史的背景、人間の心性、地域の特性、民族の思想など色々なカテゴリを使って探求していきたいと考えている次第です。例を挙げると「歴史的背景が似通っている地域では、似たような神話系統が生まれていると仮説が立てられる」とかですね。(まあ僕の超主観的な神話論なので、間違っている可能性がありますが・・・(汗))

このような事について自分は研究を重ねているのですが、まだまだ学習不足なので詳しい発言が出来なかったり、主観的な話が混じってしまうかもしれません(汗)もしそれでも話しに付き合っていただけるのなら大変嬉しく思います。自分も持ってる知識を総動員して可能な限りアツいレスを致しますので(笑)

それでは失礼します。

タイトル 例えば…こんなかな…
記事No 2245
投稿日 : 2005/12/17(Sat) 23:19
投稿者 岡沢 秋
寒くなってきましたね。太陽神様が恋しいこの頃です…
ラー様、夏頑張りすぎ。冬は? ねえ冬は。

>ヴァルハラ軍団については初耳です、てっきりギリシャ神話の英雄みたいに神格化されたものだと思っていました。余談ですがヴァルハラの館とギリシャ神話のエリュシオンの野って似ていますよね・・・。

ギリア神話のほうはサッパリなのですが、英雄たちが集う野、とかいう感じでしたっけ? 予言された世界の終末に備えて確保された戦力ではなさそうですが。

> 比較神話
>その過程で古代世界において関わりの無かったような地域で同系統>の神話が発生しているという事にとてつもないほどの興味を持っ>て、それについて色々調べている次第です。

ふむ。
「古代」というと非常にアバウトな括りになってしまうので、だいたい紀元前○千年ごろ〜 とかいう感じで時間の概念を持つとよいと思います。
たとえば、「シュメール文明」も「マヤ文明」も古代文明という扱いを受けていますが、メソポタミア文明は紀元前3000年あたりが都市文明の全盛、かたやマヤ文明は紀元後200年あたりからが繁栄の頂点なんです。なので3000年以上の開きがあります。

そういう時間軸を忘れて全部「古代」と言ってしまうと問題があるなというのが一つ…

あと、言葉の問題もあると思います。
神話の元の原語はどういうものだったのか。神話学者は、未知な原語の神話を読むときは、たいてい英訳されたものを読んでいるはずで、英訳の時点で既に意味が変わってしまっているケースが多々あるようです。
たとえば、日本語の古典である「源氏物語」を英語版ペーパーバックで読んだときを想像してくださいな。原語の意味が汲み取れない場合は、全くニュアンスの違うセンテンスに置き換えられてしまう。
神話は、現代の言葉に「翻訳」した時点で意味が異なっている(無意識的に、慣れ親しんだ物語に似せられてしまう)可能性を考慮しなくてはならないと思います。


>例えばデウカリオンの洪水やノアの箱舟など洪水伝承にいたっては文化の広がりようが無かった地域にまで同系統の伝承があったりするじゃないですか。

と、いうのはよく言われるんですが、実際、私には、さほど同系列の神話が世界じゅうにあるとは思えないんです。
文明は大河のほとりで発祥することが多く、大河は氾濫することもある。ならば大きな洪水で壊滅的な被害を受けた記憶が、のちのち伝承されていってもおかしくないんじゃないかと。

聖書にある洪水伝説は、メソポタミアの伝承が元になってることは、間違いないでしょう。メソポタミアからギリシアに伝わったのもおそらく事実。てことは、ヨーロッパ周辺の洪水伝説って、元々は同じ源流から出たものにバリエーションが加わったものじゃないの? という気がするのです。

洪水伝説って、他に、たとえばどんなものがあるでしょう…

昔、アラスカに住むインディアンの洪水伝説を読んだことがあるんですが、それは海が突然襲ってきて村を飲み込んだ、みたいな話でした。津波などの記憶を伝えているんでしょうね。

うーん。こういう感じの話でいいんでしょうかね?


