フィンランド叙事詩 カレワラ-KALEVALA

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第48章
Kahdeksasviidettä runo


 天から落ちた火を飲み込んだ魚は、海のどこかへ潜ってしまい、世界は暗いまま。
 ワイナミョイネンは思案します。「どうすれば、その魚を捕まえられるんじゃろうのう?」

 そこで彼が考え出したのがコレ! でっかい底引き網で海の魚ぜんぶ攫っちゃおう!
 生態系は? 動物愛護は? なに、そんなの無視。…相変わらず、ムチャやってますな…。
 「よっしゃア! 網の材料となる亜麻を蒔くぞ〜い♪」
いきなり、材料調達からはじめてしまいました。育つまで待つとは…気長なお話ですなあ。さすが、もうそれ以上年とらないジジイだけはあります。超気長。

 亜麻はスクスクと育って、地面いっぱい。それを収穫して持って帰って糸にして、さらに、多くの人々に紡がせます。
 「皆のもの! 網をつくれ〜」
出来たところで海へ向かって
 「皆のもの! 網を引け〜」
今やジジイのもとに人の心はひとつ。24時間テレビもビックリです。
 さらにジジイは、魔法で援護。海の女神に豊漁を祈願、第二章と同じく、海からお手伝い小人を呼び出して網を引かせます。

 こうして、海中の魚がかき集められ、くだんの魚も網の中から取り出されました。
 …ところで、残りの魚はどうしたんだろ。逃がした? いや、もしかしたら村中で食ったかも…。なんせカレワの人たちなんで…(笑)
 「さて、この魚じゃが、中に火を飲み込んでおるからのー…。やはり素手で掴むのはまずかろう」
ジジイは、魚を見下ろして言います。
 「なら、僕がやりますよ。」
とは、太陽の息子。
 そう、あの、魔女ロウヒに拉致・監禁されている太陽の息子サンです。この地方では、太陽も月も妻子もちのお父さんですからねぇ〜。息子としても、一家の大黒柱が行方不明じゃ、捜査に協力せざるを得ないんでしょうか。^^;

 太陽の息子は、空から太陽のナイフを取り出して、魚を押さえ込み、腹を裂きます。中からは、ころりとした赤い巻き玉があらわれます。この赤い玉の中にちろちろと燃えているのが、天から落ちて来た炎でした。
 ワイナミョイネンは、しばし思案に暮れていました。この火は、ただの火ではありません。なんせ天の神が作り出したものですから。素手では掴めないし、どうやったらおとなしくしてくれるだろうか、と、思っていたそのとき――――

 ばちん!

 太陽の息子「あっ」 ワイナミョイネン「え゛っ…」
 イルマリネン「ぎゃあああ!!」
 太陽の息子の手から飛び出した火は、ワイナミョイネンのおひげをジュッと焦がし、イルマリネンの顔面にクリーンヒットォ☆ つねづね鍛冶屋仕事で火を扱っているはずのイルマリネンが、火によって大火傷を負ってしまいました。
 しかも、あまりの熱さにパニクった彼は、泳げないくせに、頭から海に飛び込んじゃったのです!

 「うわちゃちゃちゃちゃ、あづいー! がぼっ、がぼがぼがぼ、ばぶげべ〜」
 「……。」

 あまりのオーバーアクションに、ワイナミョイネンもちょっと呆れ顔。とりあえずそっちは自分で何とかしてもらうとして、ジジイ、逃げ出した火をかまどに閉じ込める呪文を唱えます。
 呪文で火を縛っておけば、山火事の心配はなくなりました。あとは…イルマリネン。
 「♪いたいの いたいの とんでいけ。 ちちんぷいぷ〜い♪(←適当)」
どうやら、自分で回復魔法とか唱えて治したようですね。よかった、よかった。
 水に映る自分の顔をチェックして、彼はほっと一安心。
 「おお、よかった。ワシの顔が元どうりだ。」

 …ところで、火、なんでイルマリネンだけを攻撃したんでしょ。やっぱ、何か気に食わなかったのかなぁ…(笑)。



{この章での名文句☆}

青い巻き玉をほどいた、青い巻き玉の中から赤い巻き玉が落ちてきた。
その赤い巻き玉を壊すと、赤い巻き玉の真ん中に火花を見つけた。
それは天から落ちて来た、雲を抜けて落ちて来た


ここの部分だけで絵本つくれそうな、すてきな文句ですよ。


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