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タイトル アロンダイトとガラティン
記事No 2216
投稿日 : 2005/09/08(Thu) 17:26
投稿者 逍遥遊
はじめまして。
以前から度々貴サイトを拝見しております。
信頼できる資料を元に非常に詳しくお調べになっていて、とても参考になります。(私は主に北欧・ケルト方面でして、エジプトはあまり詳しくないのですが・・・)

岡沢さんに伺いたいのですが、「アロンダイト」と「ガラティン」の典拠って何なのでしょうか?よくランスロットの剣だのガウェインの剣だのと持ち出されていますが、私は原典で一度もその名を見かけたことがないのです。非常に特徴的な名前ですので、どこから来たのか気になります。ネットでもどのサイトを見ても典拠が(あの悪名?高い)「聖剣伝説」(新紀元社)なんですよ。

お暇な折で結構ですので、お教え頂ければ幸いです。

タイトル 情報探してみますね
記事No 2217
投稿日 : 2005/09/08(Thu) 20:17
投稿者 岡沢 秋
こんにちはー、いらっしゃいまし。

いやウチのサイトも間違いはありますよ…自分ひとりでやってるというより、仲間内で指摘入ったり情報回しあったりして作ってる部分も多いですから。

シロウト作りのわりにそこそこ使える、くらいで考えていただけるとよいかと。

> 岡沢さんに伺いたいのですが、「アロンダイト」と「ガラティン」の典拠って何なのでしょうか?

うーーーーん?
ちょっと聞いたことのない名前で、自分で作ってるメモノートにも見当たらない名前でした。語尾に「〜ティン」とつくのは、ノルド語ですねえ。

例のあの間違いだらけの本がまた何か勘違いやらかしてるんでしょうか…。ちょっと探してみますね。

何か情報お持ちの方がいたら教えてくださいな。よろしくですー

タイトル ありがとうございます
記事No 2218
投稿日 : 2005/09/08(Thu) 20:35
投稿者 逍遥遊
お手数おかけします。
ちなみに「聖剣伝説」の記事には出典が「アーサー王伝説」となっており、全く参考にならないのです(T^T)
どの原典だよ!?
ランスロがガヘリス達を斬り殺した時用いた剣がアロンダイト、らしいのですが・・・。そんな名前知らない・・・。

タイトル 追記
記事No 2219
投稿日 : 2005/09/10(Sat) 23:50
投稿者 逍遥遊
アロンダイトの方は、『ハンプトンのビーヴィス卿』という作品の異本にその名が見られるようです。ビーヴィス卿の息子ガイの剣であり、ランスロットから伝わったとか。きよさんのHPで見ました。
詳細を調査中。

ガラティンについても未だ調査中です。やはりガラティンが世に広まったのは『聖剣伝説』がほぼ唯一の元っぽいので、そちらから当たってみようと思います。

タイトル はあ?!
記事No 2220
投稿日 : 2005/09/11(Sun) 01:12
投稿者 岡沢 秋
> アロンダイトの方は、『ハンプトンのビーヴィス卿』という作品の異本にその名が見られるようです。

いや、まってまって。いきなりルネッサンスに飛ぶんですか。
アーサー王伝説じゃないですよソレ…
どっちかっていうと、「アーサー王伝説パロディ〜アーサー王を使って、ウチの家系を讃える騎士叙事詩を作っちゃおう!」ていうノリの話じゃ…

いきなりシャルルマーニュ関連でランスロの剣が出てくるってことは、ランスロットといってもアーサー王の家臣のランスロットじゃない別の人のことを言っている可能性もあるか…。
シャルルマーニュ伝説の原典はアリオストのしか持ってないので、ちょっと探してみます。

それと、
きよさんのサイトは、情報量は凄いし広いんだけど、Webサイトから拾ってきた情報繋ぎ合わせたものなのですよ。ある特定の本や資料からの引用ではなく、転載をさらに転載したもののまとめなのです。
言ってる意味が分からなかったら、スルーしてください…。

タイトル ガラチンならマロリーに
記事No 2221
投稿日 : 2005/09/11(Sun) 09:12
投稿者 水槌
参照先 http://gensounobuki.fc2web.com/frame.html
横レス失礼します。逍遥遊さん、はじめまして。

新紀元社の『聖剣伝説』、手元にないので何が書いてあったかあんまり憶えていないのですが、「ガラティン」というのは、マロリーに出てくる「ガラチン」じゃないでしょうか?

