総合科沖縄(仮称)
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 これは地区研究会発表用の指導案だった。自分が発表者に決まっていたのだが、この指導案の中にある「戦前の天皇を神とする日本の国体から引き起こされた朝鮮、中国、東南アジア諸国への侵略戦争の結末である」という表記がまずいという自主規制により、発表者から降ろされた。日の目を見ない事になったので、このホームページで公開する事にしたわけです。
 戦前、天皇は神であった事、朝鮮、中国、東南アジアへの戦争が侵略戦争であった事は事実だし、国際的常識である。日本政府もその事は国際的に承認している事柄だ。なぜ、まずいというのか、納得できなかった。地区研究会という組織への不信感は、この頃から自分の中に巻き起こっていた。後日、別の事柄で地区研究会の発表者に決まっていたのに降ろされる事になって、脱会する結末となった。

2000.7.17教師の願い
 
 沖縄の授業を思い立ったのは、運動会の団体演技で沖縄エイサーをやることになったからである。9月の一ヵ月間精魂込めて指導する沖縄エイサーを体育の授業だけにするのでなく、沖縄の文化にふれあう機会とできないかと思ったのである。まず、子どもたちにリンケンバンドの沖縄エイサーの歌と演奏を聞かせてみた。こどもに変な照れが出てはいけないと思い、まず教師の自分が乗りに乗って歌って見せた。キーが高いので歌いやすい歌とは言えないのだが、歌ってみた。子どもは予想以上の乗り方をし、「先生また歌おうよ。」と楽しみにしてくれるようになった。
 
 次は歌詞である。沖縄方言がわからないので解説書の大体の意味しかわからない。わからず歌っても楽しいのだが、それでは英語の歌と同じだ。インターネットで沖縄の方言を検索し、どういう意味なのか調べて見たりもした。ついでに沖縄の観光スポットや料理、運動会で踊られているエイサーも見ることが出来た。戦争の事を調べた子もいた。
 
 戦争のことを調べる子が出たのは、6月の朝日新聞の特集記事で沖縄の終戦が本土より約一月早い事を知ったので、それを子ども達に教えたからである。沖縄が日本で唯一のアメリカ軍の上陸を受け、殺し合いが行われた所であること、日本軍により沖縄の人が洞窟の中でスパイ扱いやこどもの泣き声が敵に気付かれる理由などで殺害された事などを新聞記事を元に説明した。子ども達は初めて聞く話のようで真剣に聞いてくれた。
 
 7月に入り、同じく日本で唯一、いや人類の歴史上唯一原爆の被害を受けた広島、長崎の事実を教えた。自分が20年来個人的に持っている広島、長崎の被爆写真パネルを使って戦争の悲惨さを伝えた。また、どうしてこんな悲惨な戦争が起きたのか、戦前の天皇を神とする日本の国体から引き起こされた朝鮮、中国、東南アジア諸国への侵略戦争の結末であると伝えた。子ども達はこれも初めて聞く話のようで真剣に聞いてくれ、真摯な授業レポートを書いてくれた。それは今教室の廊下に掲示してある。
 
 沖縄とのふれあいは沖縄エイサーを運動会の出し物としてやる事が出発である。しかし、それにとどまらず文化とふれあう事は過去の辛いが日本人として知っておかなくてはいけない歴史との対面でもあると思う。教師として、いや大人として責任を持って教えて行かなくてはいけない事であると思う。これまでの教科学習が十分に教えてこれなかった所を総合科が補ってくれる機会になることを自分は願っている。
 
  2000.7.25
 
「沖縄」学習の見通し
 
1 沖縄の文化
 
 踊りの歌詞から方言学習をする。
 
 暑い地方の暮らしを調べ、自分達の住んでいる神奈川との違いに気がつく。
 
 気温、産業、住居、食事など。
 
2 沖縄の歴史
 
 一学期に行った平和学習の発展として琉球政府の歴史、戦争の歴史など。米軍 基地の本土と比べての特異性に気がつく。
 
3 上記二つの事で、新聞や本、インターネットで集めた情報を壁新聞にしたり して発表会を持つ。あるいはホームページを作って発表した形にする。
 
 自分としては沖縄と本土との違いは文化の違いよりも戦後作られた敗戦処理の在り方に起因するものが大きいと思う。従って、エイサーから文化に入って歴史に進みたいと思う。そうすることによって今日の沖縄の置かれている特殊性を理解することになり、いわゆる本土と沖縄という格差を将来解消する事につながるのではないかと願う。そういう国民に子ども達が育って欲しいという願いである。