エッセイ等ノンフィクション  ※著者アイウエオ順、除・新着図書

 


青柳いづみこ/六本指のゴルトベルク

青柳氏が、古今東西の純文学やミステリーに出てくる名曲や音楽シーンを読み解く。(あ、これ読んだ。)とか(買ったけど積読になってるはず。読まなくちゃ!)とか(これ知らなかった。買わなくちゃ…中古しかないや。)とか、いろいろあっておもしろかった。表題の「六本指のゴルトベルク」は、『羊たちの沈黙』などに登場するレクター博士のエピソード。レクター博士は多指症で、左手の指が六本あった。ボルチモア精神異常犯罪者用州立病院の最厳戒棟の囚人だったとき、情報提供の見返りにグールドの「ゴルトベルク変奏曲」のテープを差し入れてほしいと要求する。青柳氏は、レクター博士が聴いたのは81年盤だろうと推理する。
『羊たちの沈黙』はちゃんと読んだし、ビデオも見たのだが、博士が多指症だったことも、ハープシコードの名手だったことも、「ゴルトベルク変奏曲」の話も、全然覚えていなかった。きっと本編のあらすじが怖すぎたせいだろう。(中公文庫)

青柳いづみこ/ピアニストは指先で考える

ラフマニノフはオクターブどころかドからソまで指が届いたらしい。とても同じ人間とは思えない。「巨人」だよね!ピアニストにとって「指」が重要なのはわかる。フルーティストは皆握手してくれるけど、ランラン氏はしてくれなかったもの。そして、「曲げた指」「のばした指」のモンダイから始まって、手首や腕の使い方、タッチの違いまでいろういろあるんだ。フルートだっていろいろあるけど、そこは息や腹筋の使い方になってくるな。指でそこまで言われたのは、「冥」でポルタメントをやった時だけだ。で、以外に重要なのが椅子のモンダイ(笑)。最後の「演奏の未来」には同感!日本でおもしろい音楽がたくさん聴ける時代がきてほしいものです。(文春文庫)

青柳いづみこ/モノ書きピアニストはお尻が痛い

現役ピアニスト兼文筆家の青柳氏のエッセイ集。ピアニストの方々は、長時間硬い椅子に座るため、本当にお尻に痣ができるらしいのだ。ヴァイオリニストの顎に痣ができるのは知ってたけど・・・プロ奏者は、やっぱり過酷なものなんですね。青柳氏はドビュッシーの研究家でもあるので、ドビュッシーの逸話がいろいろおもしろい。算数が苦手だったらしく、直筆ノートの裏表紙の筆算は、検算してみると計算間違いがいっぱいとか(笑)。一番好きなのは、ラローチャの話。身長は150センチに満たず、「世界で最も小柄なヴィルトゥオーゾ」といわれたラローチャは、当然手も小さい。練習をはじめるときは、指を広げる練習から。でも、長い小指と強い背筋で、ハンデを感じさせないどころか、それ以上の演奏をした。そして、加齢に伴う障害も奏法の切り替えで乗り越え、80歳で引退するまで安定した演奏であった。サウイフヒトニワタシハナリタイ。(文春文庫)

青柳いづみこ/ボクたちクラシックつながり ピアニストが読む音楽マンガ

現実のピアニストさんが、「のだめカンタービレ」「ピアノの森」「神童」など人気の音楽漫画の解説を通してクラシック界をご案内〜!難しくなくて、とっても読みやすいです。クラシックをやるなら海外でなきゃ駄目?指揮者の謎、コンサートで受けるプログラム・・・等々。音楽でつながっているのは、一流の演奏家だけではない。アマチュアも、昔やってたけどやめてしまった人も、これからやろうかなと思っている人も、みんなみんな音楽でつながっているんだね♪(文春新書)

