150cmライフ。

 

たまたま本屋で見つけたイラスト&エッセイ集、「150cmライフ。2」・・・身長150cmの作者の日常のあれこれが描かれているわけなんですけど、私の身長もジャスト150cm!とても他人とは思えない。ページをめくるたびごとに、(うんうん、そうなのよ〜!)と力強く頷いてしまうあんなことこんなこと。その日のうちに1巻は注文しました。そして、黙っていられなくて、私も自分なりの150cmライフをまとめてみました。

【参考文献】 たかぎなおこ 「150cmライフ。」 「150cmライフ。2」 メディアファクトリー

ヒストリー of 150cm

私は、子どもの頃からずっとチビだった。私に負けず劣らず小柄な母の遺伝とあれば仕方がない。小学校では、もちろんクラスで一番小さい。その頃、名簿は生まれ順だったので、3月生まれの私は一番最後。背の順では一番前、名簿順では一番後ろというのが私の定位置だったのだ。

小さいと先生や上級生にかわいがられやすい、というメリットはある。席も前の方になることが多いので、先生の話はよく聞こえるし、先生の目を盗んでなにかするというわけにもいかない。私は、かなり単純なお子様で、先生が「〜をがんばりましょうね。」と言えば(そうか、がんばるんだ!)と、素直に思い込んでしまう子だったので、先生方のうけはよかった。おかげで学校というのはなんだか居心地のいいところだと思ってしまい、現在の職業に至る。

4年生から鼓笛隊に入った。女子は室内で演奏するときは楽器を担当するが(私は鍵盤ハーモニカ)、屋外でパレードやドリル演奏をするときは、バトン類を持つのだ。バトンは基本的に全員練習するのだが、ドリルのときは一番うまい上級生のお姉さま方がバトンのチームをひとつ作る。それから比較的背の高い子たちがリング・バトン担当。中ぐらいの背丈の子たちがフラッグ・バトン担当。そしてチビさんたちがポンポン担当なのだ。ポンポンは技術的に簡単で、ミスして落とす心配もなかったから、下手っぴいの私には向いていたと思うが。(私は、実をいうと男子と一緒に楽器が吹きたかったのだ。)それでも、バトン・チームのお姉さまたちには憧れたし、せめてフラッグがやりたいと思ったものだった。

6年生の運動会といえば、組体操である。これ、大きい方から組んでいくので、一番チビの私は当然余る。皆が壮大なピラミッドやタワーを作っている間、私たちは一番はじっこでちんまりと2段ぐらいのピラミッド(っていわないよね。)を作っていたりしたものだった。楽だったけど。

小さくてもスポーツが得意な人もいたけど、私は運動オンチだったので小さいのもハンデ。鉄棒も跳び箱も、いつもクラスで一番最後までできなかった。それでも、不思議なことに成績はいつも5段階評定の2だった。私の下に1の人がいたんだよね、多分。実技は私が最低だったと思うけど。

そして中学校。スポーツが苦手な私に部活動の選択余地はあまりなく、なんとなく吹奏楽部に入ろうと決めていた。sそして、なんとなく気に入っていたフルートを希望したのだが、顧問の先生もこんなチビに大きい楽器は無理だと思ったらしく、案外あっさり希望が通った。チビでラッキーだったともいえる。この顧問がなかなかの人で、無名の田舎の中学校の吹奏楽部を鍛え、数年でめきめきレベルアップさせたのだ。

こうして、私の吹奏楽&笛吹き人生は始まる。

とはいうものの、小さいことは、楽器をやる上でもハンデなのであった。管楽器は、自分の体が共鳴板となるため、小さいとどうも貧弱な音しか出ない。最初のフルートの師匠は大柄な男性だったため、「もっと鳴らして!」とか言われても、いまひとつ真剣になれなかった。(先生、ゴメンナサイ。)

小さくてよかったと思うのは、ピッコロが似合うことぐらいであろうか。(向いている、とかいうわけではない。単に、「似合う」のである。)たまに大柄で太めの男性がピッコロを吹いているのを見ると、指がキイからはみ出さないだろうか、ちゃんと押さえられるんだろうか、とついつい心配になってしまう。(よけいなお世話だよね。)その点、私はピッコロが似合う!(自慢できるのか?)今までの最高のほめ言葉は、「あなたがピッコロを吹いている様子は、マネの『笛を吹く少年』を思い出させる。」である。

 

サバイバル in 電車

私は、それほど殺人的なラッシュの中を通学&通勤するはめにはならなかったので、幸いにして満員電車の中でおぼれそうになったり、危険な目にあったりした経験はほとんどない。

しかし、つり革!これは高すぎる。ぶらさがっていると、ず〜っと背伸び運動をしてるみたいで、なんだか疲れてしまう。そういうわけで、私の定位置は、ドア近くの縦についているバーなのであった。あそこが好き。

それから、網棚!あれも高すぎる。あんなところに荷物をのせるなんて・・・のせる途中で落としてしまう危険の方が大きいと思う。だから、迷惑かもと思いつつ、よっぽどのことがない限り網棚は使わないことにしている。(だって、あなたの頭の上にこれを落っことす方が、迷惑でしょ?)

