フィンランド叙事詩 カレワラ-KALEVALA

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「カンテレ」とは?


 カレワラの中で、ワイナミョイネンが開発する楽器「カンテレ」は、フィンランドではポピュラーな民族楽器である。日本で例えると「お琴」みたいな感じで。実際、見た目も「お琴」っぽい。ま、「フィンランドのハープです」と紹介されていることが多いので、実際はハープに喩えたほうがいいのかもしれないが。

 まずは、目で見てもらったほうがいいだろうということで日本フィンランド協会「カンテレ同好会」あたりの紹介から。
 ここのページにあるハープみたいなのをジジィがかきならし、物語の中では、そのしらべが魔法となって人々を深い眠りにいざなってしまう。本当か?!

 さて、カンテレは2000年ほど前に最初に作られたものとされており、現在では木の板を組み合わせて作られているが、「カレワラ」の中に登場する最初のカンテレは、そんなものではなかったようだ。
 カンテレ誕生のシーンを見てみよう。

「しかしこれから出来そうだ、魚の骨のカンテレが。
 才覚のある人がいるならば、骨の楽器の製作者が。」
 それから何も出来なかった、才覚ある人もいなかった。骨の楽器の製作者が、
 強固な老ワイナミョイネンは自ら製作者に変わった、作り手に成りすました。
 骨の楽器をこしらえた、永遠の喜びを作り上げた。
 何をカンテレの枠にしたか? かますの大きな顎の骨を。
 何をカンテレの釘にしたか? それはかますの歯によった。
 何をカンテレの絃にしたか? ヒーシの馬の毛によった。
 かくて楽器は仕上がった、カンテレは用意された。
 巨大なかますの骨の楽器が、魚のひれのカンテレが。(第40章より)

…と、いうわけで、最初にワイナミョイネンが作ったカンテレは、”魚のアゴに馬の毛で絃を張ったハープ”だった、と考えられる。
ためしに予想図を描いてみた。

テキトウすぎ。
・・・何だこれは。^-^;
グロイし怖いし。
納得いかないのでもう一枚。



さらに現代の形に近く。
どう考えても、なんかマトモな形になりそうにない^^;
こんなんでポホヨラの人々全員が魅了されて眠りにつくほど心地よい音が奏でられるのか? 大いなる謎だ…。



ま、この形でカンテレが完成してたら、今のような民族楽器にはなってなかったと思うんだが^^;
幸いなるかな、このカンテレ第一号は魔女ロウヒとのバトルのすえ、海に沈んでしまう。
悲しみにくれるワイナミョイネン。だが彼は諦めない。ポホヨラへサンポ奪回に赴いて戻ってきた後、今度は白樺の木でカンテレを作ることを思いつく。

長いので引用は省くが、第44章。新たに考案されたカンテレの原材料は、以下のとおり。

●本体…夏の日に伐った白樺の木
●釘…庭の樫の木で啼いていたホトトギスの口からこぼれた金と銀
●絃…草原で歌っていた乙女の髪

おお! なんかこれだとマトモな楽器が出来そうだ!(笑)

ジジイと少女。
 …と、いうわけで、ユーハン・ブラックシュタデウスの「カンテレを弾くワイナミョイネン」(1851)とか、持ってきてみた。所蔵はカレワラ協会。

 ちょっちイエス様ライクなジジィの、ほのぼのした楽器製作がいいカンジ。
 足元に転がっているのが、ワイナミョイネンと会話してしまったばかりに切り倒されてしまった白樺の木らしい^^;

 それにしても、女性の髪で絃作った場合って、どんな音がしたんだろうか…。

 ちなみに、女性の髪と言わずとも、過去のカンテレは馬の尻尾の毛で作られていたという話がある。中国の「胡弓」なんかと一緒ですな。
 現在ではスチールや銅の絃が多いんだそうだ。
 また、カンテレの種類も大小さまざまに増え、出せる音も増えたとのこと。
 なんかヴァイオリンの進化みたいだ、

 オレ的オススメは、やっぱり、ジジィが膝の上に載せてペレンペレンやってるイメージがある、昔風なちっちゃい五弦カンテレだよね。フィンランドの吟遊詩人はソレ持って旅をしろ、と!(笑) いやー楽しそうー。


[聴く]
カンテレの音でリラックス。

【CD】【視聴アリ】「カンテレ」はざた雅子(1と2がある。視聴つき)
【CD】【カンテレ紹介】「天空のオリオン」宗次郎
【視聴あり】日本ルーテル スオミ協会

カンテレの音を聴きながらカレワラを読むのも、また一興。


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