そういや、洪水伝説といえば、「世界を破滅させるような大洪水が本当にあって、その記憶が世界じゅうに残っているのだ。」と、本気で信じている方は今もいらっしゃるようですね。

じゃあなぜエジプトには洪水伝説がないのかと小一時間。
超古代の優れた文明の伝承者じゃないのかエジプト人(笑
だったら洪水伝説くらい覚えているだろうよと。

答えは、エジプトを流れている大河が、規則的な増水を繰り返す川で、突発的な洪水を起こさなかったからだと思うのです。
上流で土砂降りがあっても、途中に湖を介しているため鉄砲水にならない。またメソポタミアのように、高山を源泉としていないため、異常気象の年に大量の雪解け水が下流を襲うこともない。

これが日本の急流河川なら、河の神様が怒って村を滅ぼす神話くらい作られそうですが…

タイトル 横レス〜二人目
記事No 2246
投稿日 : 2005/12/18(Sun) 16:53
投稿者 水槌
岡沢さん、ご無沙汰してます。
面白そうなネタに釣られて物陰、というか論文の山の中から這い出てきました。

> そういう時間軸を忘れて全部「古代」と言ってしまうと問題があるなというのが一つ…

以前、中国史を専攻している友人にふと聞いてみて初めて知ったのですが、中国史で唐時代といえば、もう「中世」なんですよね。同じ頃、日本はまだ飛鳥〜平安前期なので、日本史では「古代」。それで、私には唐=古代のイメージがあったわけですが、視点が変われば時代区分も変わるわけです。当然ながら。おそらく、シュメールとマヤがともに"古代"文明とされるのも、メソポタミア史(というカテゴリがあるのだろうか?)における「古代」と中南米史における「古代」の相違なのだと思います(多分ですが)。

> これが日本の急流河川なら、河の神様が怒って村を滅ぼす神話くらい作られそうですが…

遣ろか水? あれは神様というより妖怪ですかね?


>RisingForceさん
初めまして。神話と歴史を少々かじっている水槌(ミヅチ)というモノです。
なかなか凄い研究をなさっていますね。比較神話を歴史学の俎上にのせる、というのは、確かに魅力的ではありますが、かなり広範な知識と高度な史料批判の能力が要求されそうです。岡沢さんも指摘されているように、まず「本当に似ているのか」ってところからして問題ですし。もちろん、違うなら何故違うのかを明らかにすれば良い訳ですが。
ちなみに、大学ではどなたか先生に付いて研究されているのでしょうか? いや、以前、一条さんがおっしゃっていたことを思い出したもので…(過去ログNo.1983参照)。

あと、私は西洋史には疎いのですが、もしよろしければ、「歴史的背景が似通っている地域では、似たような神話系統が生まれている」という仮説の具体例など、お話していただけると嬉しいです。私もこの手の話にはかなり興味があります。

タイトル Re: 横レス〜3人目
記事No 2247
投稿日 : 2005/12/18(Sun) 18:53
投稿者 toroia
岡沢さん、ご無沙汰してます。
ワタクシも面白そうなネタに釣られて物陰、というか2ちゃんねるの山の中から這い出てきました。

