コンサート日記(2009年)

 

名古屋フィルハーモニー交響楽団第364回定期演奏会〜燃える炭火に照らされた夕べ〜
 2009.12.12(土) 愛知県芸術劇場コンサートホール 16:00 指揮:ティエリー・フィッシャー フルート:エマニュエル・パユ*

ボルン:カルメン幻想曲*
ドビュッシー〔カプレ編〕:組曲『子供の領分』より「雪は踊っている」
ドビュッシー/ホリガー:アルドゥル・ノワール(黒い熱)〜ドビュッシーの「燃える炭火に照らされた夕べ」による<日本初演>
ジャレル:フルート協奏曲『・・・静寂の時・・・』<日本初演>*

【アンコール】
ゲンツナー:ソナタ第3番より第1楽章

ストラヴィンスキー:バレエ『ペトリューシュカ』〔1911年版〕 ピアノ:碇山典子

パユ氏が出るというので出かけた名フィルの定演。今回はサイン会はないだろうと思ってCDを持参しなかったのですが、なんと休憩時間にやるというではありませんか。急遽会場でCDを購入して待機。1曲目のカルメンは、相変わらずの音楽性と超絶技巧に惚れ惚れ〜!2曲目のドビュッシーも、フルート・ソロで始まるかわいらしい曲。次のドビュッシーは2001年に発見された晩年の小品。なんだか不思議な響きがするなあ・・・と思ったら、パーカッションの人がヴァイオリンの弓を2本持って、なにやらこすっていました。楽器がよく見えなかったけど、プラッテングロッケン?日本初演のジャレルの協奏曲は、現代奏法てんこ盛りで私には難解すぎ。最後はピッコロ2本がビミョ〜な和音を延々とロングトーンし、テンプルブロックが短調なリズムを刻む中で、現代奏法連続技のカデンツァです。アンコールは、無伴奏のゲンツナーのソナタ。

休憩になりサイン会へ走ろうとすると、斜め前の席に見たことのあるセーターが・・・なんと師匠じゃないですか!?サイン会の列は階段の下のほうまで続いていましたが、まさか途中で切られることもあるまいと並ぶ。無事サインと握手をGET☆

後半はペトリューシュカ。これもフルートのおいしいソロがあって楽しめました。でも、パユ氏のアンコールがあったせいか、最後はアンコールなし。帰ろうとしたら、大学時代の団長さん・TbのT君に会う。お久しぶり〜!


有田正広 フルートの400年 2009.11.22(日) フロイデンホール 15:00 チェンバロ:有田千代子

C.ドビュッシー:パンの笛、またはシランクス(1913年 パリ) [フルート・ソロ]
J.ファン・エイク:イギリスのナイチンゲール
           わが麗しのアマリッリ(≪笛の楽園≫1648年から) [ルネサンス・フルート・ソロ]
M.ランベール/J.M.オトテール・ル・ロマン:ブリュネットとドゥブール
                             「ある日ぼくのクロリスは・・・」(1720年 パリ) [フリュート・ダムール]
M.ブラヴェ:3つの小品 小さな軽いデュオ/ある日病気のコランは/門番 (1750年 パリ) [フラウト・トラヴェルソとチェンバロ]

福島和夫:「冥」(1962年 イギリス) [フルート・ソロ]
J.ドンジョン:3つのサロンエチュード 作品10の1〜3 エレジー/セレナード/風のうた(1865年頃 パリ) [フルート・ソロ]
F.ドヴィエンヌ:フルートとバスのためのソナタ ホ短調 作品68−5(1786年 パリ) [フラウト・トラヴェルソとチェンバロ]
J.S.バッハ:フルートとオブリガード・チェンバロのためのソナタ ロ短調 BWV1030(1736年 ライプツィヒ)

【アンコール】
ヘンデル:メヌエット

さして大きくない500人のホールががらがら。。。。。 有田さん、こんな田舎で申し訳ありません。 客層は、平均年齢お高め。いかにも善男善女という方たちばかり。 しかし、季節がら咳の出る人がちらほら。 実は私も金曜日から喉がヤバイ感じだったのだ。 「シリンクス」の最後、どんどんppになっていくところでどうにも咳が出そうになり、必死でこらえた。 会場中がシ〜ンとして聴き入っているのに、ここで咳こんだら一生の不覚! 感動と苦しさで、マジ涙が出ました。後で気づいたんですけど、無伴奏の時は照明が暗めにしてあるんですね。で、譜面台にライトがとりつけてある。その光で後ろの反響板に足部管あたりと有田氏の右手のシルエットが映し出されて、ちょっと幻想的でした。ウンチク山盛りの興味深いトークが入るんですけど、会場も暗いんでメモもとれない。

