ゴジラチョップ事件

 
聞き間違いでトンチンカンをするってことってあるけれど、そんな時、どう対処するかで思わず出る各々の人間性・・・。
 02年2月の沖縄の旅行でも、その手合いの出来事が一つ。将来への自戒の意味合いを含めて、いざ、ここに開陳!


        
  
             沖縄 本部 問題のその岩

 「これから行くポイントは、ゴラチョップ・・・」 
 ダイビング・ガイド氏はそう言った。
 今まで色々な所で潜って来たけれど、時々不思議なポイント名に出会う。ガイドの皆さんとしては、お客さんの好奇心を煽る意味合いもあるのだろう。
 そう云えば与那国島には「ムーラン」と云うポイントがあった。「ムーラン」と云うのは確か「風車」と云う意味だけれど、その時のガイド氏は謂われを知らなかった。海中に何やら風車を思わせるものがあるのかと思いきや、何もなかった。あれはいったいどう云う由来だったのだろう。???
 う 〜 ん、「ゴジラチョップ」とはまたインパクトのある名前を考えたな、と思った。いちおう礼儀として、ガイド氏に「なんでゴジラチョップって言うんですか?」と聞いてみた。ガイド氏、にやっと笑って、「行けば判りますよ」
 そして車で30分。ポイントに着くとガイド氏、
「ほら、あの岩、ゴジラがカラテチョップしているように見えるでしょ?」
 同行のN.SUZUKIくんは、「ホントだ! 見える見える!」と言ったが、こちらにはどう見てもそうは見えなかった。どこがどうゴジラなんだ? ・・・まぁ、この手合いは無理矢理のことも多いから、あまり突っ込むのはやめようと思い、その話題はそれっきり。
 ポイントとしては最大水深で8mくらいと浅く、タイワンカマスの群れを見たくらいの退屈なダイビング。

         
         タイワンカマス(写真をクリックで動画再生 2.8MB
                 
 で、イマイチのダイビングの事などすっかり忘れていた帰路。羽田からの京浜急行車中。N.SUZUKIくんと何気なく、ダイビングの話になった。私が、
「あのゴジラチョップだけどさ・・・」
 と言うと、N.SUZUKIくん、鼻であざ笑うように、
「ゴラチョップだろ?」
 え? と私は耳を疑った。私はガイド氏と何度もポイント名を出して会話をしている。特に「ゴジラ」と云う部分は特徴的だから、ハッキリ発音していた筈だ。それをすぐ近くで聞いていたN.SUZUKIくんが、「ゴリラ」と聞き違えるとは・・・。
 そう、N.SUZUKIくん、人の話を聞かないB型の典型で(私もB型だけど)、仲間内では「トンチンカンのスズキくん」と呼ばれているのだ。おやおや、またしてもやってくれましたか・・・。
 しかし、私が「ゴジラチョップ」を主張すると、N.SUZUKIくん、今回は妙に強硬に「ゴリラチョップ」を譲らない。こちらとしても、ふっと自信がなくなって、それ以上論争はしない事にした。しかし、内心、九分九厘、「ゴジラチョップ」だと信じていた。

         
                           N.SUZUKIくん

 そして帰宅、早速、インターネットで「沖縄・本部・ゴジラチョップ」で検索してみた。あった! 一件だけど、ダイビングの旅行記のようなページが引っ掛かった。
 もう、こちらは得意満面! 何しろ、インターネット上で「ゴジラチョップ」と云う名前を発見したのだから、天下のお墨付きをもらったのも同然! すぐにN.SUZUKIくんに連絡。この性格だから、きっと、鬼の首を取ったように、
「ゴラチョップ!」と言ったに違いない。胸の支えがおりるようだった。まったく、スズキ、トンチンカンなんだから・・・と呟きながら。ただ、その後、ちょっと勝ち誇り過ぎたかな、と自己嫌悪が心の隅でチクチクしたりしたのだった・・・。
 その晩、遅くのこと。ふと、・・・ホントにふと、「沖縄・本部・ゴラチョップ」で検索してみた。すると、ダダダタ 〜 っと何十件もヒットするではないか! それも地元のダイビングショップがたくさん! 唖然。ありゃりゃ! 私のように「ゴリラチョップ」を「ゴジラチョップ」と聞き違えたヤツが一人、いただけだったんだ・・・。
 すぐにN.SUZUKIくんのところに電話を入れた訳だけれど、まぁ、そのバツの悪いこと! 反省。B型でトンチンカンなのは、私でした!
                                   <おしまい>
               
               <スライドショー>

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