古英詩 ベーオウルフ-BEOWULF

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ストーリー要約(1) −グレンデル討伐


そのときから怪物たちはみな目覚めた、
巨霊も、妖精も、また悪霊たちも。
久しい間、神と争ってきた、巨人族も。



内容
1-52 序章、シルディング族(デーン人)の系譜をシルド・シェーヴィング(ロースガール王の曽祖父に当たる)の代から語る。
53-114 ヘアルフ・デネの次男、ロースガールがシルディング族の長となり、物語の舞台となるヘオロット(牡鹿館)を建造するが、沼地の怪物グレンデルがあらわれ、館を占領するようになる。
115-188 グレンデルは夜毎あらわれて、ヘオロットの館からシルディング族の者たちを攫い惨殺する。誰もこの怪物を止めることが出来ないまま、12年の月日が流れた。
189-257 その噂を聞きつけたヒゲラーク家の家臣(ベーオウルフ)、人間の中で最強の勇者は、15人の部下とともにシルディング族の国デーンへと向かう。しかし岸辺にいた番兵は、彼らを用心してすんなり通そうとはしない。
258-319 15人の隊を率いるベーオウルフは、番兵に、自分たちの血統・出自を述べ、援助に来たことを知らせる。
320-370 ヒゲラーク家の者たちは館に到着し、ロースガールへの謁見を求める。取り次いだウルフガールは、主君(兄)ロースガールにこのことを告げる。
371-455 ロースガールはベーオウルフのことを知っており、彼の家系について語る。謁見を認められたベーオウルフはロースガールと会見し、グレンデルの噂は聞いている、自分たちはその怪物を倒すために来たのだ、と告げる。
456-498 ロースガールはベーオウルフたちゲータの勇士たちを歓迎し、ヘオロットにて宴をひらく。
499-558 しかし、ロースガールの家臣のひとりウンフェルスは、このことをあまり好ましく思っていない。ベーオウルフが親友ブレカとの勝負に負けたことがある、と挑発的なことを口にしたため、彼は、その時のことについて詳しく語りだす。
559-661 語りの続き。ベーオウルフの過去の武勇伝。ブレカとともに海の怪物と戦った話に、ロースガールは喜ぶ。ロースガールの妻が登場し、勇士たちを歓迎する。
10 662-709 夜を前にして、ロースガールは館から離れるが、ベーオウルフは残る。夜が訪れ、見張りの者たちは眠りについてしまうが、彼だけは目覚めていて、戦いの時を待っていた。
11 710-790 グレンデル登場。扉の留め金を溶かして押し入った怪物は、手近にいた兵士を惨殺。ベーオウルフは、武器を持たないこの怪物に素手で挑むことを望み、自分の力だけで押さえつける。
12 791-836 戦いの激しさで、ヘオロットの館は鳴り響く。ベーオウルフの仲間たちは、彼を助けようと剣を振りかざす。しかし、致命傷にはならず、ベーオウルフのもぎ取った腕だけがその場に残される。
13 837-924 グレンデルの逃げ込んだ沼は血で赤く濁っていた。人々は、怪物が死んだものと思い込み、喜びの宴をひらく。招かれた詩人はベーオウルフの過去の武勇を語り、また、シゲムントについても語り始める。
14 925-990 ロースガールは怪物を倒してくれたベーオウルフに感謝の気持ちを述べ、息子として縁を結びたいと申し出る。例のウンフェルスは、悔しいのか黙ったまま側に控えている。
15 991-1049 戦いで傷ついたヘオロットの館が修復される。ロースガールはベーオウルフに様々な贈り物をするが、その中には、ヘアルフデネの剣も含まれていた。
16 1050-1024 歌とご馳走の宴の中、グレンデル討伐に関わった全ての者に対し贈り物がなされる。詩人はフィンの武勇についての歌を謳う。
17 1025-1191 歌の続き。フィンの死までの物語が語られる中、王妃ウェアルフセーオはロースガールのもとへ行き、たとえベーオウルフを義理の息子としたとしても、国と民は実子に継がせよ、甥のローズルフがそれを盛り立てるだろう、と告げる。こういう王位継承問題とかはメンドウですな。(個人的?)