阿久 悠/歌謡曲の時代〜歌もよう人もよう

5千を越すヒット曲の作詞を手がけ、平成19年に世を去った阿久悠のエッセイ集。自身のかつての作品からタイトルを借り、新聞に発表されたものをまとめたものです。「宇宙戦艦ヤマト」や「ピンポンパン体操」「ウルトラマン・タロウ」も氏の作品だったのね。「どうにもとまらない」は、もともと違うタイトルだったとか。だったら、あのヒットはなかったよね。「ペッパー警部」や「透明人間」などピンク・レディーの一連の作品。「サウスポー」は、あの王選手から「ぼくの歌をありがとう」って言われたんだって。「サムライ」「カサブランカ・ダンディ」「勝手にしやがれ」・・・ジュリーの大ヒット曲たち。ご機嫌な「恋のダイヤル6700」や「学園天国」。「ジョニーへの伝言」も「5番街のマリーへ」も好きだったな。私、どれだけお世話になったんだか。(新潮文庫)

朝比奈隆/わが回想

2001年、惜しまれつつ世を去ったマエストロ・朝比奈氏が、矢野暢氏を聞き手に語った回想録。難しいことはよく分かりませんが、近代日本の音楽史としても、興味深い読み物になっていると思います。近衛秀麿氏の話なんかもいいですね。なんといっても貴族様ですから、「フリュートはもっとお吹きになっていいんじゃないですか」とくるわけですよ。あと、「息子を教える暇があったら自分の勉強をしたい」とか聞いて、ほっとしました。朝比奈氏でもそう思うんだったら、私がそう思っても当然ですわ。死ぬまで勉強、ですね。(徳間文庫)

飯尾洋一/この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!〜クラシックBOOK

表紙イラストが「のだめ」の二ノ宮知子、特別付録に茂木大輔編集ののこだわりの名曲CD「Love Clasics」とくれば、買わないわけにはいかないでしょう。内容は、子だくさんの大バッハの話とか、チャイコフスキーとパトロンの未亡人の話とか、よくあるクラシックの名曲&作曲家の雑学集なのですが、そこそこ楽しめます。一番受けたのは、CD選びで失敗しない方法(実はジャケ買い!笑)と、巻末のラブリー作曲家占い。(王様文庫)

石戸谷結子/マエストロに乾杯

「インタビューは擬似恋愛」・・・ムーティ、小澤、ドミンゴ、アバド、アルゲリッチ等超豪華メンバーのインタビュー集。私的には、ペーター・シュライヤー、ヨー・ヨー・マ、ジェフリー・パーソンズ(全然知らなかったけど、名伴奏者)なんかのインタビューが好きです。ちょっと得体の知れない音楽マネージャー、ロナルド・ウィルフォードも雰囲気出てました。(光文社・知恵の森文庫)

岩城宏之/オーケストラの職人たち

コンサートを支える裏方さんたちの仕事ぶりを、マエストロが取材!オーケストラの事務局、大型楽器を運ぶ運送会社、演奏旅行に同行するお医者さん、写譜屋さん、調律師、チラシ配りをする会社・・・そこには、それぞれのプロがいるのです。マエストロも、時にはハープ運送のアルバイトを身をもって体験し、プロたちのこだわりの仕事ぶりを熱く語ります。和田誠氏のイラストも、いい味出してます。(文春文庫)

岩城宏之/音の影

違いの分かる男・岩城氏が、A〜Zまで頭文字順に歴代の大物作曲家たちを紹介。まあ、たまに話がそれたりしてますが、それはそれで十分楽しめるトリビアの数々♪武満徹さんが最後に聞いた曲は、バッハの『マタイ受難曲』。ベートーヴェンのテンポ指定を鵜呑みにするととんでもないコトになる。サマーコンサートでは、どうしてガーシュインが演奏されるのか、等々。ネタバレになっちゃうので書けませんが、実は私、すっかりだまされましたよ(笑)。イラスト&対談に和田誠氏、解説は佐渡裕氏。豪華キャスト☆(文春文庫)

岩城宏之/指揮のおけいこ

指揮者は、一日に何回指揮棒を振るのか?無表情で指揮をしたら、どうなるか?指揮者はキケンな商売か?マエストロ、一世一代の不覚とは?大物指揮者に見せるコツとは?抱腹絶倒のエッセイ集!(文春文庫)

オザワ部長編著/みんなのあるある吹奏楽部

あるあるシリーズ、いろいろ出てて・・・
類似品ですかねえ?まあ、おもしろければ何でもいいケド。

楽譜の柄を見ると譜読みせずにはいられない。
軽いから楽だろうと思われるフルート。メチャクチャ肩がこるんじゃー!
16分音符や32分音符がずらずら続く楽譜を吹けるようになったとき、「楽譜に勝った!」と思う。
窒息しそうなときの4分音符はオアシス。

