2004年10月1日
「海上の森(かいしょのもり)」
愛知県長久手町
地図
撮影 Nikon COOLPIX950/OLYMPUS C-2020ZOOM

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海上の森は深いらしい、とネットで読んで、
今回こそれなりに準備していった。
ウェストバッグを買い、ドリンクを持ち、
懐中電灯と方位磁石まで持った。
更には遭難してもいいように(よくないけど)、
携帯電話とチョコレートまで用意した。
うーん、完璧だ……。
デジカメも2台持って、さあ出発だ。
(しかし、せっかく買ったテレコンを忘れた)
家から車で30分。
近っ。
海上の森ってこんなに近かったんだ。
全く知らなかった。
万博予定地になったり、もめてとりやめになったり
そんなことがニュースになったりしなければ、
一生知ることも行くこともなかったかもしれない。
駐車場はたくさんあった。
ここは手前の広い方で、奥にもスペースがあり
数十台はとめられそうだった。
場所は、山口駅から東に走り、
信号2つめを右に折れ、橋を渡ってすぐ左折、
そのまま進んだ左側にある。
これは更に奥に入ったところ。
ここにも数台はとめられる(6、7台かな)。
ただ、平日の午後でも4台とまっていたので、
休みの日などは先ほどの手前にとめておくのが
無難。
歩きの距離はそれほど変わらないし。
少し歩いただけですぐに人里離れた感じになり、
自然が満載、都会の騒音は遠いものになる。
里山の見本みたい。
木々が生い茂り、沢が流れ、人の気配がない。
名古屋市から車で30分のところとは思えない。
ただ、まだ入り口付近はコンクリートだったり、
砂利でならされていたりで、
いきなり山道というわけではない。
看板らしい看板もなく、標識もない。
海上の森全体が一時万博予定地になっていた頃
はいろんな反対の看板が立っていたり、
人がいろいろ訪れたりして騒がしかったのだろうけど、
予定地がほんの一部になったことで、
ほぼ完全に静けさを取り戻したように見える。
ここらあたりにあと半年後に万博が行われることを
示すものは何もない。
よく言えば手つかずの自然が残っていると言えるし、
悪く言えばまったく手入れがされていない。
変に自然保護とかされるとおかしくなるのだけど、
あまりにも放りっぱなしというのが少し気になる。
実はこの森の中にはわずかに民家があって
人も住んでいる。
だから、やや扱いが微妙だったりする。
このように各所に車止めがあって、
一般の車は乗り入れられないようになっている。
この森の所有は県になるのだろうか?
人が訪れることを一応は想定してるのだけど、
観光名所ではない。
かといって、個人の所有してる山
というふうでもない。
ここを万博に使うために
全部つぶそうとするには
かなり無理があったと今更ながら思った。
少しずつ山深くなり、道も狭く、登りも急になる。
コースは色々あって、たまたま私が選んだのは
険しいコースだったということが
後になって分かった。
普通は四ッ沢を左に行って整備された道を
行った方がいい。
私のように右の広久手の森コースを行くと、
とっても険しいから。
でももう引き返すに引き返せないので、
せっせと山道を歩いて登って、
物見山を目指す。
だんだん道なき道というふうになってきた。
ほとんど四つんばいになって
登らないといけないくらいのところもある。
普通の靴では歩けないくらい。
特に台風後の雨上がりということで、
道は滑りやすかった。
しかも、物見山は遠い!
人ともまったく出会わなくなり、
かなり不安になる。
道案内もないし、脇道もあって迷ったりするし。
ふうふう言いながら登っていくと、
何やら小高い場所に大きな岩が
意味ありげにいくつかある。
これが武田信玄が陣地をはったという
物見山だろうか?
何も書かれてないのでさっぱり分からない。
とりあえずそういうことにしよう。
ということで、石に座って少し休憩。
遠くに鳥の声や木々のざわめきを聞き、
風に吹かれる。
残念ながら展望は悪い。
木の間からわずかに街並みが見えるだけだ。
三角点発見。
物見山かどうなのかは分からないけど、
何らかの頂上なのだろう。
というか、三角点の意味を知らない私……。
で、ちょっと調べてみたら、
測量に使った場所で、
必ずしも頂点ではないらしい。
やっぱりここは物見山ではないのか?
更にしばらく歩くと、
おおお!
物見山の標識がっ。
標高312メートル。
なんだ、ちゃんとあるではないか。
じゃあ、さっきの石の小山は……?
武田信玄はここに来たのか?
物見山の頂上付近は、
ちょっとした広場になっていて、
申し訳程度に木のベンチなどもある。
この海上の森では
数少ない人に親切な場所だ。
まあとりあえず本物の物見山が
見つかったのでよしとしよう。
探していて見つからないと、
あとあとまで気になるから。
ここからの展望もよくない。
木が生い茂っていて、よく見えない。
かつてはここから、三河湾、伊勢湾、
稲葉山城、清洲城まで見えたというが、
ちょっと信じられないくらい見晴らしは悪い。
展望台が欲しいところだ。
物見山は聖徳太子の古墳です、
と書かれている。
それはちょっと怪しい気もするけど、
物見山や海上の森は、
けっこう古代から意味のある場所だったらしい。
ずっと昔は山のすぐ下まで海だったらしく、
それで海上の森という名前がついたとか。
物見山を北へ向かって降りていったら、
拍子抜けするくらいあっさり降りることができた。
南から登るのに1時間くらいかかったのに、
北へ降りるのは5分程度。
あの1時間はなんだったんだ……。
山登りしたい人は広久手からのコースを、
楽して物見山へ行きたい人は北からを
オススメします。
早くも体力の限界を感じ始めた私。
足取りが重い……。
山道の途中で標識らしいものはほぼ皆無。
なので、こういう落書きのような案内が
けっこう役に立った。
大まかな方向を誰かが書いてくれている。
けど、あらかじめ簡略なものでもいいから
地図は絶対に必要だ。
方向感覚のいい人でも
地図なしでは迷うと思う。
ここここここあたりの地図をプリントアウト
して持って行った方がいいです。
夜に迷ったら洒落にならんです。
いや、ホントに。
ようやく山道から解放され、開けた場所に出た。
そろそろ夕暮れが近づき、
山の稜線が夕焼け色に染まり始めた。