>神話学者は、未知な原語の神話を読むときは、たいてい英訳されたものを読んでいるはずで
うーん、英語だけでいいなら私も神話学を志していたことでしょう!(笑)
ただし、比較神話学者は、基本的には英語やフランス語ドイツ語、ラテン語、ギリシア語などの、お堅い学問に使う言語だけを読んでいるのでしょう(比較神話学の本を読んでると、自国語+この5つの言語は最低限読めなければならないらしい)。
ただ、ジョルジュ・デュメジル(フランス人)のように比較神話学のなかでも超ハイグレードなレベルにある学者さんは、古ノルド語だろうがアルメニア語だろうがサンスクリットだろうがトルコ語だろうが中国語だろうがペルーのケチュア語だろうがウェールズ語だろうが原語で読めてしまう能力を持っているようです。
また、対照的にレヴィストロース(フランス人)は、この人は日本語が少しできるので古事記の神話なんかも論文に出てきたりするのですが、神話は言語が変わっても理解できる、という立場に立ってます。彼の『神話論理』はおそらく数百の言語で語られていただろう南北アメリカ大陸の神話をの構造を徹底的に分析して「一つの神話の変奏である」という感じで結論付けてるんですが(邦訳がそろそろ8分冊で出るらしい)、南北アメリカ先住民の(それぞれの言葉をよく知っている)専門家もおおむねこれを評価してるようです。ただしこれは「洪水伝説があそこにもある!ガーン」のような表面的な類似ではなく「構造的な」類似を研究してます。具体的なことは、・・・読んでください(逃げ)。
まあ、レヴィストロースは文化人類学者ですから、私たちよりもはるかに人類の文化の多様性(たとえば神話でよくある「結婚」や「地下世界」、「精霊」の意味するものは、文化や時代によってとんでもなく変化していますよね)について熟知しているわけで、翻訳による意味の変化については細心の注意を払っているとは思います。それに南北アメリカ神話の資料では、たいていの場合「神話」はその民族文化を詳細に記述した民族誌のなかの一つの項目に入っているので、もちろん併読していることでしょう(ついでに、アメリカ神話は後述の「詩」ではないことが多い)。それと彼の理論の根底には「人類の思考は結局のところ同じはずだ」という、生物学的に考えれば当然であるはずなのにこれまで社会科学ではあまり本気で考えられてこなかった前提があります。なのでレヴィストロースは神話の類似点を比較することは有効だ、と考えているわけです。ちなみに彼は世界各地のさまざまな文化のものすごい多様なかたちで存在する結婚や親族関係を分析して、結果、気持ち悪いほどはっきりと人類の親族関係に対する共通構造を発見しています(『親族関係の基本構造』)。ただ、これだと「人間の考え方は、すでに脳内に存在する『構造』によって決められていて、それに操られているだけだ」という考えになってしまい、そこに批判を加える人はいます(ブルデューの『実践感覚』など)。
この構造主義といわれる方法で神話を分析するに対する批判はあるのですが、それは「翻訳によって意味が変わってくる」というようなものではなくて、「神話は『語られるもの』であって、文字に書かれたもの、固定されたものは神話の一側面しか見ていない」というのを良く見かけます(オングの『声の文化と文字の文化』、菅原和孝『語る身体の民族誌』など)。こういう批判はもちろん「生きて、今も語られている神話」にほとんど興味がむかない私たち日本人の神話マニアにとっても痛いものです。
これは翻訳の問題でもあって、一般的に翻訳がむずかしいのはその言語に特有のテクニックが駆使される詩の分野なわけですが、たとえば北欧神話の原典の一つはそのまま「詩のエッダ」ですし、ギリシア神話のホメーロスも叙事詩、ゾロアスター教のアヴェスターインドのヴェーダも詩の形を取っている(ただし高度な詩のテクニックはインドヨーロッパ語族の神話によく見られるだけで、他の神話はそうでもない、という説もあります)。詩の翻訳の困難さは「詩」が語られることを前提としているのに「書くもの」にしてしまったが故のもの(写本のなかには語る詩人も聴衆も語っている場所も存在しない)だったりするわけです。

洪水神話については、私も岡沢さんの話ぐらいのものではないかなと思ったりしています。
ただ、問題なのは、その神話がなぜ外部の文化のものだったのに、自分の文化の神話というとても大事な物語に組み込んだのか、という点でもあると思うのです。

RisingForceさん、遅れました。はじめまして。世界中の妖怪が好きなtoroiaと申します。RisingForceさんはなんと大学で神話の比較を研究されているそうで(うらやましい)、素人の私がこんなことを書くとものすごい勢いで突っ込まれそうで怖いのですが、がんばってください。面白そうですね。

タイトル 返信遅れましたm(_ _)m
記事No 2248
投稿日 : 2006/01/02(Mon) 22:36
投稿者 RisingForce   <qqk488m9@vanilla.ocn.ne.jp>
あけましておめでとうございます。ライジングです。
ってか毎回毎回返信が遅れて本っっっ当〜〜〜〜〜〜にスイマセンm(_ _)mサークルでのギターの練習やらレポート軍団やら勉強やら忘年会&新年会やらでヒマがあまり無いんです。とほほ・・・(泣)