あ、でも、自慢(?)できることもあるよ。私の隣の席は、なぜか他より早くうまる。なんだか広く見えるんでしょうね、多分。大学の後輩で、縦にも横にもビッグなカップルがいたけど、あの2人が並んでバスの座席に座っている姿は、微笑ましいけど窮屈そうだった。

そういえば、大昔、夜遅く豊橋から電車に乗ったら、ものすごくすいているのに、わざわざ私の隣に座った人がいた。酔っ払っているみたいなので、困ったなあ・・・と思っていたら、「すいません。蒲郡に着いたら、起こしてもらえませんか?」と頼まれた。「私、蒲郡まで行かないんですけど・・・」と言ったら、「じゃあ、あなたが降りるときに起こしてください。」と頼まれた。御津で起こしてあげたけど、あの人、無事に帰れただろうか?たちの悪い酔っ払いじゃなくて、よかったけど。

 

ひとりぐらし of 150cm

大学も地元を選んだ私は、採用試験に合格した喜びもつかの間、僻地に飛ばされてしまった2年間しか一人暮らしの経験はない。

まず必要なのは、踏み台であった。蛍光灯を取り替えたいとき、誰もやってくれる人はいないのだ。(高いところにはもともと届かないので、わざわざ物を置いたりはしない。)私は家具屋で実に立派な踏み台を購入した。階段部分が、脚の間に収納できるようになっている。デザインもおしゃれで、嫁入り道具に持っていって花瓶や電話を置いてもさまになりそうだ。その踏み台は、今でも愛用している。物置部屋の入り口に置いてあるのだ。我が家の2階の物置部屋は、なぜか異常に床が高くなっていて、私は出入りに踏み台が必要なのだ。

そのとき暮らした職員用住宅は、古いが一戸建てで、8畳、4畳半の二間に、玄関、トイレ(汲み取り式!)、台所、お風呂、縁側まであって、家賃は月千円。収納スペースも十分すぎるほどあった。生活するには8畳一部屋で十分。4畳半は通るだけだった。散らかしながら仕事をするのが好きな私は、大きな机が好きである。身分不相応な大きい家具調こたつを買い、山の中で広々と暮らしていた。

 

150cmのおしゃれ?

【トップス】

えりぐりが大きく開いた服・・・なにより、これが要注意である。色っぽいどころか、みすぼらしい&だらしないになってしまう。私の場合、チビ&ガリなので特にいけない。鎖骨まわりなんて自分でも気持ち悪くて、とても人前にさらせない。胸の谷間なんて贅沢はいわない。人様に見せられる程度に肉のついた鎖骨まわりがほしい!

それでも、水着だけは胸元が開いてないものなんてあるわけがなく、つらい思いをしてきたが、最近スポーツタイプの水着のデザインが変わってきた。首までつまったデザインのものとか、袖や脚の部分があるものが買えるようになった。うれしい限りである♪

次に困るのが、袖丈。自分で縫ったり、編んだりするときは、短く出来るのでいいのだが、市販の服は、たいていカフス分だけ長い。仕方がないので、あまり長いときは、ちょっとかっこ悪いけど折っちゃう。以前袖口にカフスのない、シンプルなデザインのブラウスを買ったことがあった。袖口は自分で曲げて縫えばいいや、と思ったのだが、家へ帰ってよ〜く見たら、袖口に切れ込みが入っていて、ボタンで止めるオシャレなデザインだった。このオシャレな部分がなくなってしまったのは、お間抜け。その点、7分丈のブラウスは、すぐれものである。でも、私は異常に寒がりなので、やっぱり長袖のものがほしいのだ。

穴場は、子供服である。150cmや160cmのサイズなら、まさしく私にジャスト・フィット!やや細身に作られているのが難点だが。職業柄、ジャージは必需品なのだが、これは子供服売り場でしか買ったことがない。大人用Mサイズでは裾を踏んづけちゃうし、Sサイズは高いブランド物ぐらいしかないのだ。

 

【ワンピース】

ラブリーのあやまち・・・これは、よくある話。「かわいい=子どもっぽい」になりがちなので、要注意なのだ。以前、シンプルな型のジャケットを自分で縫ったことがあった。ソーイングの本の見本写真がかっこよかったので、同じようなブルーの生地に白い大きめのボタンをつけた。そうしたら・・・なんだか幼稚園の園服っぽいのだ。写真のお姉さんは、あんなにかっこいいのに。

それから、チャイナ・ドレス。色っぽいはずのチャイナ・ドレスが、全然色っぽくない。スリットがあっても。似合うのだよ、一応。でも、なぜか格闘技系かコスプレっぽくなってしまうのだ。「らんま1/2」みたい。

ウエストに切り替えのあるデザインは、ウエスト位置がビミョ〜にずれる。ベルトでごまかしても、ダメである。結局、一番無難なのは、ノースリーブでAラインのシンプルなデザインのワンピースである。