後半は、フルートを3本持って颯爽と登場!でも左右の手に1本ずつ、脇に1本はさんで・・・ちょっとこわいかも。冥」は、私の生まれた年に作曲されてるのね。highH(?)の後すごく長い間があったところで、またもや咳の発作が起こりそうになり、必死で我慢。会場中すごい緊張感で静まりかえっているんだもの。また、涙出ました。。。。。リサイタル自体は、もうホントに素敵!しばらくバッハは吹けません。

アンコールのヘンデルまで、「この曲はもともとチェンバロの曲だったんですけど、出版者が勝手にフルート用に編曲しちゃったんですよ。それを知ったヘンデルが怒りましてね。訴訟を起こしたんです。史上初の著作権問題ですよ・・・」などとウンチクを語られました。「笛吹きの愚痴ですけど、次々と楽器をかえるでしょ?曲が終わるころに、やっとちゃんと鳴るようになるんですよね。皆さんには、そんな部分をお聞かせしちゃったっわけで・・・」なんて、いえいえどんでもない。

有田さん、こんな田舎にもファンはいるんです。 次はもっと真剣に知り合いを誘うから、また来て下さい。


酒井秀明フルートリサイタル 2009.11.13(金) 宗次ホール 18:40 ピアノ:伊吹このみ

J.アラン:3つの楽章
カルク・S.エラート:ソナタ・アパッショナータ 嬰へ短調 Op.140
            シンフォーニッシュ・カンツォーネ Op.114
J.S.バッハ:ソナタ ロ短調 BWV1030

フランク:ソナタ イ長調

【アンコール】
フォーレ:コンクール用小品
アンデルセン:スケルツィーノ
ピアソラ:ノニーノ
ラヴェル:ハバネラ

デビュー30周年記念リサイタル。コンサート日記を調べたら、酒井氏の演奏は、2001年の12月に隣市のホールで聴いて以来。あの時は、渋滞に巻き込まれて開演ギリギリになり、大ホールの一番後ろのすみっこの席だった。今回は至近距離で聴けて幸せ☆髪も白くなり、さすがに老けた感はあるものの、以前よりチャーミングになってる気がする。不思議な方である。

バッハは、割とパワフルな、くっきりした演奏。フランクのソナタ、かっこいい〜!第3楽章になったとたん、会場の空気が変わった気がした。ヴァイオリンの曲は、やっぱりフルート曲にはない華やかさがあるなあ。でも、すごい長大な曲だ。笛で吹くには技術はともかく体力もなくちゃ。。。。。

「今日は、雨の中をご来場いただきありがとうございました。えっ?雨降ってませんか?」(はい。天気予報に反して、まだ降り出してないんです。)「最近はトークを交えた演奏会が流行りですが、僕はしゃべるの苦手なので、どんどん進めます。」と、アンコールも4曲もあって、大満足!

さて帰ろうと思って階段へ向かうと、少し前に大師匠の姿が!出口でやっと追いついて、ごあいさつしようと思ったら、目の前の男性に先を越されてしまった。大師匠は、「20年ぶりじゃないの〜!」などと盛り上がり、私には目もくれずに去ってしまったのであった。。。。。大師匠〜!


サー・ジェームズ・ゴールウェイ「70歳記念プロジェクト」 2009.10.10(土) しらかわホール 19:00
                                  フルート:サー・ジェームズ・ゴールウェイ、ジニー・ゴールウェイ ピアノ:フィリップ・モル

ゴーベール:ソナタ 第3番
ドビュッシー:小舟にて
        シランクス
        月の光
マルティヌー:ソナタ

ハーティ:アイルランドにて
モルラッキ:スイスの羊飼い
バッツィーニ:妖精のロンド op.25
プリッチャルディ:ヴェニスの謝肉祭 op.77
F.ドップラー:「夢遊病の女」の主題によるパラフレーズ op.42(2本のフルートとピアノのための)☆