あるある。まだある!(新紀元社)

小澤征爾・大江健三郎/同じ年に生まれて〜音楽、文学が僕らをつくった

2大巨匠の2000年に行われた対談集です。お二人とも1935年生まれ。小澤氏のお兄さんとお父さんがリヤカーで運んだピアノの話・・・横浜から東京の立川まで、2・3日かかったんだそうです。音のディレクション(方向性とでも言うんでしょうか?)の話など、興味深い話題が満載です。(中公文庫)

小澤幹雄/やわらかな兄 征爾

小澤征爾氏は4人兄弟の三男。幹雄氏は四男。征爾氏が生まれた北京の家を訪ねる話から始まる。幹雄氏の愛称「ポンちゃん」はどこからきているのかと思えば、幹雄氏が小さいころ「ボク」とうまく言えずに「ポン」と言ったことかららしい。この幹雄氏がとてもきちょうめんな人で、征爾氏が外国から出した手紙を全部とっておいて、しかもそれをノートに書き写しておいたのだそうだ。それで、本ができちゃうんだからスゴイ!成城中時代、音楽の時間に「家路」を歌っていたら、級友がそのまま教室から出て行って田舎に帰ってしまった話。ものすごく厳しい斎藤先生のレッスンの話。(指揮棒で叩かれたり、スコアを投げつけられたりするのは日常茶飯事だったらしい。)チェロの巨匠・ロストポーヴィッチ氏がおやじさんのお墓参りに来た話・・・などなど。
(光文社)

神原一光/辻井伸行 奇跡の音色 〜恩師との12年間

出生時から眼球が成長しない「小眼球症」という障害を負いながらピアニストとして活躍。2005年、ショパン国際ピアノコンクールでワルシャワ批評家賞受賞。2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝。世界的にも一躍有名になった辻井伸行。6歳の時に川上昌裕氏と出会い、12年間ピアノの指導を受けた。川上氏は伸行のために200本以上もの「譜読みテープ」を作成し、「器の大きなピアニストになれ」と言った。(文春文庫)

キュッヒル真知子/青い目のヴァイオリニストとの結婚

1971年〜2016年までウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めたライナー・キュッヘル氏の夫人が、日本人とは知らなかった。で、改めて調べたら、私、キュッヘル氏の演奏聞いてるわ。ウィーン・リング・アンサンブルのニューイヤーコンサート、2011年と2012年の2回行ってるし。2011年は、ウィーン・フィルとランランの演奏も聞いてる。2011年のリングは、キュッヘル氏だったとコンサート日記に書いてあったわ。他のは、はっきり書いてなかったけど。
で、キュッヘル氏のすごさと良妻賢母的なエッセイなのかと思ったら、いきなり不倫の話から始まってびっくり!お姑さんが意地悪で、ストレスがたまって浮気しちゃった・・・みたいな。この本の前に読んでた林真理子氏のエッセイの続きかと思って、思わず表紙見直しちゃったよ。
もちろん、そればっかりじゃなくて、ウィーン・フィルやキュッヘル氏の日常の話、お二人のなれそめの話なんかもたっぷり出てくるのでご安心ください。(新潮文庫)

小塩 節/モーツァルトへの旅

35年10ヶ月と9日の短い生涯のうち、10年2ヶ月と8日は馬車に揺られて旅をしていたと言われるモーツァルト・・・生地ザルツブルグから最期の地ウィーンまでを辿った、ドイツ文学者・小塩氏による音楽紀行。(光文社・知恵の森文庫)

古関裕而/鐘よ鳴り響け 〜古関裕而自伝

2020年のNHK朝ドラ「エール」は、「オリンピック・マーチ」などの作曲で知られる古関裕而とその妻・金子がモデル。金子は豊橋市出身ということで、東三河地区はけっこう盛り上がっています。残念ながらドラマは見ていませんが、この自伝に書かれていることも、けっこうドラマに出てくるらしい。
古関氏は、地元・福島でハーモニカ・ソサエティーの指揮や作曲・編曲もしたらしい。メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」「ウィリアム・テル序曲」「火の鳥」などをハーモニカ用に編曲したっていうんだからオドロキ!ハーモニカの「火の鳥」どんな感じだったのか聞きたいなあ・・・高校の音楽の教科書に載っていた若山牧水の短歌に曲をつけた「白鳥の歌」も古関氏の作曲だったのね。私、今でも歌えるよ。(集英社)

