TED+Talkies メルマガ 第105号 2021.02.21


こんにちは みなさん

今日は 春のような暖かさでしたが まだ風に冷たさが残る群馬では 土手の菜の花が咲き始めたところです。

皆様の地方では いかがでしょうか。



さて、来月は 4つの学術団体で 5本の研究発表ラッシュです。

それはまるで ひたすら縮こまっていた草木が 芽吹く春のようなにぎやかさです。



先号まで2つの発表を紹介しました。その後 すべての会合でプログラムが確定しましたので、今号では それもあわせてお知らせします。





━ もくじ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. 言語エキスポで 赤ペン添削オンライン発音授業
2. 言語エキスポで スピーキング学習支援の提案
3. 人工知能学会で スピーキングテストと学習履歴
4. ATEM(映像メディア・・)で 著作権とメディア
5. 言語処理学会で 全自動スピーキングテスト開発
編集後記
  最末尾
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5つの発表の内 4つのテーマは「英語スピーキング」です。

残る1つでも「英語スピーキング」に触れます。



まずは5つの発表を 日時順に並べておきます。


(1)
日時: 3月7日(日)14:45〜15:15 / P23
主催: 言語教育エキスポ
名称: 言語教育エキスポ 2021
URLL: https://ja.padlet.com/shiensakai/lw3nq4jjqour19h5
発表: Ryan Spring・田淵龍二
表題: 全自動赤ペン添削をオンライン授業に取り入れた学習
  ― コロナ時代でのスピーキング練習への挑戦


(2)
日時: 3月7日(日)15:15〜15:45 / P24
名称: 言語教育エキスポ 2021
URLL: https://ja.padlet.com/shiensakai/lw3nq4jjqour19h5
発表: 田淵龍二・Ryan Spring
表題: 全自動赤ペン添削によるスピーキング学習支援の提案
   ― AIによる自動音声認識を3秒で添削


(3)
日時: 3月8日(月)
名称: 人工知能学会 インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング第26回研究会
URL: https://www.ai-gakkai.or.jp/sig-system/sigusers/add/am/am26
発表: 田淵龍二・Ryan Spring
表題: スピーキング指導可視化ツール開発と指導意思決定支援
   ― AI自動赤ペン添削で弱点を図示する学習履歴マイニング


(4)
日時: 3月13日(土) 11:25〜12:25 / Zoom
名称: 映像メディア英語教育学会(ATEM)第17回西日本支部大会
URL: http://atem.org/nishinihon/
発表: 田淵龍二
表題: ウェブ時代における授業と著作権


(5)
日時: 3月16日(火)14:10〜15:40 E2-1 33会議室/Zoom
名称: 言語処理学会第27回年次大会(NLP2021)
セッション: 言語教育と言語処理の接点(1)
発表: 田淵龍二・Ryan Spring
表題: スピーキング 3 秒採点と赤ペン添削システム開発とオンライン授業
   ― 人手による主観評価から機械(AI)による客観評価へ



どの会合も オンラインです。参加資格は オフラインより開放的です。





以下は 発表要旨です。


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1. 言語エキスポで 赤ペン添削オンライン発音授業
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要旨:
コロナ時代になって、多くの授業が対面式からオンラインに変わり、先生も生徒も困難が増えた。教員・学生の一対一の時間が減少されたため、スピーキング学習は特に難しくなった。そこで、 全自動赤ペン添削を授業に取り入れた。すると、学生がスピーキング練習を活発的にしながら、即時にアプリからフィードバックをもらい、教員もそのフィードバックに基づいて、より適切な助言や指導を学生に与えられた。結果と感想を報告する。





