5年1組
 2003.6.10号

 表紙に戻ります










 いやー大変な田植えだった。慎重に準備し検討した上で望んだのだが、机上のシュミレーションは子どもの感動の渦の中に飲み込まれてしまった。片手に苗を持ち、コンクリートの畦の上に横一列に並ぶまでは理論道理に進んだ。ぼくが先頭を切って田んぼに入り奥まで進み、子どもを招き入れた。素足を泥に入れ始めると辺り一面歓声とも悲鳴とも阿鼻叫喚とも思える大合唱が始まる。横一列に並ぶ事ももはや困難。こっちの大声の指示も田んぼと大空に消えていく。教室のようにはいかない。不揃いのまま何とか後退しながら田植えが進む。気づいた時にはもうクラスの持ち分の田植えが終わってしまっていた。後のクラスの分を確保しておかなくてはいけない。植え終わってない苗はこちらが受け取り、適当に植える。それで子どもを引き上げて他のクラスにバトンタッチ。田んぼの端まで植え終わったのに、苗はまだ大量に残っている。これではもったいないと、前進しないはずだったのに前進して植え直す。それでも足りずに苗を投げつけて、苗を植え続ける。田んぼは後退と前進の中でぐちゃぐちゃになるし、空中は泥の付いた苗が飛び交っている。服を汚されたと小競り合いも始まる。

 田植えだか、潮干狩りだかわからなくなる。なんとか混乱の内に作業を終了させた。
 
                                                                                     放課後、同僚と水の管理で田んぼを見に行く。隣の機械植えされた田んぼがいやでも目に入る。苗は整然と並び、ゆったりと平和そうに水に浸っている 。こっちは子供たちの感動と混乱と興奮の渦が芸術的にその後を残したまま苗と泥が混在している。
 
 いや、これでいいんだ。感動のある体験学習だった、と強く自分に言い聞かせたが、本当にあれでよかったんだろうか、もっと整然と作業できなかったのだろうかという疑問も残された 一日であった。