バーバラ・コナブル/音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと

〜アレクサンダー・テクニークとボディ・マッピング〜なんて副題がついていて、なんかわけがわかんない難しそうな本・・・と思ったら、絵本感覚でけっこうすらすら読めます。要するに自分の体の構造をもっとよく知って、正しいイメージで演奏しようということだと思います。フルートが名指しで出てくるのは胸鎖関節のところと顎のところです。(誠信書房)

佐渡 裕/棒を振る人生〜指揮者は時間を彫刻する〜

佐渡氏の40〜50歳代ぐらいのことが書かれたエッセイ。佐渡裕ヤング・ピープルズ・コンサート、1万人の第九、兵庫県立芸術文化センターの芸術監督就任、「題名のない音楽会」の司会・・・あたりのこと。私に言わせれば、佐渡氏は指揮者になるべくしてなった人だね。お小遣いをもらうたびにポケットスコアを買って見入っている人が指揮者になるんだよ。(だから、私は地方公務員なんだよ。まあ、それはさておき・・・)「ボレロ」を最後のほうから逆に演奏した「ロレボ」、バーンスタインのプリントTシャツでカラヤンのリハに登場したゴールウェイの話などは楽しく、朝比奈隆氏の最後の演奏会の話などは感慨深いです。(PHP文庫)

佐渡 裕/僕はいかにして指揮者になったのか

指揮者としての正式な教育を受けていない自称「音楽界の雑草」から、小学校の卒業文集に書いた夢「ベルリン・フィルの指揮者になる」という頂点へ!・・・いやいや私に言わせれば、雑草どころか稀少種とか新種だと思うんですけどね。巨匠バーンスタインに「シブイ!」「オレはジャガイモを見つけた。まだ泥がいっぱいついていて、すごく丁寧に泥を落とさなければならない。でも、泥を落としたときには、みんなの大事な食べ物にある。」と言わせたのですから。素のレニー(バーンスタイン)は、可愛くて変なオジサンだったみたいですね。会話が関西弁に訳されてるのが妙にしっくりきます。ところで、佐渡氏はフルート科出身。ゴールウェイの真似をして楽器を床に落とした話やうな丼を差し入れた話は大爆笑〜!(新潮文庫)

佐藤部長/吹奏楽部だった奴にありがちなこと

最初に「金管」か「木管」を選ぶのは、「戦士」になるか「魔法使い」になるかぐらい重要
男女を問わずチューバの似合う奴は、本当によく似合う
うん、あるねあるね!
20世紀を代表する吹奏楽の作曲家アルフレッド・リード 死んで悲しい
リードはオレンジ・ジュースが好きだった
あ、そうなんだ〜!
女子のフルートは可愛さ3割アップ!
その可愛さが増したフルート女子の流し目はヤバイ!
う〜ん。。。。。高木綾子さんとかなら納得できるけど(宝島社)

吹奏楽部あるある研究会/吹奏楽部あるある

いったん入部したら最後、青春を吹奏楽色に塗り固められる。
顧問に丸め込まれ、違う楽器へ飛ばされる。
音符だらけの楽譜を見て、「こんなの無理!」と言いながらも心は燃えている。

あるある。でも、フルート女子でも演奏中は変顔だし。ピッコロあるあるもほしかったな。自分で書こうか?(百夜書店)

吹奏楽部あるある研究会/吹奏楽部あるある2

「ピッチカートっぽく吹け」という無理。(←ホントですよ、先生!内心、皆そう思ってるんだから。。。。。)
「自分で考えろ」という理不尽な指導。(←同上)
楽器の上手さがルックスの良さを超える瞬間がある。(※効果には個人差があります。笑)

あるある。先日コミックのコーナーで紹介した「ヒビキノBB」のミキマキさんのイラストでお楽しみください☆(百夜書店)