ちくま文庫から出ている抄訳、T.マロリー(W.キャクストン編/厨川文夫・圭子編訳)『アーサー王の死 中世文学集1』(筑摩書房、1986.9)にその名が見えます。例えば、

 ガウェイン卿はこれに気づいて、イドラス卿という立派な騎士を従え、「あの二人を救い出さぬかぎりは、決してアーサー王にお目どおりしない」と言い切るや、名剣ガラチンを引き抜き、二人の騎士を引き立てて行く敵兵を追った。(p.123)

とか。カナ表記が違うので、『聖剣伝説』の直接の典拠は多分この本ではありませんが、「アーサー王伝説」中に登場するのは間違いないかと。

「アロンダイト」の原典は私も知りません。ただ、直接の典拠なら心当たりがないわけでもないので、何か分かり次第ご報告に上がります。

タイトル おお・・・
記事No 2222
投稿日 : 2005/09/11(Sun) 16:00
投稿者 逍遥遊
>岡沢さん

いえ、おっしゃっている意味、わかります、わかります。
私もあれだけでは全然確信が持てなかったため、追跡調査をしていたのですが・・・。
ルネサンス期のものなんですか。名前すら知らなかったもので・・・。
パロディ本作者が創りだしたアロンダイトという剣が、巡り巡って原典でのランスロットの剣と同一視されてしまった可能性もありますね。
私もシャルルマーニュ伝説関連は『狂えるオルランド』しか持ってません・・・。

>水槌さん

初めまして。でも、実は水槌さんのサイト(「幻想の武器博物館」ですよね?)以前から拝見してました(笑)。
どうもご指摘ありがとうございます。私もその本持ってますので確認したところ・・・載っておりました。自分の記憶力に対する自信がまた一つ崩壊しましたorz
ちなみに、井村君江訳では「ガラティン」となっていました。
水槌さん、ありがとうございます!

タイトル Arondight
記事No 2223
投稿日 : 2005/09/12(Mon) 01:45
投稿者 ろーれる   <laurel@babu.com>
参照先 http://www.babu.com/~laurel
 横レス失礼いたします。
 逍遥遊さん、水槌さん、初めまして。そして岡沢さん、ご無沙汰しておりますー。
 こちらで話題になっているアロンダイトですが、『New Arthurtian Encyclopedia』や『Arthurian Myth & Legend』には載っていなかったものの、オンラインのアーサー王辞書サイト「An Arthurian A2Z Knowledge Bank」に記載がありました。
 どうやらノルマンのロマンスにおけるランスロットの剣であるようです。
 以下にアドレスを載せておきますね。あまり詳しい情報が出ていないのですけれど、少しでもお役に立てば幸いです。
 http://www.mystical-www.co.uk/arthuriana2z/a.htm#ARON

タイトル ありがとうございます!
記事No 2224
投稿日 : 2005/09/12(Mon) 13:32
投稿者 岡沢 秋
お久しぶりです。ろーれるさん。
ヘルプに答えてくださってありがとうございますー。

>  どうやらノルマンのロマンスにおけるランスロットの剣であるようです。

うーん、ほんとに情報が短いですね。ノルマンってことは、フランス系…ですか? ランスロットはフランス人という設定で初登場したんでしたっけね、そういえば。

綴りも思っていたのとは違うようです。聖剣伝説が間違えたのでしょうか。

シャルルマーニュ関係で発見したハンプトン卿というのは、シャルルマーニュのピンチの際、ブリテン・アイルランドから救援にやってくる諸侯の中に名前が見られ、冠の旗を紋章とするとか。チョイ役でした。

***
あと、ろーれるさんがもしご存知ならお伺いしたいのですが…

ガラティンの件で、マロリーの「アーサー王の死」に出てくるってことは、その前段階の流布本サイクルのいずれかに、元になる名前があるんでしょうか。

ガウェインが持つ剣で名前がついているのって、エクスカリバーくらいかと思っていたんですが、いきなりガラティンなんて名前が出てくるのも妙だなと。ブリテン側の伝承には出てこなさそうな名前のように思えます。

マロリーは流布本のエピソードを繋ぎ合わせて作品にしたのだから、大陸に渡ってから、その剣の名前が初登場するエピソードが創られたのかな? と、思うのですが。

タイトル こちらこそ
記事No 2225
投稿日 : 2005/09/12(Mon) 19:37
投稿者 ろーれる   <laurel@babu.com>
参照先 http://www.babu.com/~laurel
 シャルルマーニュはほとんど知らないのですが、おかげで面白いお話が伺えて幸運でしたv

 そしてガラティンですが、記憶&ネタ帳を調べたかぎり、流布本サイクルにはガウェインの剣の名前が出ていなかったと思います。
 ただし、マロリーのソースのひとつである『Alliterative Morte Arthure』にガウェインの剣が出ています。
 二箇所引用しますね。

"Then Sir Gawain was glad; again him he rides;
With Galuth, his good sword, graithly him hittes;" (1386-87)


