■アーサー王伝説-Chronicle of Arthur |
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人の好みは色々なもので、円卓の騎士のうち誰の何処が好きかなんてものは、千差万別、十人十色、…でもまあ誰にだって好き嫌いはあるものでしょう。
私はガウェイン卿がお気に入りです
何でかって、分かりやすいし親しみやすいし。
マロリーの「アーサー王の死」から入った人はそうでもないかもしれないですが、このサイトで中心として扱っているドイツ・フランスの叙事詩では、ランスロットは出てこないで、ガウェインがひたすら大活躍です。
アーサー王伝説というのは、年月をかけて次第に形作られていったものです。その中でも、ガウェインがアーサー王に関わる伝説に登場した時期は、どう考えてもランスロットより古い。その古さから、もしかしたら、アーサー王の原型となった実在の人物の傍らに、実際に仕えていたかもしれない、そんな雰囲気の人です。
ランスロットのほうは、むしろグウィネヴィア王妃と不倫するために出てきたんじゃないのか? と、匂わされる部分も在。アーサー王に忠誠を誓っているといいながら、結局は長年裏切り続けているわけだし、エレインほか女性を不幸にしているし、子供に愛情は示さないし…
…とか言うとランスロットファンに叱られるのでアレですが、友達にするなら気さくそうなガウェイン卿でしょうやっぱ。
兄弟が沢山のご家庭のお兄ちゃん。貴族の息子なんだから兄弟の面倒なんか見なくてもよさそうなものを、何故かこまめに面倒見て、おまけに他所様の息子さん(例;パーシヴァルとか)まで構ってあげているほどのアニキっぷり。
しかもとっても友人思い!
友人のランスロットと戦うことを決意したのだって、弟たちがランスロットに殺されたからだし。それがなきゃ、「オレは友情を裏切れない」とか言って渋ってそうですよ、この人。
そんなに友人思いなのに、ことごとく、その友人たちに殴られるハメになる可愛そうな人。
ドイツの叙事詩では、エーレクにもイーヴェインにもパルチヴァールにも殴られて…。(ほろり)
人一倍苦労しているのに聖杯が見えないなんて、神様はとっても不条理だ。ガウェインは悪いことはしてない、むしろ人のために良いことをしている(通りすがりの有望そうな騎士を円卓にひきずりこむ・等)のに、穢れていると神様はおっしゃるのです。
まぁ確かに、かなり世俗的なお人ですけど。
まかり間違っても僧侶職には向かない人ですけどね。
そこが人間らしくて身近に感じられるところなんですよ。ええ。美人が歩いてたらナンパしなきゃ損です。腹が立ったら欲望のままに武器を振るうべきです。シンプル&ストレート。(なんでこんなに惚れっぽいのかこの人は)
まじめな話、「円卓」をめぐる物語って、かなりの率でこの人の友人関係から始まっているんで、物語の進行上、必須の人物なんですね。
マロリー版はともかく、それ以前の話でアーサー王が出てくるとなれば、必ず側にガウェイン(と、ケイ卿)がいます。
「パルチヴァール」でも、ガウェインが出て行ってパルチヴァールを引っ張ってこなければ、彼が円卓入りすることは絶対無かったと思うのですが。
そんなガウェイン卿を、アーサー王よ、もっと信頼してあげてください。
気さく過ぎて、高潔な騎士というよりそこらの兄ちゃんと化してる時がありますが…。