吹奏楽部あるある勉強会/吹奏楽部あるある3

「吹奏楽部あるある」シリーズ、感動のフィナーレ!
楽しませてくれてありがとう〜!
最終回は吹奏楽部に関わる大人たちの「あるある」も入っています。

OB・OGあるある
楽団結成→一度も演奏会をせずに解散
「M8がやりたい」と言えない空気 とか

ピッコロあるある 吹いている自分でもうるさい。(一行足したい、耳栓使用、と。笑) (百夜書店)

千住文子/千住家にストラディヴァリウスが来た日

ストラディヴァリウス製作の名器中の名器、249代ローマ教皇クレメンス14世に捧げられ、教皇の死後は、その側近、フランス貴族、スイスの大富豪のもとを渡り歩き、約300年間誰にも弾かれることなく眠り続けていた「デュランディ」が売りに出された。試奏のチャンスを得たヴァイオリニスト・千住真理子は、この名器に運命的なものを感じ、手に入れたくなるが、ついた値段は億単位。どうやって代金を用意すればいいのか!?母と2人の兄と、家族が力を合わせた結果は・・・(新潮文庫)

千住真理子/聞いて、ヴァイオリンの詩

千住真理子氏のエッセイ、おもしろいです。以前読んだストラディヴァリウスの話は、母・文子さんが書いたんだった。このお母さんが、また素晴らしい感性の持ち主だったらしい。千住家の芸術家三兄弟に「何か表現芸術をやっていたら、すごいことになっていたのではないか」と言わせる方なのだ。真理子氏も、ストラディヴァリウスを所有する別世界の方…と思っていたけれど、いろいろ共感できて身近に感じた。コンサート後の駅のホームで、お蕎麦をかっ込む話とか、指の開きをよくするために何度もシャワーを浴びて手を温める話とkか、丹田を意識するために、お腹にさらしを巻いてドレスを着る話とか。(文春文庫)

鶴我裕子/バイオリニストは目が赤い

元N響バイオリニスト鶴我氏の、楽団(カイシャ)や指揮者(マエストロ)への愛がこもったエッセイ集。「バイオリニストは肩が凝る」改題。肩ももちろん凝るんでしょうが、細かい楽譜やステージのライトで目を酷使し、充血するらしいです。過酷なお仕事・・・うん、そうそう!とうなずいたり、へぇ〜、そうなんだ!と驚いたりする箇所が随所にちりばめられております。サヴァリッシュの「テヌート、カット」・・・書いてある音はその範囲いっぱいまで保て、しかしそれ以上はみ出して、次の和音や給付を濁らせてはいけない。中学時代の顧問の先生もよく言ってたな。ライトナーの「オンリー・フォルテ」・・・fという文字を見て感情をぶちまけるな。pも「オンリー・ピアノ」で縮こまれという意味ではないよ。うちのマエストロや師匠も言います。中学生当時の中村紘子さんの逸話や、首の痣を勘違いされる話も笑える。(新潮文庫)


中村紘子/アルゼンチンまでもぐりたい

プロだって、ミスしてしまうことはあるんですよね。地球の裏側アルゼンチンまで穴があったら入りたいほどの失敗談とは・・・・?その他、ベルギー王妃のハンドバッグの秘密とは?ピアニストとハイヒールの深い関係とは?バッハまんじゅうとは?・・・・楽しい話題が満載のエッセイ集です。(文春文庫)

中村紘子/コンクールでお会いしましょう

のだめのドラマを見て、この本を読んだら、俄然コンクールを聴きに行きたくなりました。浜松なら通えるし。でも、ピアノの子にきいたら、チケット入手もなかなか大変らしい。コンクールにも、いろいろあるんですね。入賞者のその後とか、某大国のあれこれとか、名物参加者とか・・・(中公文庫)

中村紘子/ピアニストだって冒険する

2016年7月に亡くなるひと月前まで書き継がれた最後のエッセイ集。何も知らずに連れて行かれた3歳のレッスン。15歳でソリストを務めたN響世界一周演奏旅行。18歳でジュリアード音楽院に留学。だから学歴は中卒、もしくは高校中退なんでっすって。もう、これだけでドラマですよね。実業家・安宅英一との不思議なおつきあい。深夜にキャデラックでお迎えが来て、国宝級の白磁を手にとったりとか。50年以上前の巡業では、畳敷きの大宴会場に脚とペダルを取り去ったピアノが置かれていたりとか。チャイコフスキー・コンクールに審査員として招かれた折り、審査員入口で係員のオバチャンに「受ける人はあっち」と追い払われたり。皇太子さまがお忍びでお食事に来られ、愛犬ウルちゃんにメロメロになられたりとか・・・ピアニストだって大冒険するのだ。(新潮文庫)

