SANYO DSC-SX150にて撮影

9月15日(日)

もう10年くらい前になるだろうか。
ある日突然、郊外の道路脇にピンク色の外壁の建物が唐突に建った。
結婚式場の「出雲殿」だ。
あまりにも周りの風景にそぐわないそのド派手な建物は、
ギャグを通り越してシュールすぎて笑うに笑えなかった。
当時の私はまだ若かったこともあり、そこを通るたびに皮肉な目でにらんでいた。
こんなところにこんな建物を建てるなんて何考えてるんだ、などと考えながら。

けれど、時は流れ、周りにもたくさん派手な建物も経ち、ピンク色の外壁もやや色あせ、
気がつけばそれは周りに風景にすっかり馴染んでいた。
いつの間にか違和感がなくなった。
あるいはそれは私自身の見方が変わったせいだろうか?
あの頃私の中にあった少し馬鹿にする気持ちがすっかり消えて、
そこの建物で式を挙げるカップルを素直に応援できるようになったから、
その建物に違和感を感じなくなったのだろうか?

ピンク色のいかにも作り物めいた結婚式場って意外と悪くない、
そう思い始めたのはいつからだろう。
日本にしかない、日本オリジナルのややトンチンカンなセンスって私は嫌いじゃない。
日本人はきっといつまで経っても、
洗練されていて上品で隙がないような人種にはなれないだろう。
でもどこか抜けたところが日本人の愛すべきところだと私は思う。

西洋に憧れ、西洋風の結婚式を真似、でも本人も参列者もどう見ても東洋人で、
似合わないウエディングドレスやタキシードを着て、ケーキカットやキャンドルサービスをして、
新婦の友達が歌を歌い、親戚のオヤジが酔っぱらって暴れ、
それでも最後は感激して泣いたりして、永遠の幸せを誓ったりする。
それはなんだかとても素敵なことだ。

10年前、馬鹿にしながら通った道だけど、
今は前を通ると、中で行われているであろうドラマを想像して少し笑える。
時が流れるってことは悪いことばかりじゃない。

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