フィンランド叙事詩 カレワラ-KALEVALA

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第2章
Toinen runo

 序章・第1章の説明をチト真面目に書きすぎたので、こっちからは本気でギャグモードに入ります。心して構えてくださいよォ。

 第1章から続く第2章は、ワイナミョイネンによる、ガーデニングの話です。(おぉ)
 出来たばかりの大地には、当然何も無いので、ワイナミョイネンは大地に実りをもたらそうと種まきをします。…が、ジジイ流石というべきか、自分では働かず、農耕の神サンプサ・ベッレルホイネンを召喚。彼を働かせて林や野原をつくらせます。

 ツッコミ。@ワイナミョイネン以前に、すでに神は存在していたらしい。 Aワイナミョイネンは人間のくせして神を使役できるらしい。 Bジジイは吟遊詩人なので体力はないらしい。

 自分で働く気、ナッシング。
 そんなこんなで、サンプサ青年のお陰で住みよくなった大地に、ジジイは悠然と居を構えるのでありました。

 けれど、ここで問題が。すべてのものが順調に育っているかのように見えたこの大地で、樫の木だけが暴走、天を覆い尽くさんばかりになってしまうのです。しかも、木がでっかすぎて非力な(笑)ワイナミョイネンには切り倒せない。
 そこでジジイは海から1人の小人を召喚! コイツがむくむくと大きくなって、斧で樫の木を切り倒します。
 うーむ。さっすがジジイ、とことん自分では働かない気らしいですナ^^;

 なお、専門の学者さんの注釈によると、この巨木の伝説は北欧一帯にあるもので、よく知られた「ユグドラシル」(トネリコの大木)の伝説とも通じているそうです。海からあらわれる小人は、英雄ジークフリートに関わる伝説に出てくるニーベルンゲン族のイメージと似通っているし…。

 おとなりのノルウェー・スウェーデンとは人種違うんですが、何だかんだ言って、北欧は北欧なりに、ある程度よく似た世界観を持っていたのかもしれません。

 ところで、この樫の木は、ユグドラシル同様ただの木ではなかったようです。
 切り倒された樫から散らばった各部分は、それぞれ各地において人々に栄光をもたらします。その一部を手にした者は、王となったり愛を手にいれたり大魔法使いになったりと栄転。ただ、波間に漂い、はるかポホヨラの地に流れ着いた木切れだけは違っていた様子です。
 その木切れはある少女の手によって呪いの矢に作り変えられた、とされていますが、この矢が後の章でワイナミョイネン自身を射落とす魔法の矢と同一のものであったとしたら、このときの少女は、ヨウカハイネンの妹アイノだったと考えられます。
 この兄妹とジジイの関係は、この次の章で。


 話はさらに続きます。
 樫が失われ、もとどおり日がよくあたるようになったところでワイナミョイネンはようやく自分から働きはじめました。種を蒔き、畑をつくって、のんびりファーマー生活。
 ところが、どういうわけか主食の麦だけが生えてこない。困っていると、シジュウカラ(鳥の種類)が嘲るようにこういいます。「麦は焼畑にしないと生えないんだよ〜」。じゃー早速火を起こして…といきたいところですが、実は、ワイナミョイネンは火種も火打石も持ってなかったようです。
 神を召喚して働かせられるのに、なんで魔法で火を起こせないんだ、このジイさんは?
 (火もなしに、どーやって寒い北国に住んでいたのかはナゾです…。)

 そこでワイナミョイネン、何考えたのか、いきなり木を切り倒しはじめます。今度は普通の木なので、ジジイの細腕(?)でも大丈夫。ただし、一本の立派な白樺の木だけは残しておきます。

 その木にやって来た鷲が、こう訊ねました。「なんだって、この一番立派な木だけ残しているのかい?」
 ジジイは答えます。「あんたが止まって休めるようにサ。」

 この返答にいたく感心した鷲は、ジジイのために翼で火を起こして畑を焼いてくれましたとさ。こうして畑に麦が育つようになりました。めでたし、めでたし。

 って…ジジイ、…最初っから自分で焼くの面倒だったんだろ…?

 まあ、何だかんだ言いつつ、畑は出来たわけですから、これで良し。なお、この物語では火をもたらすのは鷲となっていますが、大西洋を渡った北アメリカの神話でも、同じく鷲が、ワタリガラスの指示によって火を取ってきたことになっています。
 鷲の勇敢さと火のイメージは、どこかでつながっていたのかもしれませんね。


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