中村紘子/ピアニストという蛮族がいる

ピアノが弾けて、美人で、おまけにこんな素敵なエッセイも書けてしまうなんて・・・・神様は、なんて不公平なんでしょう。西欧ピアニズム輸入に苦闘した幸田延(のぶ)と弟子の久野久(ひさ)の物語は悲劇だけれど、ホロヴィッツ、ラフマニノフほかピアノ界の巨匠たちの、極端でどこかおかしく感動的な天才ぶり・・・・私って、やっぱり凡人なのね。ほっとするやら、残念やら。(文春文庫)

二宮敦人/最後の秘境 東京藝大 〜天才たちのカオスな日常〜

入試倍率は東大の約3倍!卒業後は行方不明者多発のうわさが流れる東京藝大。生協では、ガスマスク(樹脂加工の授業で使う)や指揮棒が普通に売られている。ピアノが丸々1台盗まれる。全音符の正しい書き順は?ホルンで4コマ漫画を実演した受験生が合格。藝大最初で最後といわれる口笛世界チャンピオン。トライアングルビ―ターを10本持ち歩く男。最終兵器「響声破笛丸」。美しいものをつくりだす人は美しくなければ!ブラジャー・ウーマンは究極の美を追求。天才たちの日常は・・・(新潮文庫)

南博/白鍵と黒鍵の間に

ジャズピアニスト南氏の修行時代の回想録。音楽高校で真面目にクラシックを勉強していたある日、作曲家の友人が貸してくれたキース・ジャレットのレコードを聴いて、ジャズに目覚める。学校をドロップアウトして、キャバレーでピアノを弾く毎日。それでも、音大の打楽器科を卒業するが、その後は銀座の高級クラブのピアニストになる。80年代バブル期の銀座。その筋の方々やきれいなおねえさん達、海千山千のバンドマン。夜毎に「ゴッドファーザー愛のテーマ」を弾きながら、アメリカへのジャズ留学を企てるのだが・・・自分のイメージを、ピアノという楽器で、イメージそのままを鍵盤のみで表現できないということは、白鍵と黒鍵の間の音を無意識に求めているということになりはしまいか。(小学館文庫)

群ようこ/音の細道

小唄を習い始めたものの、男女の仲を唄った色っぽいものになると、「うーん、どうもあっさりしすぎてるわねえ」と師匠に言われる・・・わかる、わかる。私の笛と一緒じゃん。知らないうちに口ずさんでしまうサブちゃんの歌の魔力。結婚式で列席者を泣かせる「母さんの歌」の不思議な力。「新世界より」「オリーブの首飾り」など、作曲者の意図と違うイメージを植え付けられてしまった曲。女性関係の派手な隣のおやじの起床ラッパや「タブー」。トリオ・ロス・パンチョスの第4のメンバーになりきってギロやマラカスを鳴らす、幼い弟の思い出・・・などなど、音にまつわる面白エッセイ集。(幻冬舎文庫)

茂木大輔/オーケストラ楽器別人間学

NHK交響楽団・主席オーボエ奏者である著者の、長年の観察と研究成果。とりあえず、目次でも見ますか?序章 オーケストラはサイボーグ009なのだ! 第1章 楽器別選択運命論・どんなヒトがどんな楽器を選ぶのか あるフルート奏者ー北国出身、どことなくクリスタル あるオーボエ奏者ー演劇少年の突然の変身・・・ほらほら、もう読みたくなってきた!ちなみにフルート奏者についての記述は、うんうんと思う部分もあれば、えっ、そうかなあと思う部分もあります。オケのフルーティストとブラバンのピッコロ偏愛者とは、違う人種なのかも。(草思社)

