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朝鮮神話の概要

 朝鮮神話の大半は、生きている神話である。
 エジプト神話や北欧神話、ギリシア神話など、はるか古代の、今はもう滅びてしまった神々の神話ではなく、今でも語り継ぐ者があり、今でも信じている人がいる、そういう類の神話だ。
 だから、資料にも、文字に記された「文献資料」と口伝えによる「口伝資料」とがある。文献資料は主に建国の由来や過去の王の栄光、要するに「日本書紀」のようなものなのだが、口伝はどちらかというと「日本昔話」のような、庶民が子供に語って聞かせるようなお話である。後者などは、「神話」というよりはお伽噺の類だ。
 これらを総称する言葉として「説話」や「民話」、またはイェンナル・イヤギ(「昔話」の意)というものがある。

 文字資料による伝承と、口伝えによる伝承とはそれぞれに性格も違うのだが、全体を通して特徴的なのが、それらのほとんどが「○○家の祖先はこういう話に由来しているのだ」とか、「○○という場所の名前の由来はこういう出来事があったからなのだ」といった、何かの由来について説明するものであるということだ。これをポンプリ(「本解」の意)神話というらしい。

■文献神話

 資料となっている代表的な書物は、「三国志記」(12世紀編纂)や「三国遺事」(13世紀編纂)。三国というのは、朝鮮半島で長らくせめぎあっていた高句麗・百済・新羅の三国のこと。ほかにも「魏書」や「東文選」「高麗史」などの文献がある。これらの書物は儒教学者によって記されたため、基本的に女性の地位は低く、合理主義のため創世神話などが省かれている。まあぶっちゃけた話「やたらと真面目で遊びにくい」。(人様の国の神話で遊ぼうとするのが問題なのだが…)
 歴史的に、三つの国の並立が長く続いていたため、統一されておらず、様々な伝承形態が入り交じっている。

■口伝神話

 文献資料のほうでは消滅してしまった宇宙創世などの物語がふんだんに盛り込まれた、こちらも膨大な神話集大成。文字では絶対に残らないような、下ネタや笑い話、女性の間にだけ伝わる神話など、貴重なものも多い。日本神話によく似たものが多いのもこちらで、「一寸法師」が「親指小僧」、「かちかち山」のウサギが「意地悪な虎」、「桃太郎」が「力士(相撲の)」などなど。
 語り手が女性の場合、親孝行や動物がテーマの場合が多く、男性の場合、実在した歴史人物や話の年代などをつけて実際にあったこととして語る場合が多いという。

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