【アンコール】
ゴーベール:ギリシア風ディベルティメント☆
モーツァルト:トルコ行進曲☆
アイルランド民謡:ダニー・ボーイ
成田為三:浜辺の歌☆
R.コルサコフ:熊蜂の飛行         ☆フルート2本とピアノ

親子ペア券で格安のチケット。1階の後ろのほうでしたが、まあまあでした。以前別のホールで聴いたS席よりも、ずっといい。ゴーベールのソナタは、うちの発表会では人気の曲なのですが、今までいっぱいいっぱいの必死な演奏をたくさん聞いてきたせいか、なんだかとっても簡単そうな曲に聞こえました。マルティヌーのソナタもです。ゴールウェイ氏が吹くと、すご〜く楽そうなんですけど。ドビュッシーの小品3曲は、途中で拍手していいものかどうか迷いましたが、誰も拍手しないので、結局組曲風に3曲続けて演奏。第1部で、すでにかなり満腹状態。

2部は超絶技巧の曲が続きます。「アイルランドにて」とか民謡っぽくて好きなんだけどな。。。。。吹く勇気なくしました。「スイスの羊飼い」も、とても一人で吹いているとは思えない。「妖精のロンド」も、超スピードのタンギングの連続で、最後はhigh−E♭(?)まで跳ね上がります。いつものごとく、アンコールで1ステージ分ありそうな盛りだくさんのプログラムで、お腹いっぱい!それにしても、70歳とは思えないすごいパワー!「さすが肉食人種」とは、笛友Kさんの言。そうです、ダイエットとか草食系とか言ってる場合じゃない、このさい多少のお腹の肉は無視して、パワーをつけなくては。

そして、サイン会で私は持参したCDへ、娘はフルートのケースへ3人のサインをいただいて帰宅〜♪さすが著名なゴールウェイ氏だけあって、知り合いにもいっぱい会いました。


第104回 せせらぎたいむ サクソフォーンとピアノによるガブリエル・フォーレの音楽
            
 2009.7.26(日) せせらぎホール(音羽文化ホールロビー) 19:00 サクソフォーン:辻 友香里 ピアノ:倉田 弓

久保 禎:幻影の森
ミヨー:スカラムーシュ T 生き生きと U 穏やかに Vブラジル風

フォーレの作品
夢のあとに Op.7 bP
ファンタジー Op.79
シチリアーナ Op.78
ドリー組曲 Op.56  1 子守唄 2 ミヤウ 3 ドリーの庭 4 キティーワルツ 5 優しさ 6 スペインの行進 

アンコール ピアソラ:リベルタンゴ

フランス留学中のサックス嬢のロビコン。御津吹のメンバーも張り切って出かけました。1曲目はタイトル通りの幻想的な曲。いつ始まったのかわからないようなppからのロングトーンに次第にクレッシェンドがかかって、曲が始まります。ピアノのわきの椅子にマレットが用意されていたので何に使うのかと思っていたら、この曲の途中でピアノの弦を直接叩いてハープのような音を出したり、ピアノの木枠の部分を叩いたりするんです。サックス嬢が外側からピアノを叩いたりもして・・・この部分、まったくの即興なんだそうです。で、「もののけ姫」の旋律が出てきたりもして。おもしろい曲でした。原曲はクラリネットの曲なのだそうです。

2部は彼女が好きなフォーレの曲。フルートでも演奏される「ファンタジー」や「シチリアーノ」もあって、楽しかったです。ドリーは彼女自身の編曲。すごいな〜!アンコールはピアソラのリベルタンゴでノリノリ♪


知性と感性 ストローの笛 2009.4.18(土) アクトシティ浜松 音楽工房ホール 14:00

楽器博物館のレクチャーコンサート。今回は、きちんとした曲順のプログラムがあるわけではなく、トークショーのような感じなので、曲名抜きで、だらだら書きます。ちょっと演奏したのに抜けている曲もあると思います。あしからず。

奏者の神谷徹氏は京大物理学部出身。リコーダー奏者として活躍される傍ら、ストロー笛の製作・演奏もしておられます。物理学者としての知性とリコーダー奏者としての感性+遊び心で製作されたストロー笛の数々には、感心したり爆笑したり・・・まずは、スターバックス・コーヒーの緑のストローで作ったという笛で、アイルランド民謡の「春の日の花とかがやく」を演奏。ここで、まずびっくり!たかがストローの笛と侮るなかれ。知らずに聴いたら、アイルランドの民族楽器かと思うようないい音色なんです。もっとも、そういう音色が出せるようになるまでには練習が必要なのですが。音程や音色をコントロールするためには、かなり息の圧力がいるようです。「血圧が上がるんで、健康でない方にはおすすめできません」とか「命がけで吹くんですよ」とか「根性がある人は、こういう音が出ます」などの言葉が多発。でも、低血圧の私にはちょうどいいかも。