あ、でもいいこともある。ちょっとだけ。チビ&ガリの私は、汗もあまりかかない。真夏でも、涼しそうに見えるらしい。「どうして、そんなに涼しそうにしていられるの〜?」と、よく言われる。でも、寒さには弱いのだよ。冷房もダメ!真夏でも、ノースリーブでなんていられないし、どこへ行くにも上着をかかえていく。冬場は大変である。人様にはとても言えないほど、着込んでいる。「着こんでても、分からないからいいじゃない。」と言われるが。

 

【スカート】

裾にかわいい模様の入っているロングスカートは、あきらめざるを得ない。今でも覚えている。中学生の頃、ニットのスカートで、裾に猫の模様が編みこんであるスカートを見つけた。でも、ちょうど猫の絵の部分だけ長いのだ。ステージではロングスカートをはくが、礼をするとき、立ち上がった拍子に裾を踏んづけ、おっとっと・・・となる。吹奏楽ではフルートは最前列になることが多いので、要注意である。

 

【フォーマル】

義弟の結婚式に、フォーマル・ドレスを新調することにした。しかし、7号サイズのフォーマルなんて、ものすご〜く少ないのだ。その中で色もデザインも気に入るもの・・・となると、皆無といっていい。トップスのところで書いたように、えりぐりが大きくあいたものは似合わない。となるとチャイナ・ドレスしかないのだが、これもいまひとつ色っぽくない。いっそ自分で縫おうかと、ソーイングのコーナーへも行き、子供用ドレスの本まで見た。

あきらめかけた頃、デパートで小さめサイズの催しがあり、期待せずにのぞいてみた。そしたら、あったのですよ〜!首が詰まっててノースリーブのシンプルなデザインのドレス。色はベージュと黒。サイズも5号と7号がある。5号のドレスなんて、初めて見たヨ。悩んだあげく、ベージュの7号のを購入。私、黒は似合わないんだわ。その後、普通のフォーマル・コーナーでベージュのストールも買う。ステージで着ることも考えて、もうちょっと明るい色のがほじかったんだけど、結婚式に出てみてベージュで正解だったと悟った。派手な色だったら、浮いてたわ。。。。。

そう、ウエディングドレス!あの時は、私もレンタルで合うものがあるかどうか、ちょっと心配になりましたが、まず、シークレットブーツのような、ものすごい厚底の靴を貸してくれるんです。これでスカート丈のモンダイはクリア。デザインはけっこう豊富で、小さめの人に合うものもいろいろあるんです。係の方もプロですから、ちゃんと似合いそうなものを探してくれて、全然問題ありませんでした。

 

【パンツ】

パンツ類を買うたび、切られてしまった裾の部分を見て損をしたような気分になってしまうのは、私だけだろうか?ものすご〜くたくさん切るのよ!なので、ストレート&シンプルなデザインのものしか買わないことにしている。スパッツ類は、けっこう愛用している。美脚とはいえないが、一応細いんで。

 

150cm おしごとヒストリー

私は、あまりいろんなバイトの経験はないのだけれど・・・ウェイトレスなどの接客業は、意外に喜ばれる。色っぽいお姉さんもいいが、ちんまりしたのがウロウロしているのも、邪魔にならないしカワイイと客受けするようなのだ。

で、今の職業は小学校教員なのであるが、低学年担任の場合は、まず子どもになつかれやすい。男性の保育士さんも見かけるようになったとはいえ、保育園や幼稚園はまだまだ女性の職場というイメージが強い。女性&威圧感を与えない身長というのは、1年生に親しまれやすいのだ。これが、高学年担任となると、ちょっと困ったことも起きる。家庭科の製作の時間とか理科の実験の時間とか、子どもたちも立ち歩いて作業をしていると、「先生〜?先生、どこ〜?」と真剣に探されてしまう。

不平等なことに、世の中には身長制限のある職業もあるのよね・・・でも、自衛官などは、昔よりも身長制限が低くなった気がするけど。(なんで調べたかというと、自衛隊音楽隊に憧れてたのだ。)小柄な方がいいのは、騎手ぐらいかと思っていたら、スペースシャトルの乗組員もそうだった。190cm以下という制限があるのだそうだ。(←小柄?少なくとも超大柄な人はダメってことだよね。)考えてみれば、限られた空間の中で仕事をしなくてはならないのだから、小柄な方がいいに決まってる。宇宙飛行士って、憧れてたんだよな・・・でも、あの頃は、こんなに早く女性飛行士が誕生するとは思ってもみなかった。夢は簡単にあきらめてはイケナイ!とつくづく思うのであった。

 

歯医者にて

「もうちょっと上へ上がれますか?」

私が、よく言われる言葉である。言われる場所は、歯医者、美容院、エステなど。椅子を倒した時に、どうも私の顔が期待される位置に来ないようなのだ。そりゃそうだよな。身長が低けりゃ、当然座高も低い。座高だけ人並みだったら、困るよな。。。。。

でも、椅子を倒した後にずりずりするのはちょっとかっこ悪い・・・と、いつも思うのであった。

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