18 1192-1251 ウェアルフセーオはベーオウルフに杯を差し出し、言葉をかける。しかしその時、人々は、災いが終わっていなかったことをまだ知らない。夕暮れが来て、ロースガールは床につくが…
19 1251-1320 グレンデル誕生秘話が語られる。この怪物には母なる水魔がおり、息子の復讐のためヘオロットに侵入する。しかしベーオウルフはそこにはおらず、この水魔もグレンデルほどの力は無かった。そのため、手近にいたひとりの兵士(王の側近)を攫うに止め、すぐに退散してしまう。
20 1321-1382 攫われたのは、王の心の友だった。近しい家臣を失ったロースガールは嘆き、ベーオウルフに対し、水魔を退治して欲しい、そうすれば褒美を与えよう、と言う。
21 1384-1472 この依頼を快く引き受けたベーオウルフは、ロースガールとともに敵の本拠である沼地へ向けて出陣する。そこにはアシュヘレの惨殺死体が転がっており、沼地には怪物たちがそこかしこに蠢いている。口先だけで腰抜けなウンフェルスは、自分が戦うのはイヤなので、持っていた剣、ルンティングをベーオウルフに渡す。
22 1473-1556 ベーオウルフは戦いに挑み、怪物たちによって水底へ引きずり込まれる。そこには水の流れのない館があり、くだんの水魔が座していた。彼は剣を投げ捨て、己の手によって戦おうとする。魔女はベーオウルフを組み敷き、短剣で彼にトドメを刺そうとするも、先祖伝来の胸当てに阻まれ、命を奪うことが出来ない。
23 1557-1650 ベーオウルフの目に止まったものは、古伝に聞く巨人の作った大剣だった。並の人間では使いこなせないこの剣をもって、彼は水魔とその息子であるグレンデルを滅ぼす。グレンデルの頭を切り離したあと、剣は、柄を残して溶けてしまう。一方、水が血に染まったことでベーオウルフは死んだものと思っていた人々は、驚き、かつ喜びに沸き返る。
24 1651-1739 戦いを終えたベーオウルフは、これでもう何も心配することはない、とロースガールに告げ、戦いに使った巨人の剣の柄を渡す。ロースガールは、かつてのデーン族の王ヘレモードにも勝れた力はあったが、後に一族に災いをもたらしたのだと言い、ベーオウルフには、そうはならないようにと忠告する。
25 1740-1816 教訓の続き。どんな勝れた人間も、いつかは年を取り力を失うのだということを、老王は切々と説く。そして、再び酒宴の席が設けられた。夜が明けて、ベーオウルフたちは国もとへ帰る準備をはじめる。ベーオウルフはウンフェルスからルンティングを正式に譲り受けるが、戦わなかった彼を嘲ることはしなかった。
26 1817-1887 ベーオウルフたちは、ロースガール王とその王子レスリークに友情を誓い、国許へむけて旅立つ。ロースガールは、もしも自分の息子の身に何かあったら彼がこの国を治めてくれ、とまで言い、様々な宝を贈る。だが、王には予感があった。年老いた自分は、二度とベーオウルフと会うことはないだろう、と。
27 1888-1962 船にはロースガールから贈られた宝が山と積まれていた。この宝を持って、彼らは故郷へ帰りつく。
28 1963-2038 ベーオウルフは、主君ヒゲラークにグレンデルとの戦いの顛末を報告する。
29 本によって、この間を29/30に分ける場合と、すべて30に入れる場合がある。途中、一章ぶん抜けているという解釈もある。内容は、上の続き。ロースガール王の息女、フレーアワルの政略結婚と、その失敗についての話。
30 2039-2143
31 2144-2220 ベーオウルフは、すべての宝を差し出すとともに自分が王に忠誠を誓う者であることを告げる。(何て欲の無い…)しかし、このことが味方からの彼への嘲りを産み、王さえもベーオウルフを軽んずる。しかし転機が訪れて、ヒゲラーク王の死と、メロヴィング王朝との戦争ののち、彼は国土の王となる。
…50年の歳月が流れたある日のこと、竜の守る宝に、手を出した男がいた。




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