ハイメ

Heime

　「森の中で年をとるよりは、町に出て名を上げたい！」
　…そう言って、実家を飛び出してくれるＲＰＧの主人公みたいなお約束の青年。

　「ディートリッヒ伝説」の中でイチオシなのが彼ですね！　何と言っても彼は騎士じゃないし。
　山奥育ちで田舎もん、粗暴でガンコで単純バカ＾＾;　と性格には色々問題ありな彼ですが、なんせゲリラ戦には強かった。

　数々の試練と大ゲンカを乗り越えて、実の兄弟同然に絆深まったディートリッヒが叔父・エルムリッヒに王座を追放されるや否やキレて１．殴りこみ、蔭で王を操る悪臣ジフカを２．素手でハリ倒して気絶させ、王に処刑されそうになる前に間一髪３．脱走、森に潜んで王宮とジフカの邸宅に４．放火。

　さらに「シドレクス・サガ」では、ヴィテゲの剣を５．盗んだりもしています。
　うーん、何て立派な犯罪者だ！（笑）

　さらに、たった１人で忍びの如く敵本拠地に損害を与える君は、まさにレンジャーの鑑。
　ディートリッヒがエッツェル王のもとに亡命している４年の間、ローマ近辺の森に潜んでジリジリと敵を脅かし、どこからともなく襲い掛かる彼の恐怖に、誰も追跡できないという…。
　これで賞金かかってたりすると、なおグッド！

　彼については、実際の伝承に大して脚色加えてません。特別に妄想入れなくても、上記のような愉快な性格です。（笑）
　売り言葉に買い言葉でヴィテゲとケンカしたり、考え無しに飛び出してってトラブルに巻き込まれたり。でもディートリッヒとは大の仲良し。いちばん最初に仲間になって、いちばん最後までディートリッヒと一緒に冒険するのも、この人です。
　けっこう軽い性格なんで、信用できなさげなんですが、親友だけにディートリッヒは彼を大切に思ってます。
　国外に追放され（ニーベルンゲンの歌にあるように）、戻ってきたあと、行方不明になっている彼の居場所を探そうとしたりもします。
　王道ですね。


　年下のディートリッヒに負け、ヴィテゲにバカにされ、ディートライプにアッサリ倒されて逃げ出したりしている一見弱そうな彼ですが、森と馬があれば無敵です。なんせ森育ち。友達少ないかわりに、小さい頃から慣れ親しんできた馬とは気持ちが通じ合うお人です。
　ディートリッヒの部下の中では、たぶん唯一、生粋の平民です。騎士の家系ではありません。
　正規の決闘は弱いけど、逆境とゲリラ戦に強いのは、かなりいいですよ。こういう仲間が居てくれると助かるなあ〜。戦闘に変化がついて良。

　ちょっとお間抜けなのは、殴り込みに行って森に逃げ込んだあと、ディートリッヒがどこに逃げたか分かんなくなっちゃって、１人で４年以上も森の中に潜んでるってとこ。
　ディートリッヒだって心配してんだから、合流すればいいじゃん…。もしディートリッヒが見つけてくれなかったら、どうするつもりだったんだろ。戦争が終わったこと知らずにハワイの島に隠れてる日本兵みたいなことになってたり…。いや、自分から戻るのが恥ずかしいから、わざわざ目だつ「巨人退治」なんかしたのかな？（そしてディートリッヒに発見される。）
　いいですよね。堅苦しいシリアスな話も彼がいれば思うさま和みます。

　平民生まれっていうのは、威張ったところがなくて妙に親しみがあります。田舎もんらしく、単純で真っ直ぐです。
　ケンカ売られたら突っ込んで行くし、叱られればフテくされるし、ちょっとからかっただけで本気に取って怒り出すし。（困ったチャンだ。でも許す！）
　最後の戦いでも、卑怯なことは嫌だと無防備な敵に武器を持つ時間を与えて、命を落としてしまいます。マヌケなんですが、ただ信じて、自分の思うままに生きたハイメの人生からすれば、それが、在るべき最期だったのかも。


　彼の最初の願いは、「新しい土地で新しい暮らしを手に入れて、名誉と栄光を手に勝ち取ること。」
　自由な魂で願いを叶えた彼の一生は、波乱万丈ながら、この物語の中で最も悔いのないものだったかもしれません
　…本国でも、この人「おもろい英雄」「庶民的」とのイメージがあるらしくて、何かとツッコミを入れられる反面、マジメなシーンではあまりお呼びがかかりません。ハイメ君にもマジメな話くらい出来たと思うんですが…。
　ああ、でも悩むこと知らなさそうなので、皆がウジウジ迷ってると「考えるより行動だー！」とか言って相談をブチ壊すかな？　そんな感じだな、彼は。
　だからなのか？
　ちょっとした話のアクセントがわりに使われてるぞ？　話がシリアスになりかけたら、彼に一発ぶちかましてもらおうってか…。
　いいカンジ。

　ちなみに、彼の一族は、スレイプニルの血を引く馬のブリーダーをやってたとされています。ディートリッヒやヴィテゲの乗る馬も、ここの家が育てたもの。
　つまりはロキの子孫の繁殖をしてた人々なんですよ。
　ロキ神官だから、こんなにトリッキーなんですかね…。

■ハイメ君のチャームポイント■

　・馬と語らう。
　・つねに全力で何かを「やらかし」てくれる。
　・緑色。（森育ちなので、平地では弱く森では強い）
　・放火魔。（ひとりでローマ宮廷を全焼させる）　窃盗犯人。
　・ヴィテゲとは喧嘩仲間。殴りあうほど仲が良いとか。
　・実はちょっとさびしがりや。

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