「死の泉」スタジオライフ公演     5月26日、30日

皆川博子さんの小説が原作です。
1回目の公演はおととし…99年の夏に見ております。
で、小説もその時に読みました。
これは、もう、お勧めものです…早川から文庫で出ております。
怖いけど、なんとも耽美的で、退廃的でロマンティックで・・・好きです。

お話は、第二次世界大戦中のドイツが舞台です。
主人公のマルガリーテは、結婚していませんが、子供を身ごもってる。
で、レーベンスボルンという産院に行きます。
この産院の院長は、ナチスの軍医で、偏執狂・・・原作では醜いのですが、
役では甲斐さんが演じますので、冷たい感じで怖いのですが、美しいです。
この院長に見込まれて、結婚するのですが、これが不幸の始まりで・・・
ポーランドから無理やり連れて来られた、子供、フランツとエーリヒも、この院長は養子にします。
擬似家族と言うのでしょうか・・・生まれた赤ん坊はマルガリーテの恋人の子供・・・二人の養子・・・
そこに、家政婦として住み込む看護婦のモニカ・・・
更に、院長クラウスの愛人のブリギッテ・・・
クラウス医師は音楽好きで、それもカストラートに憧れています。
で、幼い養子のエーリヒをカストラートにしてしまおうと、恐ろしいことを考えています。

とまあ、始まりはこんななのですが、粗筋を書くと膨大になりますので、興味のある方は小説を読んでください。
マルガレーテ、1回目は滝沢さんでしたが、今回は退団なさってますので、岩崎大さん。
とても背の高い、楚々とした美人がお似合いの方です。
フランツ、少年時代は前と同じ楢原さんで、この方のけなげな悲しい少年は泣かされます。
幼いエーリヒは深山さんで、こちらも前回と同じです。
意地悪で、最後には殺されてしまうモニカは藤原さんと石飛さんのダブルキャスト。
大人になったフランツは前回同様に、笠原さんが、素敵な2枚目ぶりです。
大人になったエーリヒは、及川さんと山本芳樹さんのダブル。
で、私もダブルの場合は両方見たいので、2回行ったわけです。

モニカ、前作は藤原さんの当たり役で、笑わせるし、憎ったらしいしで、本当あたり役でした。
無論、今回も大層笑わせていただきました。
今回はモニカはダブルなので、石飛さんのモニカもありました。
私は石飛さんは非常に好きな女役さんなのですが、モニカは藤原さんが良い。
瓢けた感じが、このブスっぽい田舎娘には必要で、ドッシリした石飛さんは、
良い所奥様風になってしまう。
この方は、貴族的な傲慢な女性がお似合いなので、女中役はあまりな〜でした。
でも、熱演でしたんですが・・・
大人のエーリヒも、前の児玉さんがそりゃ良いです。
及川さんは可愛いので、感じが出てましたが、なんとなく違う・・・
山本さんも違うんだな・・・やはりな〜児玉さんがライフ退団したのは、痛いな・・・と、
これは私の個人的感想です。

演出は、前とは少し変えてあって、今回の方がわかりやすい。
時間の流れ・・・後半は戦後15年経ってるという流れが飲み込みやすく出来てます。
笠原さんのフランツはやはり素敵でした。
この方は、なんと言ってもライフの看板スターです。

前の配役が良いな〜と言うのは、刷り込み現象なのかもしれません。
始めに、違う配役だったら、どうなのでしょうか。
トーマの心臓の時も、前の方が良いのでは・・・と思ってしまいました。
配役が変わって、この方が良いわ〜のもあるのですが、例えばハッピーファミリーとか・・・
大体は、1回目に見た時のが良いと思ってしまいます。
これは、う〜ん難しいんだろうな・・・
再演が、まったく前と何から何まで同じと言うのも、進歩も発展も無いですしね〜
飽きてしまうってこともあるでしょうし・・・

全体としては、やはり、ライフのお芝居は好きですね。
なんとも言えない、爽やかな上品さ・・・笑いもなにもとても上品ですので。
安心して見ていられます。
俳優さんも皆さん、どこかオットリしていて、ギスギスした舞台人臭さがありません。

30日はプレミアムでしたので、寸劇とロビーでのお見送りがありました。
結構、恥ずかしいですよ〜お話しても良いのですが、俳優さんは間近で見ると
やはり、綺麗ですので、退けてしまいますね〜