■ディートリッヒ伝説-DIETRICH SAGA |
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「ディートリッヒ伝説」は、なんだかアーサー王伝説に似ている。
彼のうわさを聞きつけた各々の地域の腕自慢たちが挑戦しにやって来て、挑戦の末に負けて仲間になってくれる、という。RPGの王道。これぞファンタジーの原典。円卓の騎士も作れそうな勢い。主要な仲間の人数も、ちょうど12人だし。
皆して勝手なことをやっているところも、なんだか円卓の騎士っぽい。皆さんたいそう個性的で、クセのある部下ばかり、若いディートリッヒだけじゃぁなかなかまとまらない。個性的な人々の主であるディートリッヒは、アーサー王と同じく、仲間に裏切られたり足元すくわれたりと苦労の連続。さすがに奥さんが浮気したせいで死ぬってことは無いけれど、マジギレして部下とケンカするのは若いからだよね(笑)
え、でも、その仲間って「ニーベルンゲンの歌」で死んじゃってるんじゃないの、って?
ご安心あれ。
そのことについては別項で触れますが、この「ディエトリーヒ伝説」は「ニーベルンゲンの歌」と同時期に作られたものではないので、仲間たちは「ニーベルンゲンの歌」には出てこない。話は、完全に繋がっているわけではなく、微妙にズレているんです。
「ニーベルンゲン」に出てくる仲間たちは、「ディートリッヒ伝説」の仲間たちとはメンツが違うし、エッツェル王の側の事情も、少しずつ違っている…。
ディートリッヒをとりまく数々の物語は、大きな流れ成す物語が交じり合い、一つの流れとなっていく大河ドラマ形式の物語。
某有名小説家は「日本人の鑑賞に耐えうる伝説はギリシア神話だけだ」などとぬかしおりましたが、とんでもない。この、ドイツ・中央ゲルマン系伝説の登場人物たちの持つ人間臭さ、ドラマだって、捨てたもんじゃーないです。
何より、仲間たちが皆イイやつだ! 個性豊かで、みんな好き勝手やってんのにさりげなく仲間思い。ただ腕っ節が強いだけじゃない、心も強い。これが本物の英雄伝説だよね。
そんでもって、私がいちばん好きなのは、キリスト教的すぎるといわれるラストシーン。
物語の最後、年老いたディエトリーヒが狩りに出かけるシーンで、彼は嵐の中で漆黒の○○と出会い……おおっと?! ここから先はネタバレだね! 言わない言わない。やはり英雄の結末はコレがなくっちゃ!(ドレだよ)
個性豊かで愉快な仲間たちもてんこ盛り。
資料が少ないぶんハマります。勝手な想像でハマります。ケンカするハイメとヴィテゲを止めようとして巻き込まれるディートリッヒ殿下とか。いいね友情。あまりのお約束っぷりに、古きよき時代のRPGを思い出し、ホロリとさせられてしまうのです。
そこが魅力的であり、日本ではマイナーながら一部の人に愛されている理由なのです。