青空は台風の過ぎた後で、
済んだ青だった。
やっと散策という感じに戻って、
少しは疲れも取れてきたようだ。
海上の森は道を選べば快適な散策になり、
道を誤ると険しいぜえぜえの山地になる。
海上の森の中心あたりに集落があり、
そこに何軒かの民家がある。
時代から取り残されたみたいに。
私は三重の田舎で見慣れているから、
こんな風景もそれほど特別なものとは
思わないけど、
都会育ちの人には物珍しく、
懐かしい感じがするんじゃないだろうか。
そうそう、物見山へ行く途中に、
マウンテンバイクの兄ちゃんにひかれそうに
なったんだった。
すんごい勢いで駆け下りてきて、
あのままぶつかっていたら、
ふたりもろとも山から転げ落ちていっただろう。
ここはマウンテンバイカーな人たちにとっても
絶好のスポットになってるようだ。
しかし、あんな歩くにも大変な山道を
よく自転車に乗って走ってるなぁ。
滑って転げ落ちていったら助からないんじゃ
ないかって思えるほどデンジャーな道
なんだけど。
逆光にキラキラ光るものがあって
何だろうと思ったら、トンボだった。
これもまた懐かしい風景だ。
トンボの群れなんて久しく見なかった。
ここにも武田信玄の文字が。
信玄ゆかりの地であることをかなり
アピールしようとしてるらしいが、
そんなの初めて聞いたぞ。
海上の森といえば武田信玄、ってほど
有名なんだろうか?
もうかれこれ2時間以上歩きっぱなしで
限界を超えてきた。
最後に大正池を見て帰ることにする。
しかし、ここも案内などなく、
分かりづらい簡略地図を頼りに向かったが、
どうもよく分からない。
何度も違う道に入り込んでは引き返し、
ようやくそれっぽいところを見つけて、
そこを進んでみることにした。
こんな木の橋がかかってる先には
何かあるだろう、ってことで。
な、なんか道が妙に山深いんですけど……。
一応道はついてるんだけど、
最近人が歩いた形跡があまりなくて、
しだいにケモノ道めいてきた……。
うわっ! 顔に蜘蛛の巣がっ!
どうやらこの道も違うらしいと気づきつつ、
もう少しだけ進んでみた。
すると、小高い場所が少し開けていて、
またも三角点を発見。
って、こんな高い場所に池があるはずもなく、
やっぱりあきらめて引き返すことにした。
その先はますます道が細くて
木や草が生い茂ってる感じだったし。
ここはものみ台ってところだったのかぁ。
違ったのかなぁ。
あの意味ありげな木の橋は何だったんだ?
やっとこさっとこ民家のある方に戻ってきた。
で、地図で気になっていた簡易トイレってのを
見つけた。
……。
工事現場とかにあるやつですか?
これは相当せっぱ詰まってないと
使う気になれそうにないかも。
もちろん、何もないよりあった方がありがたい。
今度困ったときは使わせていただきます。
多度大社というのもあったので、
訪れてみた。
野ざらし、雨ざらしになってる感じだったけど、
あれでいいのか……。
小川のせせらぎの音というのは、
耳をすますと心和ませてくれるものがある。
これがどういうたぐいの水かは知らないけど、
なかなかきれいそうな水だった。
ノドがからからだったら飲んでみるかも。
飲んでみないかも……。
今日は飲み物も持って行ったから、
もちろん飲まなかった。
ここにも武田信玄の旗が。
古城祉?
何か城みたいなものもあるんだろうか。
見かけなかったけど。
海上の森はなかなかに奥深いかもしれない。
山道を歩くこと3時間。
常人以下の私にはきつい道のりだった。
適度な歩きは健康にいいと言うけど、
過度の歩きは健康に悪い。
車に帰り着いたのは夕方の5時半過ぎで、
私の車だけが取り残されていた。
みんな引き上げるの早いのね。
先の駐車場にも一台もなかったし、
夕方までふらついてる人は、
あまりいないらしい。
けど、今回は暗くなる前に帰ってこられて
よかった、よかった。
緑地で迷子になってる人間が
森で迷子になったら出られない。
帰り道の運転はヨレヨレ。
クラッチを踏む足がつりそう〜。
ひゃ〜、助けて〜。
運転しながら写真なんて
撮ってる場合じゃない。
けど、夕焼け空がきれいだったので、
なんとか一枚。
何やら見慣れない花が。
「花屋さんの本」には載っていそうにない。
にしても、白い花ってホントにピントを
合わせるのが難しいなぁ。
私だけ?
それともデジのせい?
液晶モニターでは合ってるように見えるのに
写真を見てみるとどうもビシっと合ってない。
暗い森の中で、この葉っぱだけが
光を受けて光っていた。
なんでもない存在でも、
何かの拍子にスポットが当たることがある。
そんなことを思わせた。
また苦手な白い花。
ゴマナ(胡麻菜)じゃなく、
ノコンギク(野紺菊)かなぁ?
これもピントが合ってない。
COOLPIX950のオートフォーカスは
今更ながらあまり当てにならないことに
気づく。
今後、白い花を撮るときは要注意だ。
こういう花なのか、つぼみなのか。
今日の接写は全体的にピント不調。
というより手ぶれの問題か。
これでテレコンを使っていたら、
ますますブレてただろう。
ポピュラーな花っぽいけど、何だろう。
花の名前は全然くわしくなってない。
また時間があったら調べてみよう。
森の中は至る所が苔だらけだった。
木も石も、こんなコンクリートの溝も。
持って帰るための準備をしてなかったけど、
この森の苔はここのものだから、
このままそっとしておいた方がいいだろう。
苔はきれいだなぁ。
これはたぶんコスモスだと思うんだけど、
どうだろう?
コスモスと言えば秋、なんだろうか?
もう季節が夏から秋へと移ってしまったのか、
森に咲いてる花は思ったより少なかった。
もっとあちこち色とりどりに咲いてるのかと
思って期待してたのだけど。
何やら謎の植物。
花なのか、そうでないのか。
初めて見た。
民家のそばで咲いていたから、
自生してるものではなく、
誰かが植えたものだろうか?
コスモスその2?
これも民家のそばのあぜ道のようなところに
咲いていたいもの。
野生のコスモスってある?
ない?
これは彼岸花のはず。
道ばたに咲いていたから自生してるものだろう。
彼岸花というと秋という気がするから、
やっぱり季節はもう秋なんだ。
そうえば今日から10月で、衣替えだ。
私も今日は長袖を着ていったのだった。
気温よりも蚊対策としてだけど。
おかげで蚊はいたけど刺されずに済んだ。