それでは簡単なレスを・・・

>秋沢さん

>寒くなってきましたね。太陽神様が恋しいこの頃です…ラー様、夏頑張りすぎ。冬は? ねえ冬は。


確かに最近は無駄に寒いですよねぇ・・・。嗚呼、ラー様。アポフィス殺るついでに北風小僧のカンタロウも殺っちゃって下さい(笑)

>ギリア神話のほうはサッパリなのですが、英雄たちが集う野、とかいう感じでしたっけ? 予言された世界の終末に備えて確保された戦力ではなさそうですが。

ギリシャ神話のエリュシオンの野は北欧神話のヴァルハラとは似て非なる存在ですね。エリュシオンの野は戦死した英雄やらが集う場所と聞き及んでおりますが、予言された終末とはまったく関係がありません。フツーの死者たちは北欧神話と同じくハデスの館(北欧では御存知麗しのヘル様(笑))のトコロへ赴きます。まあこれは「死後楽しく暮らしたかったら、名誉あることをやって死ね。」っていう意思表示でしょう(笑)

> そういう時間軸を忘れて全部「古代」と言ってしまうと問題があるなというのが一つ…

そうなんですよねぇ・・・。でもマヤやアステカやインカなどはヨーロッパとかとは交流が無かったので、アメリカンインディアンなどの影響を受けたのではないかと自分は推測しています。まあ、ぶっちゃけると僕もあまり知らないので上手くは言えませんけど・・(汗)まあ僕はアメリカの原住民族の神話を見る点ではその文化が栄えたあたりの他の原住民族の神話と比較したりしていますね。

> あと、言葉の問題もあると思います。

言葉・・・、なるほど。確かにその通りですね。これからはその点も考慮して調べてみる事にします♪

> 聖書にある洪水伝説は、メソポタミアの伝承が元になってることは、間違いないでしょう。メソポタミアからギリシアに伝わったのもおそらく事実。てことは、ヨーロッパ周辺の洪水伝説って、元々は同じ源流から出たものにバリエーションが加わったものじゃないの? という気がするのです。

なるほど・・・とても興味深い内容です。聖書の洪水神話については僕も同感です。キリスト教やユダヤ教はパッと見ただけでもメソポタミアあたりの神話が大量に使われているというのが一目瞭然ですからね。(実際キリスト教やユダヤ教では土着の神が悪魔として起用されていますし・・・・(例.バアル・ゼブル→ベルゼブル、バール→バアル、バエルなど・・・))

でもその比較神話については、僕の超主観的な見解なんですけど、世界各地に散らばる共通神話の大本は「習合」だと考えているんです。確かにひとつの地域から世界各地に神話が伝わっていったという事実は本当だと思いますが、僕的には自立している民族がそんな簡単に他民族の神話を自分たちの神話に加えてしまうとは思えないんですよ。(まあ古代ローマ帝国は例外だと思いますが・・・(汗))でもそれを「習合」による伝承だと考えると個人的には納得がいくんですよ。例えば似通った神話が存在する地域と、似通った神話が存在しない地域に神話が伝わった場合では、前者の方が伝わる可能性が高いと思うんですよ。それを根本的な原理として、「似通った歴史が存在している地域では、似通った神話が存在する」という原理を考えているんです。その点について考えると、エジプトに洪水伝承が無いのも納得できるのではないかと。(まあ、でもぶっちゃけ秋沢さんの言っている事の方が正しいと思います(笑))まあ、本っっっ当〜〜〜〜〜に主観なので間違っている可能性が高いです(汗)

>水槌さま

初めまして。歴史と神話とギターをかじりつつ愛するライジングという者ですm(_ _)m

>なかなか凄い研究をなさっていますね。比較神話を歴史学の俎上にのせる、というのは、確かに魅力的ではありますが、かなり広範な知識と高度な史料批判の能力が要求されそうです。

そうなんですよ・・・。そのお陰さまでレポートやら勉強やらが大変で大変で大変で・・・(笑)まあ好きだからやっていけてますけどね♪(笑)

>ちなみに、大学ではどなたか先生に付いて研究されているのでしょうか?

