■神話つまみ喰い−”OtherAreaMyths” | サイトTOPへ>2号館TOPへ>コンテンツTOPへ |
フィンランドのトリックスター・ワイナミョイネンとの類似については先に述べてしまったが、ここでは、他の神話で一般的に「トリックスターだ」と呼ばれている神々について、個人的な解釈を付け加えてみたい。
■ワイナミョイネン
■トリックスター度/95%
かなりの高確率でトリックスター。人間と神の狭間であること、食欲と情欲がすばらしいこと、知識があり、尊敬される存在でありながらドジって笑われる奇妙な存在であること。創世神話に関わること。
ただし、彼は女性にはならない。トリックスターの持つ、中性的なイメージだけが欠落している。その意味で、「あらゆる社会や規範、秩序に対して拘束の無い存在」とは、少し違うだろう。
■ロキ
■トリックスター度/98%
あまりの類似性に、「もしかしてインディアン伝承がどうにかして流れてきてるんじゃないだろうか」と疑うほど。やること成すこと、インディアン伝承のトリックスターにクリソツです。女になって子供産むあたりも、まさしく。何を欲しているのか、何を考えているのか、全く分からないところがトリックスター。
神と人との中間ではないものの、神族と巨人族の中間ということになっているため、純粋な意味での神ではない。ここもトリックスターの特徴と言える。
ただし、創世神話には関わっていないし、「高名な」とは言い難い。神話世界においては、根源的な存在ではない。「誰もが知っており、敬われつつ嘲笑される」ではないようだ。
■ヘルメス
■トリックスター度/70%
母が古い神族の一員で、父が新しい神族の一員というところに中間的存在という部分がうかがえる。智謀に長けていること、イタズラが好きなことはトリックスター的。彼自身は創世神話に関わっておらず、祖父アトラスが天空を支える存在であるというところに、少し異なったバリエーションを見る。
人格的にはかなりの割合でトリックスターなのだが、ギリシア神話という世界に組み込まれてしまうと、その性格も薄れてしまう気がする。
■トト
■トリックスター度/40%
彼の行動は理性に従っており、トリックスターのように支離滅裂ではないので性格は全く違う。しかし、「誰もが知って」おり、知恵があり、彼にまつわる創世神話があり、尊敬されているという意味ではトリックスター的存在。
太陽属性と月属性に関わる両方を持つことからも、中性的なものは持っていると言えるだろう。
■一休さん
■トリックスター率/10%
いや神話じゃないけど。なんとなく(笑)。形が変わるとこんなもんかなってさ。
…こうして見ると、北米大陸からの距離でもって神々のトリックスター率が下がっているのが面白い(笑い)。やはり、トリックスターと呼べる存在は、北欧圏に多い。それがワタリガラス伝承の分布とある程度重なっているのは、偶然の一致だろうか。それとも、人々はワタリガラスの振る舞いの中にトリックスターの原型を見ていたのだろうか。
世界中に分布しているとされるトリックスター神話だが、他の文化や時代によって変化し、原型に近い形で残されているものは少ないという。そんな状態で言うのもなんなんだが、自分的な数値として、トリックスター率が50%切ってるトト神は、インディアン伝承的なトリックスターではないと思う。
「トリックスター」の言葉の意味を広げて、「知恵に長けたいたずら者」ということにしてしまえば、もっと当てはまる例が増えそうなのだが。
追加>>
■マウイ
■トリックスター度 100%
太平洋のド真ん中、オセアニア神話に登場する「千のいたずらのマウイ」。彼はまさしくトリック・スターです。それにしても、冥界の女神ヒネの股で圧死っていうのは、そのう、かなりヒドい最後じゃありません?^^;