デジカメ日記/OLYMPUS E-10にて撮影

 2005年 9月8日(木)

 空の写真は誰でも撮れるけど、思うほど簡単じゃない。
 空はひとつ。でも、空は人の数だけあって、見上げる空は人それぞれ。
 広い空のどの部分を何mm(何倍ズーム)で切り取るか。広く写し込むのか、ポイントを絞るのか。建物は入れるのか入れないのか、入れるならどれくらい入れるのか。
 選択肢は思いのほか広くて、センスを問われるようで少し気持ちが委縮したりする。

 写真の才能がある人間というのは、たぶん目に映る風景なり光景を見て、写真として完成した図が頭に浮かぶのだと思う。シャッターを切る前に。だから、作業としては頭の中にある完成した写真から逆算して構図や絞りその他を決めてシャッターを押すという流れなのだろう。
 私を含め、普通の人はその逆だ。心動かされた光景に対してとりあえず何枚かシャッターを切って、できてきた写真を見て良い悪いを判断する、という流れになる。あるいは、できてきた写真を見てもどれが良くてどれが駄目なのか判断に迷う。これがよさそうだなと感じるにしても、そこに確かな根拠はない。
 この夕焼け空の写真にしても、珍しい空だし面白いなとは思うけど、この場所でよかったのかどうか確信が持てない。

 写真に正解はないとも言えるし、あるとも言える。いや、たぶんあるに違いないのだけど、私には分からない。撮り続けていればそのうちぼんやり分かってくるのかもしれないけど、今のところさっぱりだ。
 別に正しい写真を撮りたいと思っているわけでもないのだけれど、自分の中で良いのか悪いのか分かるという感覚を持てるようにはなりたいとは思っている。できることなら、シャッターを切る前に写真が思い浮かぶところまでいければいい。今はまだその感覚には遠いところにいる。
 残念ながら私は写真の天才ではなかった。でも、だからゆっくり上達する楽しみがある。スポーツなんかとは違って若い方が有利というわけではないから、これから少しずつ積み上げていくことにしよう。
 まだちゃんと撮り始めて1年だ。そんなに急に上手くなったら楽しみがなくなる。


 私がいつも撮りたいと思っているのは、人がいる風景だ。人でも、風景だけでもなく、バックに風景のある人物でもなく、人がいる風景が撮りたい。
 右の写真はまだ写真に目覚める5年くらい前、単焦点のデジカメで何の計算もなく撮った写真だ。夕暮れ時、琵琶湖のほとりで男の子と女の子が微妙な距離で並んで座っていて、あ、いいなと思って何気なくシャッターを押した。
 あれから今に至るまで、私はこの写真を超えるものをいまだに撮れてないような気がしている。
 そう思うと、やっぱり写真って難しいなと思う。


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