茂木大輔/オーケストラは素敵だ〜オーボエ吹きの修行帖

茂木氏のちょっと真面目モードのエッセイ集。オーケストラ入団のための苛酷なオーディションの実態!連日地下室にこもって、10本のマッチ棒を並べて練習・・・1回成功すると1本移動させるんだけど、ミスったらまたもとにもどしてはじめから。連続10回成功するまで終わらない。バッハ・コレギウムのオーボエ鬼コーチの話も、ちょっと泣かせます。嫌われても憎まれても恨まれても、何度でも何日でも何年でも、同じことを注意し続けて直してやる忍耐力は、私にもないと思う。(中公文庫)

茂木大輔/オケマン大都市交響詩〜オーボエ吹きの見聞録

書かれている内容は、時期的には「オーケストラは素敵だ」と「はみだしオケマン挑戦記」の間でしょうか。茂木氏がオーボエ奏者として訪れた全世界26都市での体験。レーゲンスブルグでは、大富豪の誕生パーティーにお城に呼ばれて、ロココ調の衣装で『ドン・ジョバンニ』・・・と、のだめそっくりの話も出てきて笑えます☆おまけの筒井康隆風SFもおすすめ。それにしても、楽器が口から離れてもそのまま音楽を奏でるようになるぐらい練習しなくては、やっぱりプロになれないんですね。

茂木大輔/拍手のルール〜秘伝クラシック鑑賞術

「古典コン」(クラシックコンサート)は、敷居が高いからこそ楽しいんだけれど、高すぎてもつまらない。この本を読んで、ちょっと予習してから行きましょう♪ライブならではの楽しみとは?何をどこで聴けばいいのか?正しい拍手のしかたとは?拍手のルールについては一応知っているつもりでしたが、それでも国民性や音楽史があるとは勉強不足でした(笑)。名曲の個人情報、「運命」の人間ドックなども笑えます。(中公文庫)

茂木大輔/はみだしオケマン挑戦記〜オーボエ吹きの苛酷なる夢

茂木氏のかなり真面目モードのエッセイ集。内容的には、N郷主席奏者となってからの日々のことです。ハードなビータ(演奏旅行)をこなしながらも、リサイタル、ソロ・アルバムのレコーディングをこなし、さらには指揮者デビューも目論む飽くなき好奇心と向上心。プロって、やっぱりすごい!それにしても、私も大人用サンダーバードの制服がないのは納得できないと思いましたが・・・(中公文庫)

ヤマザキマリ/ヴィオラ母さん

ヤマザキマリ氏を育てた破天荒な母・リョウコの半生。黒柳徹子さんと同じ昭和8(1933)年、神奈川県鵠沼(くげぬま)生まれ。乳母の付き添いで学校へ通うような良家の子女として大切に育てられ、会計事務所に勤めたものの、昭和35(1960)年、27歳の時、札幌交響楽団設立の情報を耳にし、ヴィオラを手に、なかば勘当のようなかたちで単身北海道へ渡る。女性第1号メンバーとなり、新鋭指揮者と結婚、昭和41(1966)年、長女マリを生むが、まもなく夫は病死。生まれたばかりの娘を抱え、シングルマザーとして演奏活動をしていくことになる。その後、大手建築会社に勤める建築技師と再婚し、昭和44(1969)年、次女誕生。夫はほぼサウジアラビア在住であったため別居生活となるが、義母・ハルさんと同居するようになる。離婚後もハルさんとの同居は続き、彼女が亡くなるまで一緒に暮らした。演奏家として道内はもちろん、日本各地、時には海外を飛び回り、ヴァイオリンを教え、画家になるという娘に「フランダースの犬」を読ませ、留学先から結婚せずに生んだ赤ん坊を連れ帰っても「仕方ないね!孫の代まではアタシの責任だ!」と言い切る『規格外』の母・リョウコ。朝ドラのような、この人生!
(文藝春秋)

由女(ゆめ)/吹奏楽に恋をして!

イラストレーター由女さんのコミックエッセイ。中高の吹奏楽部でユーフォを吹いていた由女さんが、社会人になってから再び一般バンドへ入団!吹奏楽ライフを楽しみます。同じような境遇の、社会人バンドへ入りたいんだけど・・・・と思っている人向けの内容かな?吹奏楽から何年も離れてしまっても、楽器も持っていなくても大丈夫!きっと居場所は見つかります。(イースト・プレス)

 

図書室入り口へ   私笛トップへ