ディートリッヒ伝説-DIETRICH SAGA

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ディートライプ

Dietleib(Detlef)


 ディートリッヒのもとに集う濃ゆいヤツらの中でも、いまいち良く分からないのが、この人。無知なようで物知りで、冷静なようで熱血漢、グウタラ息子かと思いきや意外な強さを発揮し、地位も名誉も見向きもしないかと思えば、突然カッコイイことを口走り出す。彼の行動だけは読めんですね…。
 でも一つだけ確かなこと、それは、彼は決して無能な男ではないということです。
 やりたいこと力一杯やっちゃって(例;主君の武器を質屋に入れて豪遊)、あとのことはあとから考えよう、みたいな場当たり的な生き方をしているわりに、やたらと巧く切り抜ける。無茶やってんだけど憎めない男です。

 そんな彼の初舞台は、社交界デビュー&盗賊退治。
 毎日毎日、台所でゴロゴロしていた彼は、何を思ったか、突然、父について、さる偉いお方のパーティーへ行きたいと言い出します。それまで料理見習いたちと遊びほうけていた息子のこんな申し出に、父親唖然。
 「お前なんか連れていけるか! おとなしく台所で灰でも浴びてろ!」
ディートライプは食い下がります。
 「そう言われても、僕は行くからね。」
 「お、おいこら!」
…って、結局ついてっちゃうんですが、これって…

 男シンデレラ。

 舞踏会に行くなと言われても行きたがる灰かぶり♪ シンデレラってもともと男(王子様)だったんですね。
 かくして舞踏会…じゃない、宴会に出かけたディートライプ。しかしてその実体は?! なんと、そつなく貴公子として社交界デビュー☆ これには父もちょっとびっくり。「息子が…息子が別人のようだ?!」うーん。魔法使いのおばァさんにちょいと手伝ってもらったのかな?(笑)。

 その帰り道。ディートライプと父親は、盗賊に出くわします。が、その盗賊、実はディートリッヒとケンカして家出していたハイメとその仲間だったんです。
 すかさず、ディートライプは剣技を初披露。ゲリラ戦には無敵なのに正攻法での戦いにはめっぽう弱いハイメは、アッサリ負けて逃げだします。
 …ハイメ…(苦笑)。

 しかし、ディートライプの冒険はこれで終わったわけではありません。社交界、戦場と腕試しを負えた彼は、いよいよかねてよりの計画どうり(え?)ディートリッヒをからかいにいこうと、親の忠告を無視してこっそりと出かけます。
 彼の場合、すでに公爵の跡取息子だし、地位も名誉も財産もあるんで、別に今さらディートリッヒに媚びいる必要は無かったんですね。つまり、単なる暇つぶし。でなきゃ、あんなムチャなことばっかしませんよ。
 ディートリッヒの武器を売っぱらってそのお金で遊んでみたり、饗宴に飛び入り参加して競技大会を盛り上げたり、あんた何やってんの? それに何の意味が…って言いたくなることも。
 ハイメとしても、盗賊やってたことがバレちゃうんで、悪夢。か〜なりビクビクしてたんじゃないですかね、彼。
 ディートライプのことだ、絶対、ハイメ脅して遊んでた。^^;

 そんなこんなで、ディートリッヒと友達になったディートライプ、ある日のこと、一緒に小人の王ラウリン退治に出かけます。
 メンツは、ヴィテゲにヒルデブラント師匠にウォルフハルトと、また濃ゆいメンバーです。ハイメがいないんだからケンカにならんだろう、と、思いきや、いきなりディートライプがキレました。
 ラウリンが、彼の妹を攫ってやがったからです。
 「お〜の〜れ〜小人ォ! うちのキューンヒルトに手ェ出してやがったら生かしちゃおかん! 殺す!」
兄は、どうやら妹がそーとー可愛かったらしいですわ。妹の名前聞くやいなや、いきなり豹変ですからね。
 ディートリッヒは「まあまあ落ち着けよ」と宥めようとするんだけど、逆につっかかってくる始末。結局、双方マジギレしてしまい敵前で大喧嘩に。

 師匠! 出番です!
 「ヴィテゲ、ヴォルフハルト、手を貸せ! お前たちはディートライプを抑えろ、わしは若を止める!」
3人がかりで必死になだめて、ようやく落ち着くケンカ。ディートライプとディートリッヒは、同レベルのキレやすい若者だったらしい。^^;(=ヴィテゲやハイメとも同レベル。)
 何だかんだ言って、やっぱ友達は似たものどうしなんですねぇ…。

 他にも、「クリエムヒルトのバラ園」など、色んなエピソードにちょくちょく登場しては、活躍しています。ディートリッヒの部下、ではなく、友人として、自分の領地は別に持っていたようです。いちいち呼びに行かないと仲間になってくれない。キミはマクドールさんか?<分かる人にしか分からない、ゲームのネタ
 彼のことだから、ディートリッヒの話に登場していなくても、また別の場所で、オモシロイ遊び相手みつけて気楽にやってたのかもしれません。
 ボンクラ息子かと思いきやメチャ強かったり、仲間の金を使いこんどいてアッサリ取り戻してきたり、よくわかんない人ですが、もともとの伝承からそんな感じです。彼はよく分からない人だし。
 と、いうより、型にとらわれず何でもやっちゃう人かも。

 自分の国の軍を率いてディートリッヒと戦うもの伝承もあります。(叙事詩「ビーテロルフ」)
 敵国出身であり、味方でもある人物、…それが、この人。
 彼がマジメに、しかも本気を出して行動してるのは、妹が攫われて取り戻しに行く話だけだと思います。それ以外の時は実力隠し。やるな、ディートライプ。

 なお、得意技は「じゃがいもの皮むき」だ、そうな。さすが台所のヌシと呼ばれただけのことは、ある。


■ディートライプ君のチャームポイント■

 ・男シンデレラ。(かつてのあだ名は灰かぶり)
 ・趣味・特技/お料理
 ・実は怪力男で、めちゃめちゃ強い。(いつ剣の練習をしたんだ…)
 ・名言「人を切るより、かつら剥きのが難しい」
 ・妹思い
 ・ときどきマジ切れしてしまう




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