ディートリッヒ伝説-DIETRICH SAGA

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ジフカ

Sifka


 物語の元凶。名づけて男だっき。(「だっき」って言うのは、殷王朝を滅亡させた悪女な王妃のこと)ほんと、コイツのせいで周囲はとばっちりくらいまくり。

 一瞬「ジフカ? シフカじゃないのかなぁ」とも思ったけれど、発音知らないので放ったらかし。

 エルムリッヒ王の3人の息子は、何にも悪くないのに殺されてしまうし、甥(ディートリッヒの従兄弟)のエガルドとアキは大勢の兵士によってたかって嬲り殺しにされてしまうし。
 なぜ操られていることに気が付かんのだ、王様ーーー!
 奥さんの復讐とはいえ、幾らなんでもやりすぎだぞ、ジフカよ。

 事件が起こるまで、彼は、最初はエルムリッヒ王に忠誠を誓う忠臣だったんですよ。
 王のために仕え、王を信じてお使いに出たのに、実はそれが仕組まれたことで、自分の不在の間に美貌の妻オディリアが辱められてしまうんです。
 戻って来て、妻からそのことを打ち明けられたジフカは、大激怒。一転して、復讐鬼と化し、まずは王自身の手によって、王の息子たちを殺害に至らしめます。
 奥さんが辱められたと言ったって、別にオディリアは世を儚んで自殺したわけじゃないし、家出をしたわけでもないです。なのに、たった一度の過ちの償いが息子3人の殺害とは?
 ジフカは相当な妻バカで、激情家だったと考えられますが、それにしてはいちいち冷静。よく頭の回る男で、王を意のままに操って、次々と敵対者を死に至らしめていきます。

「私は、あの王にこの世で最も辛い罰を与えよう。死ぬよりも辛い目に合せてやろう。」(悪役セリフ)

 しかし王様はおバカなので、自分がいいように操られていることに気がつかないのです。
 嗚呼、なんたること!


 ところで、彼は自分のしていることが妻の受けた屈辱への報復と言っていましたが、私にはどうもそれだけではないように思えます。復讐するだけなら、エルムリッヒ王が戦いで受けた傷に苦しみながら死んだ時点で復讐は終わっているはず。けれど、彼はそこで留まらず、さらに軍を率いてディートリッヒと戦います。
 王の息子たちや、王の近親者の殺害は、王の後継者を根絶やしにするための計画ではなかったでしょうか?
 彼が本当に狙っていたのは、王を苦しめることだけではなく、実はローマの王位そのものだったのでは?

 ディートリッヒとの総力戦の傷が元でエルムリッヒが死んだあと、ジフカは嬉しそうに王位についていますが、彼が王では人がついてくるはずもなく、国内はガタガタ。ディトーリッヒは、そこを攻め落として国に帰還することになります。

 しかしなあ。
 王になりたいだけなら、ふつうに王様を暗殺するとかでも、良かったんじゃ…?

 物語の説明は不可解で、必ずしも、このジフカという男の本質を正確に表しているとは言い切れません。
 しかし、もし勝手に想像することが許されるなら、彼は、妻・オディリアという蔭の人形使いに操られたくぐつでしかなかったのではないでしょうか。オディリアは王を懐柔することに失敗、そのウサ晴らしを夫にやらせ、さらに夫を焚きつけて、自らが王妃となれるよう図っていたのではないのでしょうか。
 レイプ事件は実際にはなかったのに夫にウソをついてたとか!
 
 だとすれば、夫ジフカの死とともに彼女の野望も潰えるわけですが、もしかすると、次は別の場所で、別の名前で、誰かをだまくらかしているのかもしれない…?!
 なんせ彼女の末路は、書かれていないわけなんですから。
 オディリア=真のだっき説。ジフカは実は紂王だった!
 …だとすると、後半のジフカはもう正気じゃなかったんだな、きっと…。

 どう転んでも、欲望に取り付かれた哀れな悪役としか思えない。




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