う〜ん・・・。ひとりの先生って訳じゃないですけど・・・複数の先生からいろいろな話を聞いたりしてますね。こーゆー事を勉強するにあたって重要な事は、色々な地域の神話や伝承や歴史などを深く知る事だと思うんですよ。そーゆー事になるとひとりの先生に聞くよりは、多くの先生からいろいろな話を聞いたほうが参考になるのではないかと自分は考えています。(まあ中途半端になりそうですが、本格的に勉強するのは大学院に入ってからという事で(笑))

>もしよろしければ、「歴史的背景が似通っている地域では、似たような神話系統が生まれている」という仮説の具体例など、お話していただけると嬉しいです。

これは先ほど秋沢さんのトコロにもレスをしたんですが、自分は神話の伝承は「習合」だと考えているんです。ギリシャと日本の冥界論の話になるんですが、前述の通り自立した民族がそう簡単に他民族の神話を吸収するとは考えられないと思うんですよ。で、僕が推測したのは、ギリシャと日本にはもともと同じ様な冥界論が存在していたと思っているんですよ。歴史的な話になりますが、シルクロードを伝って伝来された神話はかなり形を変えていて、ギリシャ本来の神話とはまったく別物になっていたと考えています。(その証拠として、前に見たギリシャとユーラシア大陸の展覧会で、その形態の変化について見た事ががあります(詳しくは覚えてませんが、そうとう別物だったのは覚えています)ですから、日本とギリシャの冥界論は、まったく同じ神話が伝わったものではなく、ギリシャからの変化した神話が、日本の神話と習合したものと自分は考えています。まあ前述の通り、間違っている可能性は特大ですが(汗)

地域別に似通った神話の例を挙げるなら、北欧神話とギリシャ神話のヴァルハラとエリュシオンの野が上げられると思います。ギリシャも北欧世界も大きな戦いや戦争を数々繰り広げていた地域でした。その二つの冥界論に共通するのは「功績を上げた英雄は、死後栄華の中に身をおく」という事です。まあ強いて言うなら死後楽しくなりたかったら戦ってカッコよく死ねという事でしょうか(笑)ちなみに死後、全ての人間が救われるという理論はユダヤ教やキリスト教などの一神教時代から始まったものであります。

>toroiaさま

どうも初めまして。ライジングと申します。

・・・っていうか、絶対僕より凄いですよtoroiaさま(汗)僕の知識はマジで微々足るものなので、むしろ僕のほうに突っ込んでほしいくらいです(笑)

っていうか僕の大学に臨時講師として来て頂きたいくらいです(笑)是非色々教えてください♪


え〜・・・、今回はかなり主観が入りました(汗)痛烈なツッコミをお待ちしております(汗)ではこれにて失敬。

タイトル あけましておめでとうございます
記事No 2249
投稿日 : 2006/01/04(Wed) 15:12
投稿者 岡沢 秋
何故か頻繁に秋沢と間違われる岡沢です(笑)
岡沢さん と呼ぶ人と 秋さん と呼ぶ人がいるから混ざるのか。
バリエーションとしては 岡秋さん などもあります。
神話・伝承でも、こうした間違いの結果、よく似た性格の、似たような名前の登場人物が量産されていくのだと以下略


死後の世界の例でRisingForceさんは挙げられませんでしたが、北欧神話に似てるものといえばケルトの神話ですね。

北欧神話のヴァルハラに対し、ケルト神話にティル・ナ・ノグがあり、海の果ての巨人の国ウトガルドに対し、海の向こうの異界がある。神々の性格も似てる部分あり、よく似た性格のアイテムあり。

もちろん全部が対応しているわけではないですが、大陸ではご近所に暮らしてきただけあって、類似点は多いです。

北欧神話にギリシア神話のモチーフが取り入れられたのは、一部の部族が南下していって、アルファベットからルーン文字を思いついた時代の後でしょうか。ローマに傭兵として雇われたゲルマン人もいましたから、それで混じった部分もあるんでしょう。

