ディートリッヒ伝説-DIETRICH SAGA

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ニーベルンゲン伝説の人々


 ここでとりあげているのは、「シドレクス・サガ」などディートリッヒを主人公とする物語群なので、当然、ディートリッヒがno.1の扱いをうけています。
 「ニーベルンゲンの歌」は、ブルグント族を中心として語られるためディートリッヒはチョイ役でしたが、こちらでは逆に、ブルグント族の面々のほうがチョイ役です。
 語る視点が変われば、おのずと役割も変わってくるもの。
 英雄物語というのは、語り手がひいきにしている勇士を褒め称える傾向があるもので、基本的に、自分の出身地の勇士をひいきにするものです。
 従って、登場する人物は同じでも、それぞれのエピソードが成立した場所によって役割が変わっていたり、語り手によって話の筋が変わったりするのも、よくあることでした。
 ディートリッヒを主人公とする物語に登場する「ニーベルンゲンの歌」の登場人物たちが、やったら弱いのも、あまりカッコよくないのも、そういう理由からなのです。

 「シドレクス・サガ」ではグンテル王とハゲネ(グンターとハーゲン)がシドレクの配下についているようですし、「クリエムヒルトのバラ園」では、こてんぱんにやられる側になっています。
 ニーベルンゲンファンからすると、ちょっと心がイタイものでもあります…。
 ディートリッヒの仲間たちも好きだけど、だからってそんな戦いしなくても。本音を言えば、どっちにも勝ってもらいたいですし…。

 ちなみに、クリエムヒルト側12人vs.ディートリッヒ側12の対決と結果は、以下のようになっています。対戦表は、参謀・ヒルデブラント師匠による考案。
 バラの印がついてるほうが勝者(笑) クリエムヒルト側、4人が巨人ですね。そんなもん、どっから雇って来たんでしょうか。ある意味、人材不足です。
 しかも、巨人はどーでもよかったらしく、サクサク殺されていきます。ディートリッヒ側は、負けても捕らえられるだけなのに…。


※名前の読み方は、自分がいちばん聞き覚えのあるものに変えました。
  そのせいで、古ドイツ読み、英語読み等、いろいろ交じってしまいましたが…。

第一試合 巨人プゾルド  vs  ウォルフハルト(ヒルデブラント、イルサンの甥)
第一試合は、ヒルデブラントさん家のアツい若者、ウォルフハルトの突進攻撃によって巨人撃破。
首をはねて、勝利します。ここらへんはアッサリと。
第二試合 巨人オルトウィン(プゾルドの弟)  vs  ジゲスタップ
存在の薄いジゲスタップ公。かなり頑張って巨人を倒します。
第三試合 巨人シュツルータン(プゾルドとオルトウィンの叔父) vs ハイメ
いちどは相手にドツき倒されるけど、持ち前の体力でがっちり立ち上がり、殴り返して勝利。
ハイメ君がまともに勝ったことにビビったのは、私だけではあるまい。(口げんかにも勝ちました。)
第四試合 巨人アスピリアーン(両刀使い)  vs  ヴィテゲ
「巨人なんかと戦うのはイヤだ」と言ってたくせに、愛馬スケミングを返してと言われた途端、意気揚々と戦場へ。
もちろん彼が負けるわけないですね…。
第五試合 シュツートフックス  vs  ロイセン王ハルトゥング
騎士らしく闘った最初の試合。馬に乗って槍なんか使ってる。
接戦のすえ、ハルトゥング勝利。どっちもマイナーどころの仲間だな、名前知らんよ。(オイ)
第六試合 ワスゲンシュタインのワルテル  vs  ディートライプ
ここでワルテルを出してくるか…。それにディートライプをぶつけるか…。
純粋に勝負としてみた場合、かなりの好カード。結果は引き分け。
第七試合 楽人フォルケール(フォルカー)  vs  修道士イルサン
注目の戦い、っていうか、異種格闘技戦と化しとります(笑) 双方の装備品に注目。
フォルケールが逃げ回るシーンっていうのが、どうしても「ふふふ。私を捕まえてごらんなさい」 イルサン「待てコラ!!」
…っていう、なんかからかわれてるようにしか思えんのですが。
第八試合 ハゲネ(ハーゲン)  vs  エッケワルト
この組み合わせなら絶対ハゲネが勝つところ、ろくに戦わずアッサリ負けてるあたり、ヤル気無いです。
まぁそりゃハゲネとしては、こんな試合別にやりたく無かったかもしれませんが。
この話を作った詩人の、ニヤリ笑いが見えます。
第九試合 ゲールノート  vs  ヘルムシュロート
あっさりヘルムシュロートの勝ち。
あんた誰だよ、的な存在のくせに〜。
第十試合 グンテル(グンター)  vs  アルプハルト(ウォルフハルト、ジゲスタップの弟)
巨人より人間相手が好きなアルプハルト。さっくりグンテルを倒して手加減ナシ。
第十一試合 ギヒコ王  vs  ヒルデブラント師匠
強。師匠、強いよ。
そんでもって、若い娘(クリエムヒルト)の口付けより奥さんの口付けのがいい、とか、自信たっぷりに言うのが男前。
第十二試合 ジーフリト(ジークフリート)  vs  ディートリッヒ
ディートリッヒ様…口から火ィ吐いて勝利するのは、反則です。
っていうか、その火でジーフリトの硬い体を溶かすって、もしやアナタはサイボーグ?!(006)


 と、まぁ、ブルグントの面々はボコボコにされてしまうわけで、「やっぱりディートリッヒのほうが強いんだ!」と、いう結論として、話は終わるわけです。
 この話では、グンテルやハゲネは敵側ですが、シドレクス・サガでは、ディートリッヒの12人の仲間として、ともに戦っています。(残念ながらフォルケールは間接的なつながりだけで、仲間には入っていない。)
 連続剣技試合の話は、他にもあり、ジーフリト率いる異国の王子たちとディートリッヒ率いる12人の勇士たちが戦うものも、あります。

 共通しているのは、ディートリッヒを主人公とする物語では、ハゲネやグンテルは弱い、ってことですね(笑)
 あまり活躍の場もないのです。それでも…一緒に戦ってくれると、ドリームユニットみたいで、ちょっと嬉しい…。




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