スタジオライフ公演「SUNS」   10月6日  シアターサンモール

久ぶりのシアターサンモール。
こちらは、新宿御苑駅(丸の内線)から、すぐの場所にあります。
恐ろしく、しゃれたマンションの地下・・・私たちは近道で、そのマンションの裏から通路を通って来るのですが、その
裏口からすぐのトンネルみたいになってる所が素敵・・・壁に灯りがともってるのですが、それが、薪のような電灯。
ボボッと点滅してる赤い灯・・・まるで、中世のお城の廊下・・・みたいな雰囲気。
建物は、レンガなので、イヨイヨドラキュラでも出てくるのではないか・・・という趣きなのです・・・ウウン〜好きだわ!

今回の劇は「SUNS」・・・そのまま息子たちのお話。
原作は、夭折なさった漫画家、三原順さんです。
この方の作品は、今まで、残念ながら読んだことはありませんでした。
お話は、アメリカの片田舎の都市に住むD・Dという高校生くらいの子のお話です。
登場人物の関係が割と、込み入ってるお話で、そこが、一種のミステリーになってます。
最初に若いお母さんが、赤ん坊を殺そうと言う場面があって、それを男の人が止める。
赤ん坊を病院に連れて行く・・・と立ち去るのですが、その若い母親は飛び降り自殺をしてしまいます。
それが、ノッケですから、サッパリこちらには訳がわからない・・・この場面は又、最後に繰り返されて、なるほど〜なんです。
上手い、演出だと思いますね。最初は、日常ではない異常事態から・・・何かが起こる予感を感じさせて、
最後は、謎解きに似た感覚を覚えさせる。

3時間の大作なんですが、退屈してる間はありませんでした。
初めてのお話なんで、次はどうなるのか・・・が見逃せないというのもありますが、面白い。
D・Dの伯父さんのウイリアムは、一口で言って、ヤナヤツです。
会社乗っ取りだのなんだの、家族よりも金儲けが生き甲斐で、子供たちはそんな父親に複雑な気持ちを抱いています。
ウイリアムの息子は二人で、長男がジュニア、次男がケビン。
ウイリアムには笠原浩夫さんが、冷たいカッコ良いやり手社長を好演してました。
ジュニアは山本芳樹さん・・・この方は切ない役が本当に似合う。
前の「訪問者」のオスカーも、いじらしいというか、切ない、はかない感じが素敵でしたが、今回も本当に純粋で
良い子で、親孝行で・・・その重荷に耐え切れずに死んでしまうはかない少年を、上手に演じていました。
弟のケビンも嘘つきらしいのね〜可愛いのだけど・・・こちらは、可愛い深山洋貴さん。
ウイリアムの2番目の妻と、秘書で愛人サラとの二役の山崎康一さんは、もうメチャ面白い。
この方の、メチャメチャ女は特に、いつも笑えますが、良く女性のヤナ面を見てるな〜と感心です。

最初の妻で、子供たちの母親は曾世海児さん・・・もう、綺麗ね〜本当に。
二役で、最後のほうでは、ウイリアムの弟のスティンの愛人は、ドレス姿でもう、ホンマに綺麗!!

お話は、ジュニアと不良の友達と女の子、ケビンを載せた車の事故。
誰が運転していたのか・・・でウイリアムは有能強引弁護士を雇い、ジュニアが運転していたのかも・・・をバッサリt無罪に
してしまう。でもね・・・とここからジュニアの昔からのトラウマとかがあって、ジュニアは自殺してしまいます。

D・Dはそういうことを見ていて、悩んで、又自分の出生の秘密にも悩んでる。
D.Dはこのところ美人役の多かった岩崎大君が、どこからみても「男の子」を演じていました。
その友達、トーマスの及川さんは、なかなか良い脇役で、重くなりがちな舞台に爽やかさを吹き込んで
くれる・・・って感じかな。D.Dのガールフレンドの船見和利君も相変わらず、可愛いお嬢さんぶりでした。

女の子役は、不良少女のジニ−役の姜暢雄君は新人さんなんですが、結構迫真の演技でした。
トーマの心臓の時の、バカのアンテも、なんとも不可思議な感じで良かったし、将来株かな〜と思いました。
台詞も長かったし、ミニスカートも大変だったのでは・・・もう少し、女性勉強したら良い女役になれるな〜
背が高いので、動くといかにも女装の坊やなんだけど、面白いキャラの子ですね。

D・Dの心の中の風景で、かかしとギャングみたいなアニ−、狐か狸かみたいな尻尾のルディが住んでいます。
困難とかに出会うと、案山子を囲んだ二人がなぞなぞみたいなことを言う・・・それで、D・Dは安定するのかもなのですが、
そのわけの判らない問答をする、アニ−の藤原啓児さん、ルディの倉本徹さん、とぼけていて、
チョット、オズの魔法使いとか、ナイトメア・・・のアメリカ農村的雰囲気でしたね。

音楽は、70年代のポップスが多い。
「夢のカリフォルニア」がこんな懐かしい良い曲とは思いませんでしたね。
それと「There is a Ship」がもう、懐かしい。PPMではなくて、誰のだろう・・・切なくて良かった〜
雰囲気は、映画の「スタンド・バイ・ミー」に似てる・・・。

私の隣の女性・・・30過ぎくらいかな〜は途中からもう、涙が止まらなくなったらしく、クシュンクシュンと大変でした。
確かに、お話は重くて、「父と子」がテーマなので、最後になるにつれ、グッと来る場面も多いのですが、
しかしなあ〜こんなに、泣ける人も幸せだな〜と・・・うるさいんだけど・・・マア、お芝居が良かったってことでしょう。
D・Dの父親はウイリアムの弟のスティンで、最後に会う場面は、チョット泣けるな。
で、最初の、母親に殺されかけた赤ん坊は、D・Dだとわかるのです。

私は、千秋楽のチケットも持っていますので、又、違った面とかを見れるかもしれません。
後日、又書くかも・・・ですが、1度でもなかなか見ごたえのある作品でしたね〜うん。