ここは、エリーのアトリエ。ヒューイは何故かここで夕食を食べていた。 どうしてなのかはよくわからない。今日、仕事が終わりかけに聖騎士がやってきて、今日は晩飯に付き合え、などと言われ、どこに連れて行かれるかと思ったら、ここだったわけだ。 案の定、主にはにこやかに迎えられ、「エンデルク様とプリチェにききましたよ〜」といかにもその話がききたいなぁ、と言わんばかりの顔をされ、後ろには口の悪い聖騎士がにっこりと控えていて、妖精たちに「ヒューイさん、すごいねぇ」とはやしたてられ。 結局、ここでその話を披露しているわけである。 「プリチェもいたらよかったんですけどね」 友人の不在は結局良かったのか悪かったのか、そこまではヒューイに判別はできなかった。が、いないと知ってすこし寂しかったのは否めない。 「仕方ないですよ。また、帰ってきたら会いにきます」 そう言ってエリーとにっこり微笑み合うと、隣から咳払いが聞こえた。 「どうしたの?ダグラス。風邪?」 微笑から一転、エリーは心配そうな顔をしてヒューイの隣に座るダグラスを見る。 「いや、ただ咳き込んだだけだから」 そう弁解するダグラスを見て、ヒューイは思わずくすり、と笑った。途端に、じろりと睨まれる。 「本当に?無理しないでね。・・・心配なんだから」 「・・・ああ」 照れくさそうに返事をするダグラスを見て、ヒューイは少し羨ましくなった。自分にはこんなに親身になって心配してくれる相手はまだいない。ある少女の姿が思い浮かぶが、それは夢のまた夢だ。 「あ、そうだ。ワインがあるの。ヒューイさん、飲んでいってください。ダグラスも」 そう言ってエリーは席をたった。とほとんど同時に、ドアがノックされる。 「はーい、開いてまーす」 駆け寄ってエリーが扉を開けると、そこには想像もしなかった相手がいた。 「エ、エンデルクさま?」 「夜分すまない。近くまで来たので寄ってみたのだが、迷惑だったかな?」 「いいえ、そんなことありません。どうぞ、お入りください」 慌てたのは、先にきていた2人である。 「た、隊長!!」 「エンデルク隊長!」 その場に起立し、入ってきた客を迎えた。その様子を見て、エンデルクが苦笑いを浮かべる。 「お邪魔だったようだな」 「そんなことありませんっ」 思いっきりムキになってダグラスは返答した。そんな返し方をしたら、エンデルクの言葉を肯定していると同じことである。ハラハラとしてヒューイはエンデルクを見たが、どうやらあまり気にしてないらしい。もしかしたら、こういう状況に慣れているのかもしれなかった。 「エンデルク様も飲んでいってくださいね。今度のワインには自信があるんです」 「うむ。よばれていく」 そのまま、テーブルにはエンデルクが加わった。小さな宴会はなかなか終わることがなく、ヒューイは明日の自分を憂いながら、エリーたちと一緒にグラスを重ねていく。 次の日、二日酔いの頭で見た光景は、いつも通り仕事をするエンデルクと、いつも通り城門の前でいちゃつくダグラスとエリーであった。 END ------あとがき------ ようやく、終わりました。お待ちいただいた皆様(いるのか?)、お待たせいたしました。 なんか、変な終わり方ですけど、お許しください。私が無力です。 題名も気にしないで下さい。意味はほとんどありません。 さてさて、うちの討伐隊は、近場は上旬、中旬、下旬チーム、遠場は上旬、下旬チームに分けられています。だから、ヘーベル湖は近場、ヴィラント山が遠場ということで。 あとがきを書けば書くほど、言い訳になりそうなのでこの辺で。 でわでわ。 |