エリーはふと目を覚ました。 夕暮れ時からずっと眠っていたからかもしれない。妙に意識がクリアになってしまい、眠るに眠れない状態になってしまった。 気持ち悪さや苛立ちは、エリーの中から消えてしまっている。ただ、後悔が心に残っているばかりだ。 窓からは柔らかな月の光が差し込んでる。 エリーは身支度を軽く整えると、フレアを起こさないように宿の外へ出た。 月の光を直に浴びていると心が軽くなっていくような気がした。それが錯覚でもエリーにとってはすごくありがたい。 村は静まりかえっていた。 エリーの足音とわずかに聞こえる虫の音だけが今ある音だった。ザールブルグの喧騒に慣れてしまったエリーにはとても新鮮で、また懐かしいものだ。 ふいに故郷のことを思い出しそうになってしまう。 その思いを慌てて消して、エリーは村を出た。 野原は幻想的だった。 昼間に訪れれば命の輝きで圧倒されるような場所であろう。しかし、今は花たちもその輝きを穏やかなものにし、月の光によって妖しさを増しているような感じだ。 エリーはその妖しさに心奪われながら飽くことなく花々を見つめる。 「……エリー?」 名前を呼ばれてエリーは振り返った。 「ダグラス?」 人物を認識する前に抱きしめられる。胸から伝わる鼓動が速くて、エリーはダグラスの顔を見上げた。 「…ダグラス…?」 「……消えちまうかと思った」 腕に力が込められるが、それ以上に悲壮な顔をしていることの方がエリーを驚愕させる。 「…何言ってるの…。消えないってば」 少し笑ってエリーは答える。いつもの自信を見せないダグラスはどこか危い。 「悪い。もう少しこのままでいいか?」 初めて見せる少し弱々しい笑み。 「うん」 エリーもダグラスを抱きしめる。言葉はあまりいらなかった。 時間は穏やかに流れる。 しばらくして、エリーは口を開いた。 「さっきはごめんね」 「ああ。俺さ、お前にでてけって言われた時何にも言えなくてさ」 「うん、ごめん」 「なんでだろうって考えたんだ」 「うん」 「普通だったら怒鳴り返すだろう? でも俺、あの時、頭ん中真っ白になっちまってよ」 「うん」 「で、わかったんだ」 「…何を?」 手に力が入ったのがわかってエリーはダグラスの顔を見上げようとするが、それはダグラスに阻止された。 ダグラスの唇が耳のあたりに下りてくる。そして、聞こえるか聞こえないかの大きさで言葉を紡がれた。 「お前のことが好きだ」 エリーの心臓が早鐘を打ち出す。顔が熱くなって、体が震え始める。足に力が入らない。ダグラスの支えがなければ立っていられないほどだ。 ダグラスはそんなエリーの様子を拒絶と受け取ったらしい。苦笑して、エリーを見下ろす。 「悪い。言いたかっただけだから」 体を離されそうになって、エリーは思わずしがみついた。そして、ダグラスを見上げる。 「…私も好き」 ダグラスの瞳が驚愕で開かれたが、しかしそれはふわりとした笑みに変わる。 「よかった」 月の光は暖かく降り注いでいた。 次の日。 2人の雰囲気が変わっているのに気づいたフレアは、ハレッシュに話しかけた。 「ねえ、ハレッシュさん。私のアイデアも捨てたものじゃないわね」 「はあ」 その言葉の意味がよくわからなかったハレッシュは、とりあえず曖昧な返事を返す。 しかし、くすくすと笑うフレアを見て幸せを噛みしめていたのは言うまでもない。 END ----------言い訳に近いあとがき---------- キリ番2929を踏まれたチロルさまのリクエストで ダグエリらぶらぶ。 ハレフレがでてきてWデートとか。 ということで書かせていただきましたが…。 全然ですね(^^; どこがハレフレだぁってかんじでした。チロルさますみませんでした。 こんなのでよろしければお納めくださいませ。 ちなみに返品不可です(爆) 文章の方の変革を最近はじめてるんですけど、まだまだです。 チロルさま、どうもありがとうございました |