デジカメ日記/OLYMPUS E-10にて撮影

 2005年 5月25日(水)

 暗闇に光が数粒。
 夜空の星ではない。
 地上のヒメボタルの光だ。

 名古屋市天白区の相生山緑地にヒメボタルが自生していて、そろそろピークが近づいたとのことで、今日初めて行ってみた。
 写真はこの通り、ほとんどまったく撮れなかったけど、そんなことどうでもよくなるほどホタルの光は神秘的で感動的で切なかった。

 暗闇の森の中、あちらで3つ、こちらで2つ、向こうで5つ、といったように小さくて強い光を放つヒメボタル。
 ときより、明滅しながらふぅ〜っと目の前を緩やかに飛んでいく。それはまるで、夢の中の光のように近くて遠い。触れられそうで触れられない。

 今日見た光景は、一生ものだった。年を取ってもうろくをしても覚えてるだろう。
 名古屋近郊の人は是非出かけて行って見て欲しい。
 行きたくても行けない人のために写真で少しでも伝えられたらよかったんだけど、あれはどんなに上手く撮っても写真では伝えきれない。実際に自分の目で見ないとどういうものか分からない。

 今年は例年に比べて少し遅いらしい。25日現在、まだピークを迎えてないとのことだった。あと3日くらい先の条件が整った日(暖かくて風のない日)にピークが訪れるという話だ。
 それは一日しかないのだという。その日は森中あちこちでたくさんの光が見られるらしい。

 光り始めるのは夜9時以降から深夜まで。
 森の中はおそろしく暗い。でも、強い光を嫌うヒメボタルのために、できるならライトは使わないのが望ましい。
 ただ、シーズンは平日でも数十人、週末は数百人の人が訪れるから、その人たちの後をついていけばいいと思う。私も親切な男の人に道を教えてもらった。
 場所は天白区の相生山緑地。地図はこちら
 整備されてる北側の「オアシスの森」ではなく、地図でいうと、一番南東あたりがホタル・ゾーンの入り口になる。入ってすぐ左奥に公衆トイレの明かりが見えたらそこで間違いない。
 駐車場はあるようなないようななので(一応あるけど閉鎖されているようだ)、周辺の迷惑にならないところに路上駐車することになる(駐禁の場所は避けたい)。

 ホタルというと川沿いにいるゲンジボタルが一般的だけど、ヒメボタルは陸生だ。森の湿った地面近くにいる。
 ゲンジボタルより体は小さく、光は強い。ゲンジボタルの黄色っぽくて優しい光に対してヒメボタルのは小さなフラッシュのような白い明かりだ。今回私も初めて見た。いる場所が限られているので見たことがある人は少ないんじゃないだろうか。
 名古屋では他にも数ヶ所で見られるらしいけど、相生山緑地が一番らしい。全国的にも、これだけのヒメボタルがいるところはそうないようだ。
 ここは道路工事の予定があるらしく、近いうちに見られなくなってしまうかもしれない。

 今日当たり前に見られるものも明日はどうなってしまうか分からない。ホタルに限らず、何でもそうだ。だから、見られるものなら、来年といわず今年、明日といわず今日見ておきたい。
 ホタルの絶滅に心痛める私たちもまた、やがてこの世から消えてなくなってしまうのだから。


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