 ここから下の8枚は、C-2020ZOOMに3.3倍のマクロレンズをつけて撮ったものだ。
 ピントがひじょーにキビシー。
 外に持ち出して手持ちで3.3倍マクロレンズはあまり実用的じゃないかもしれない。
 少なくとも今の私では使いこなすのが難しい。
 何しろ被写体深度が浅すぎる。
 ここまで前後がボケて、小さな部分にしかピントが合わないと、被写体が相当限られる。
 というか、今頃気づいたけど、もっと絞りを絞ればよかったんだ!
 はは……。
 もう遅い。
 いつも背景ボケを(無理矢理)作るために開放するクセがついていた。
 いやいや、失敗。
 また今度再挑戦しよう。
 けど、背景ボケだけは一眼レフ並みだ。

  

↑ツユクサ(露草)

↑アキノキリンソウ(秋の麒麟草)?

↑キンミズヒキ(金水引)かな?

↑たぶんオトコシエ(男郎花)とアリ

 

 といわけで、今回の海上の森行きは極度の疲れをもよおすものだった。足取りが重いというのを久々に経験した。
 でもそれは悪い疲れではなかった。
 とりあえず万博でつぶされることはなさそうで安心した。あれだけ手つかずの自然を万博などでつぶしてしまうのはもったいなすぎる。

 時期的に微妙にずれていて花を思ったほど見つけられなかったのは残念だったけど、私が歩いたコースにも少し問題があったかもしれない。湿地帯のようなところは分からなかった。
 一回ですべて回れるほど狭い里山でもないし、季節が変わったらまた行こうと思う。次は春がいい。
 次はもう物見山への南コースは取るまい。あれはすごく疲れるから。
 今度は北側の大正池と篠田池へも行ってみたい。

 良くも悪くも観光スポットではない海上の森。
 万博騒動で有名になってしまったけど、万博が終わればきっとまたひっそりした里山に戻ることだろう。
 家から車で30分の場所にあんなに自然が残ってるところがあるとは知らなかった。

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