前後変わりますが、ゲルマン人とローマ人、どちらも戦闘的な民族だから神話が似てる、という理論を唱えるには、ギリシア神話にも北欧神話からの影響が見られてよいはずでは? と、いう反論を封じる方法を考えなくてはならないですね(笑

実際は、北欧神話のほうがギリシア神話に似てる部分がある、と一方的に言われることが多い。
そうでないのは、ローマ人がゲルマンの諸民族を全部ひっくるめて「野蛮人」と認識し、文化的なものを認めていなかった点が大きいんでしょうね。現在の一週間の呼称は、ゲルマンの神様の名前から来てますが…


新年早々長いです。熱く語りたいお年頃。
お暇なときにでもお読みください以下マジレス。


> > そういう時間軸を忘れて全部「古代」と言ってしまうと問題があるなというのが一つ…
>
> そうなんですよねぇ・・・。でもマヤやアステカやインカなどはヨーロッパとかとは交流が無かったので、アメリカンインディアンなどの影響を受けたのではないかと自分は推測しています。

や、水槌さんが既に書いてくださったのですが、「メソアメリカ史」としてみたときの「古代」ななんでしょうね。多分…
「日本史」として見れば縄文時代は古代だけど、世界の文明すべてを横に並べた時間軸からすると、最近だったりする。言われてみりゃそうだなぁ、と。

マヤ・アステカやインカなどは、確かにヨーロッパとは全く関係ありません。が、よく勘違いされていることなんですが、実はこれ、単一部族(あえて民族とは言わない)が作った文明では無いんですよ。

「マヤ族」や「インカ族」と呼ばれる人たちは確かにいたけれど、それ以外のさまざまな部族が近所にひしめきあっていて、たまたま天下取って他の部族を従えた部族が、代表のように言われているだけです。

「ポポル・ヴフ」あたり読んでみると、色んな部族の神話がごっちゃに交じり合っていく過程が見えます。

アメリカの先住民と言われるインディアンたちも同様で、「インディアン」という一つの部族がいるわけじゃなく、広大なアメリカ大陸のあちこちに住んでいる色んな部族がいるんですよね。

メソアメリカに定住してる部族もいるので、もちろん影響はしあってる部分があると思いますよ。ただマヤなどメキシコ周辺の文明群は、最初にオルメカ文明というものがありましたので、そこから引き継いだものが主流なんじゃないかと思います。


> > 聖書にある洪水伝説は、メソポタミアの伝承が元になってることは、間違いないでしょう。メソポタミアからギリシアに伝わったのもおそらく事実。てことは、ヨーロッパ周辺の洪水伝説って、元々は同じ源流から出たものにバリエーションが加わったものじゃないの? という気がするのです。

> でもその比較神話については、僕の超主観的な見解なんですけど、世界各地に散らばる共通神話の大本は「習合」だと考えているんです。確かにひとつの地域から世界各地に神話が伝わっていったという事実は本当だと思いますが、僕的には自立している民族がそんな簡単に他民族の神話を自分たちの神話に加えてしまうとは思えないんですよ。(まあ古代ローマ帝国は例外だと思いますが・・・(汗))


うーん。ここでおっしゃっている「習合」という言葉の意味が、私にはよく分からないのですが…エジプト神話でいう、神々の「習合」とは、ちょっと使い方が違うみたいですよね?

ここではとりあえず、古代における「自立した民族」や「他民族」という概念にツッコミを入れてみますね(笑)

「民族」や「国家」は、主に近代になって生まれた概念で、古代にはそんなものは無いです。

たとえば、「ギリシア人」なんてものは元々存在しません。
もともとは、土地を求めて、現在ギリシアがある地方に流入してきた開拓民たちの中で、住み着いた雑多な人々です。

ギリシアに都市が出来、国家の様相を呈するようになってから、そこに住む人々は「都市の内側にすむ人」「外側にすむ人」を別とする意識を持ちはじめるわけですが、民族ではないんですよ。なぜって、素性がどうであれ、どこから来た人であれ、都市の内側に住みさえすれば「ギリシア人」なわけですから。