市販されているストローは、標準直径6ミリ、長さ21センチ。これの先をつぶして切ってリードを作り、鳴らすとF#の音が出ます。2本つなげばオクターヴ下・・・と、どんどんつないで指が届かなくなるとぐるっと巻いて形を工夫して。

回る、動く、のびるなどの工夫もあります。わたしバカよね〜♪と自分の頭を叩く「心のこり」。ハチやトンボが飛ぶ「ぶんぶんぶん」や「赤とんぼ」。赤・白・黄色の花が回る「チューリップ」。つのがのびる「かたつむり」や「剣の舞」。」

それから、1本の笛で「きらきらぼし」の2重奏や、「くるみ割り人形」の3重奏。4重奏の「ハッピーバースディ」。大うけだったのは、12面体の「月」・・・まさかヘルメットのように頭にかぶって演奏するとは!

ストロー笛は基本的にダブルリードの楽器なのですが、エアリードのとり笛をつけた「ことりのうた」、虫の鳴き声がする「虫のこえ」(しかもフラッター!)も楽しめました。

さらに、旋律と伴奏で違うリズムを演奏する工夫も。「山の音楽家」や「ねこふんじゃった」。「かえるのうた」などの輪奏もできます。

演奏以外の楽しい工夫もいろいろ・・・あまり実用性のないストロー製の譜面台とか、星に見えてしまう「さくら」とか、ロケット発射のカウントダウン、運動会のかけっこ「天国と地獄」、火炎放射の「ゴジラ」、「魔法の杖」など。

圧巻だったのは、しゃぼん玉が舞う「しゃぼん玉」や、ユニフォームを着て旗を振りジェット風船まで飛ぶ「六甲おろし」、のびたのメガネにタケコプターが回る「ドラえもん」・・・あっという間の2時間でした。


ペーター=ルーカス・グラーフ 80歳記念フルートリサイタル 2009.4.14(火) ザ・コンサートホール(名古屋・伏見・電気文化会館)
                                                                 19:00  ピアノ:アグライア・グラーフ

J.S.バッハ:フルートソナタ ホ長調 BWV1035
C.ライネッケ:ソナタ ホ短調 「ウンディーネ」 作品167

R.シューマン:3つのロマンス 作品94
B.マルティヌー:フルートソナタ 第1番

【アンコール】
ドビュッシー:小船にて
J.S.バッハ:フルートソナタ ハ長調 BWV1033より 第2楽章
ゴーベール:マドリガル
ヴィドール:組曲より 第2曲 スケルツォ
J.S.バッハ:フルートソナタ ロ短調 BWV1030より 第2楽章 ラルゴ

グラーフ氏、80歳記念リサイタル。なにがあっても行きますとも!平日の夜でしたが、時給をとって張り切って出かけました。ピアノは一番下のお嬢さんで、まだ20代です。お嬢さんは、日本ツァーを意識してか、ちょっとオリエンタルっぽいというかエジプトっぽい金と黒のパンツの衣装。髪のきれいな父娘ですね。あんな素敵な銀髪になるなら、染めなくてもいいと思いました。グラーフ氏も、とても80歳とは思えません、最後まで年を感じさせない演奏でした。演奏後にお嬢さんをエスコートして、お辞儀をして、笛をくるっと回して小脇にかかえるんですけど、その仕草がとってもダンディー☆一緒に聴いていたS嬢は、「魔法の杖に見えました」と言っていました。『ウンディーネ』を聴いて、師匠が私には早いと言ったわけを納得。この曲は恋愛沙汰。しかも命をかけるほどの。私には、どうあがいても無理!アンコールも5曲もあって、大満足。2曲目のバッハとか、かなり遊んでる感じでしたけどね。5曲目には、さすがに「これでエンディング」と言っていましたが、エンドレスかと思うほどのパワーでした。私も80歳まで、がんばるぞ〜!もちろん、CDを買ってサインと握手をしていただいて帰ってきました。

 

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