"With Galuth he[Gawain] girdes down full galiard knightes . . ." (1470)

 『頭韻詩 アーサー王の死』は年代記系統の作品ですが、ざっと調べたところジェフリー・オブ・モンマスやワース、ラハモンにもこの剣の名前は出てこなかったので、後世ロマンス化が進む中で付け加えられたようです。

タイトル 時代的には…?
記事No 2226
投稿日 : 2005/09/12(Mon) 23:14
投稿者 岡沢 秋
>  シャルルマーニュはほとんど知らないのですが、おかげで面白いお話が伺えて幸運でしたv

オルランドゥ・フリオソは是非お読みになってください。
マーリンが何故かフランスに来て愛の泉を作ってみたり、イタリア人の家系を応援してみたり、いい感じにアーサー王伝説パロディが入ってます。

>  ただし、マロリーのソースのひとつである『Alliterative Morte Arthure』にガウェインの剣が出ています。

マロリーのソースで、流布本サイクルに入ってないということは…114世紀あたりに、どこかからガラティンが雑じった…つてことでしょうか?
綴りはGaluthなんですね…。


なんだか、聖剣伝説は「とにかく剣に名前ついてりゃそれでいい、ソースがバラバラだろうか時代が違おうが構わない」っていうスタンスで資料を引いてきたみたいで、ものすごく、いただけないです。
(ブルトガングの時みたいに、全然違う人の剣を持ってきたわけじゃないから、まだマシですけど…。)

タイトル ありがとうございます
記事No 2227
投稿日 : 2005/09/13(Tue) 17:24
投稿者 逍遥遊
ろーれるさん、初めまして。情報ありがとうございます。
Galuthがカナ表記するなら「ガルス」でよいのでしょうか?
それとも「ガラス」?
「ガルス」or「ガラス」→ガラティンになった可能性もありますね。
マロリーはそこから持ってきたのでしょうか・・・。

タイトル Re:アロンダイトの頁アップしました
記事No 2231
投稿日 : 2005/09/30(Fri) 13:09
投稿者 きよ   <kyamazak@ix.netcom.com>
参照先 http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
 アロンダイトの典拠が、アーサーものでないことに納得がいかない心情はわからないでもありません。私も当初はアーサーものにあるはずという思いつつそのセンで調べました。でも、この結果は結果です。
 このアロンダイトが、『ハンプトンのビーヴィス卿』の異本にあるという情報は、私みずからが、閲覧した書籍でつきとめたものです。これまでウェブ空間には無いもので、見つけられたのも僥倖といってよいでしょう。他にも紙媒体より発掘している幻想アイテムトリビアはありますが、ここではさておきます。

 ビーヴィスについての和訳は、これまで ほるぷ出版 『サウザンプトンのビーヴィスの冒険』(英文絵本+和文解説小冊子)くらいしかなかったように見受けます。
 しかしこのたび、中期英語詩『ハンプトンのビーヴィス卿』の"正本"の和訳をプロフェッサー・酒見が酒見研究室(http://www.eleph.it-hiroshima.ac.jp/sakemi/)のページにて発表されております。

 正本ではビーヴィス卿の剣/馬(モルゲライ/アルンデル)と、もう一頭トランシュフィスという馬が登場します。
 また、正本ににはランスロットの剣名は出ませんが、「湖のラーンスロット」の名は出ています。

 『ハンプトンのビーヴィス卿』がもともとアングロ=ノルマンの武勲詩(12世紀後期-13世紀初頭)から翻案されているという事実も、英文でチョイ調べすれば容易に確認とれます。ですから「ろーれる」さんが"Arthuriana A2Z"より拾った情報とも合致します。

 アロンダイトの項のページは、Up しておきましたが、そこに"Aroundight"が登場するページの画像も入れておきましたので、もう疑われる道理はないと思います。全文(Ellis, 第2巻 pp. 239-281)を英文で読みたいという方には、今のところ PDF 版(300kB) ならありますから私信してください。

タイトル Re^2:アロンダイトの頁アップしました
記事No 2232
投稿日 : 2005/10/02(Sun) 11:45
投稿者 岡沢 秋
うーん。相変わらず仰ってる意味がよくワカラナイ (´・ω・`)

今回の論点はもともと、「聖剣伝説」が典拠をはっきり書かずにアーサー王伝説という超アバウトな書き方をした剣の名前を持ってきたこと。まず、その名前はどっから出てきたか突き止めようぜ。というお話だったのです。


えーっと。
とりあえず、ハンプトンのビーヴィス卿 っていうのがどういう話で何を意味しているのか、教えてください…
周知のものとして話を進められても、見ている方は理解できてません。

それと、実は、アロンダイトが「ノルマンにおけるランスロットの剣」というのも意味が分からないので。ノルマンにおける、とは一体?