なのでギリシア神話は、近辺あらゆる地域の神話の再編成なんです。
ヘルメスが持っている杖すら、シュメール人の使っていたシンボルそのまんま(元はムシュフシュです)ですし、もちろんエジプト神話と被ってる部分もある。

でも、それは、元の神話があって、他の神話と混ざり合った結果生まれた「習合」ではなく、元となる神話のない場所で、色んな神話を混ぜ合わせた「再編成」「再構築」と言った方が、言葉としては、しっくりくる気がします。

「エジプト人」も、元から存在したわけではないです。
エジプト文明は、アフリカの内陸、ヌビアの奥地から発生した文明と、小アジアの方面から発生した文明がナイル中流で出会ってぶつかったときに王国になり、その後、アジアの騎馬民族や、ナイジェリアなどアフリカの西から来た部族や、地中海の向こう側から来た人々を受け入れて、ごっちゃになってます。

しかも、砂漠の中に都市が点在する状況だったために各都市ごとに神話が異なっていました。地中海の都市は早い段階でメソポタミアやミケーネの神話と触れ合ったでしょうが、アフリカ内部の都市はむしろヌビアやエチオピアのような国の神々と関係を作っていたわけで、そこには民族や文化、言葉の違いといった壁は、さほど感じられません。


>「似通った歴史が存在している地域では、似通った神話が存在する」という原理を考えているんです。その点について考えると、エジプトに洪水伝承が無いのも納得できるのではないかと。

うーん…似た神話がある地域、というのは、既に交流があり、それゆえに神話が似ていることが多いんですよね。

歴史や風土が似ていると、似たようなヴァリエーションの神話が生まれる可能性もある、とは思いますが、例としてあげられてるギリシャ神話と日本神話の場合は…うーん…

いや、なんていうか、どちらもサラリとしか知らないですが、あんまり似てる感じがしないといいますか、シルクロードを伝って伝言ゲームのように伝わった部分はあるんでしょうが、神話が元のまま伝わるほうが、むしろ在り得ないんではないでしょうか。

前に挙げた言葉の問題ですが、たとえば、日本の神話は英訳した時点で、もう元のニュアンスをなくしてるんですよ。

ヤマタノオロチの神話を「九つの頭のあるドラゴン」と書き、クシナダヒメを「プリンセス」、スサノオを「神の血を引くプリンス」と書いた時点で、全然別物になりますからね。キミらはクリエムヒルトとジークフリートかい?! みたいな(笑
↑※実際、外国のサイトではそんな感じになってた

その「翻訳」の結果が面白ければ、伝わった地域で生き残り、面白くなければ生き残らないんじゃないかな。とか、身もふたも無い意見も一つありますので、どうぞご検討ください。卒論には使えそうもないですが。^^;


それと、神話の伝達で忘れてはならないものが「国家・民族間の力関係」。

神話と歴史が切り離せない一つの理由として重要視しているものですが、現実世界の人間同士の力関係は、そのまま神話の中の神様たちの力関係にも影響してます。

前にセラピス神のところで少し触れましたが、ゼウスとオシリスが習合した「セラピス神」の誕生は、エジプトの国力の低下と、ギリシアの国力の増強によって、お互いの力関係が等しくならないと、まず無い話です。

エジプトに取り入れられた、他国の神であるバアル神がセト神の化身の1つとされ、メインの神様になりなかったのは、バアルを崇拝していた人々が他所からの移住者に過ぎなかったからだろうし、しかし公的に認められたからには、バアルをあがめたアジア地方からの移住者が、無視できないほど勢力を持ってきていた証拠でしょう。

条件さえ合えば、どんな神話でも神様でも受け入れられるのが、多神教の世界かと…



>ちなみに死後、全ての人間が救われるという理論はユダヤ教やキリスト教などの一神教時代から始まったものであります。

んー、これ多分誰かからツッコミ入るかなー…
地獄の業火に叩き落される人もいるんじゃなかったですけ。あとユダヤ教は神様に選ばれたユダヤ人しか救われなかったよーな。

天国と地獄って結局、ヴァルハラとヘルの対比とさして変わらない気がする私ですよ。クリスチャンな方、神学校出身の方、プリーズフォローミー。



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