タイトル | : Re: 奴隷制度について質問です |
記事No | : 1887 |
投稿日 | : 2024/02/07(Wed) 21:28 |
投稿者 | : 岡沢 秋 |
> 上記のイスラエル人の大人数が奴隷となっていたという裏付けの書籍や資料って実際にあるのでしょうか? > 確かブログの過去記事で無いというものを見た様な気がするのですが、改めておうかがいしたい次第です。
ないです。
そもそも「イスラエル」という名前が歴史上に初出するのは第19王朝、メルエンプタハ追うの時代の石碑です。征服された諸民族の名前として登場するため、その頃には、カナアン地方に「イスラエル」を自称する人々がいたことがわかります。
ただし、それ以前のいつの時代から「イスラエル」を自称する人がいたかはわかりません。要するに19王朝以前の時代だと、イスラエルという名称自体がまだ無かった可能性が出てきます。
また、この時点で「イスラエル」は国家ではなく部族名として扱われているため、国としては存在しなかったと分かります。
エジプトに多くの奴隷がいて独自の文化を持っていたなら、エジプト国内に異民族コミュニティの痕跡は残るでしょうし、エジプトから脱出したなら逆にカナアン地方に異文化の流入や人口増加の痕跡が見られるはずですが、そのような現象が考古学的に見つけられていないため、「人の大量移住は無かった」という結論になります。
ギリギリありそうな可能性としては、将来イスラエルを名乗ることになるアジア系(シリア・パレスチナ方面の住民)が一定数、エジプトに暮らしていた可能性です。 たとえばヒクソス王朝のように、アジア系移民が起こした王朝/移民コミュニティは存在しました。彼らがエジプトから移住していった伝承を後世に「虐げられたので移住した」ように加工したのならアリだと思います。
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