世界の神話に見る鴉の役割


 世界各地の神話・伝承に登場する鴉たち。その役割について簡単に、
かつ自分尺度的に、レポートしてみました。



■ヤタガラス(日本神話)
トリッキー度;☆☆  お役立ち度;☆☆☆☆  神聖度;☆☆☆☆☆

 日本のカラスさんは、とっても神様らしい。使いっぱしりなんだけど、任務に忠実で日本人的。間違っても、途中でどっか行っちゃったりしないし。
 賀茂建角身神の別名。日向の山中で日の神からの天啓を受け、長髄彦との戦いで苦戦していた神武天皇の元に赴いて、紀州熊野か ら大和へ至る道を先導したことにより、天皇より八咫烏(やたがらす)の称号を頂いた。これは後の錦冠位のようなものであるという。…しかしな、これカラスって言っていいのかな…? 京都の下鴨神社の祭神なんだって…。


■女神アテナのお使い(ギリシア神話)
トリッキー度;☆☆☆  お役立ち度;☆☆☆  神聖度;☆

 女神アテナは戦いと知恵の女神。そのアテナのお使いとして、かつては賢いカラスが登用されていたのだが、おしゃべりすぎるのでクビにして、かわりにフクロウを雇った、とのこと。多少知恵が劣ってノロマでも、誠実なフクロウのほうが良かったってことでしょうか。ここでも、やはりお使いとして使われていますカラスさん。そしてあまり信用されていません、カラスさん(笑)
 アテナがカラスって、どのみち、あんまり似合わないような気も。


■オーディンのお供(北欧神話)
トリッキー度;☆☆☆☆  お役立ち度;☆☆☆☆  神聖度;☆

 神々を束ねる父なる神、オーディンの肩に留まっている二羽のオオガラス、フギン(思考)&ムニン(記憶)。彼等は朝、オーディンのもとを飛び立って、夕方には世界中のことを見聞きして戻って来るという、実に重要な役割を持っていた。…でも、出て行ったら出て行きっぱなし、ちゃんと戻ってくるかどうかは、分からない。
 ラグナロクの時も、ちゃっかりいなくなってるみたいだしなあ。大丈夫なのか。
 北欧では、何でも知っていることを「オオガラスの知恵」という。北国どうし、アラスカと北欧ではカラスに対する認識が似ているというのが面白い。似た存在と見た。


■ケルト神話
トリッキー度;☆☆  お役立ち度;☆☆☆☆  神聖度;☆☆☆☆

 ケルト神話において、鴉は戦いに関係する神(モリガンとか、スカアハとか)の象徴だったらしい。黒いのに、白い女神の象徴になっていたり、光の神ルーグの使いだったり、ずいぶんライトなイメージである。ゲルマン神話でもインディアン伝承でも鴉といえば、油断できない・おしゃべり・狡賢いといったイメージなのに、ケルト神話では、ずいぶん勇敢な鳥になっているようす。智謀も戦いの能力とされていたのか?
 スカアハなど、戦いの技を伝授してくれる女神サマなわけだが…。そのお使いか…。強そう。


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