聴衆のレベルは、そんなもんです。

タイトル アロンダイトの典拠は『ビーヴィス』以外に無かろうかと思う
記事No 2233
投稿日 : 2005/10/05(Wed) 14:02
投稿者 きよ   <kyamazak@ix.netcom.com>
参照先 http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
 > うーん。相変わらず仰ってる意味がよくワカラナイ (´・ω・`)
> 今回の論点はもともと、「聖剣伝説」が典拠をはっきり書かずにアーサー王伝説という超アバウトな書き方をした剣の名前を持ってきたこと。まず、その名前はどっから出てきたか突き止めようぜ。というお話だったのです。

 ほんとうのところは、わからないというより、アロンダイトの原典が『ビーヴィス』だなんて、「アーサー伝説」モノじゃないじゃないか、そんなの受け容れることはできない、という拒絶反応なんじゃないですか?
 でも『聖剣伝説』なんてもとよりアテにできないし、「アロンダイトの情報」が「アーサー伝説」モノに「必ずやある」という保証はないですよね。
 私だって当初は「アーサーもの」にあるという仮定のもとで調査しましたけれど、空振りだったんです。
 結局『Arthurian Names Dictionary』 (約250作品を網羅)で調べても、"Aro(u)ndight"らしきものは載っていませんでした。
 この辞書は、剣名も満載(他の剣ガラティーン、マルミアドース、クルスーズなども載っています)で、いま一例を挙げると、わりとマイナーどころの
>Secace [Sequence, Seure] 
>という剣が散文ランスロットにおけるアーサーの剣で、
>サクソン岩の戦いで使われた。
>典拠:流布本(Vulgate Lancelot), Lancelot Lo Laic

も出ています。つまり流布本『ランスロット』等等も範疇に入っています。∴おおよそ知られるアーサーもののなかに "Aroundight"はなかろうかと結論します。

 アロンダイトの情報の発信源は、おそらく『Brewer's Dictionary of Phrase and Fable 』の剣リスト
(http://www.aol.bartleby.com/81/16143.html)および刀鍛冶:名剣のABC順リスト(http://www.aol.bartleby.com/81/16144.html)
でしょう。
 このリストには、ランスロットの剣 Aroundight と オテュエル の剣 Corrouge が出ています。
 このことを照らし合わせますと、『Brewer 事典』が、私が調べた Ellis 著『Specimens of Early English Metrical Romances』を参考にしていることは、みじんも疑う余地がありません。
 なぜなら、この二つの剣情報は Ellis が紹介する『ビーヴィス』異本と『オテュエル』異本ならではの話であり、もしかりに『ビーヴィス』正本を調べていたらランスロットの剣名はないし、『オテュエル』正本を使っていたらば剣名は Corsouse, Corsouze となるはずです。

>とりあえず、ハンプトンのビーヴィス卿っていうのがどういう話で、..
 ビーヴィスの母親は、愛人と通じ、夫(ガイ卿)をなきものにし、息子を異教国「アルメニア」に奴隷として売り飛ばしてしまいますが、息子はすくすくと育って頭角をあらわし、アルメニア王にみとめられアルメニア王女のジョシアンと結婚。やがて英国にもどり父子代々の所領を奪還する(中略)
 終盤に出てくるガイ卿(ガイ卿Jr.)は、ビーヴィスが亡父にちなんで名づけた息子で、こいつがアロンダイトを使っています。etc.
 で*す*が*前述したとおり、酒見さんが、http://www.eleph.it-hiroshima.ac.jp/sakemi/Beves1.htm
で『ビーヴィス』(正本)を和訳されていますから、日本語でストーリーを読むことはできます。(酒見氏の訳では名称は「ビーヴェス」)。

>何を意味しているのか、教えてください…
 どう答えたらよいかよくわからないのだけれど、ビーヴィスという人の大河モノとして完結した物語。
「聖杯探求」のような、根底にあるテーマは見いだせないと思う。

 それから、「ノルマン云々」は、以前の投稿でろーれるさんが (Aroundight は):
>『New Arthurtian Encyclopedia』や『Arthurian Myth & Legend』には載っていなかったものの、
>オンラインのアーサー王辞書サイト「An Arthurian A2Z Knowledge Bank」に記載がありました。
>どうやらノルマンのロマンスにおけるランスロットの剣であるようです。

 と言ったことについて、中期英語の詩『ビーヴィス』の原型は「ノルマンのロマンス」(アングロ=ノルマン武勲詩)
ですよ、と明快にお答えしたつもりなのですが




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