一度も見たことがない草原の風景が、なんだかとても懐かしく感じられる。
水色の高い空と、膝まである緑の草。その間を吹き抜ける柔らかい風。
走ってもはしっても近づかない地平線。どこまでも行けるけど、どこへも行けない。
それはいつか見た景色なのか、この先で見る景色なのか、それとも頭の中にだけある幻なのか。
いつか草原に立つことは、願いでもあるけど、叶えるべき夢というようなものではない気がする。
たぶん、想像してるような場所は今の地球にはないだろう。モンゴルにもきっとない。
でも目を閉じればそこにある。だからもういい。
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