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2. 言語エキスポで スピーキング学習支援の提案
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要旨:
4技能のうちで一番遅れているスピーキング評価に、ASR(音声自動認識)利用が増えている。しかし書き起こし文から間違いを見つけるのは困難であった。この難点を解決したウェブアプリが公開されたことを受けて、授業で小テストを開始した。課題文を生徒が発声すると、わずか3秒で添削して返す。生徒は間違った箇所(音素や単語)に注意しながら再挑戦する。AI全自動赤ペン添削によるスピーキング教授法と学習法を提案する。





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3. 人工知能学会で スピーキングテストと学習履歴
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要旨:
英語教育4技能でもっとも遅れているスピーキングテストを改善するために開発した赤ペン添削を使った英語音声指導授業を行った。課題文を生徒が発声するとわずか3秒で添削して返す。生徒は判定結果の赤ペン箇所(音素や単語)に注意しながら直ちに再挑戦する。教員が学習履歴マイニング結果を10秒で俯瞰してエラーの多い語彙や表現を把握することで、最適化したクラスレッスンを同じ授業内で返す意思決定を支援できた。





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4. ATEM(映像メディア・・)で 著作権とメディア
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要旨:
生徒による複製可否などの著作権ガイドライン作成は 2004 年 3 月に遡る。これが教育
界にとっては躓きのはじまりだった。最終段階で降りてしまった教育界は、以来萎縮を続け、リスク回避の風潮が広まってしまったからだ。


ウェブを使った教育が広がる 21 世紀。旧来の権威が崩壊し、GAFA など巨大ビジネス
と、スマホを操る大衆の情報発信が世界を動かし始めた。デジタル覇権に敗れた日本は、著作権法改正を矢継ぎ早に打ち出している。


音楽著作権団体が著作権料支払いをピアノ教室に求める事件が発生した(2017 年)。著
作権問題が法の運用であるだけでなく、当事者間の交渉でもあることをこの争いは示している。そして今「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする」(第一条)基本精神への回帰が提起されはじめた。


これらを踏まえ、ウェブ資源を教育利用する諸方策を列挙する。各例はオープンサイト
Mint Station(http://www.mintap.com/talkies/?open=ashap)から無料でアクセスできる。





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5. 言語処理学会で 全自動スピーキングテスト開発
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要旨:
スピーキングテスト評価の全自動化システム開発と授業実践報告である。音声認識の出力を採点し赤ペン添削して生徒返す。この間わずか3秒のシステム開発は生徒の発声量増大と教員の即時フィードバックに貢献した。






・・・ 本文は ここまで ・・・





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Talkies と CORPORA など 最新版の入手
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ブラウザ(推奨はクロム Google Chrome)で以下のアドレスにアクセスします。

Talkies
  • https://www.mintap.com/talkies/talkies.html
  • * Talkies 最新版は バージョン 2.00.827a です。
  • バージョンの確認は トーキーズの ||| menu ボタンからポップアップするメニューで、「トーキーズについて/バージョン」で表示される小窓にある

CORPORA
  • https://www.mintap.com/talkies/pac/corpora.html
  • * CORPORA 最新版は バージョン 2.01.008c です。
  • バージョンは 開いたページの右上にある


NatTos
  • https://www.mintap.com/nattos/
  • * NatTos 最新版は バージョン 2.10.123bj です。
  • バージョンは 開いたページの右下隅にある

バージョンが古い(番号が小さい)ときには、再アクセスします。再アクセスするには、(シフトキーを押しながら)アドレスバーのすぐ左(Safari では右)にある「リロード」ボタンをクリック、あるいはトップバーの URL をタップします。





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ご利用の方は、必ず「Talkies の利用規約」をお読みください。よくあるナガナガしいものではなく、A4の裏表ほどに短く簡潔にまとめています。
  • https://www.mintap.com/talkies/talkies-terms.html

また、Talkies の [menu] ボタンからポップアップするメニューで、「トーキーズについて/利用規約」からでも開きます。





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編集後記
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3月の研究発表は、英語スピーキングテストと著作権に特化した。

スピーキングテスト・NatTosの開発はコロナ自粛中の春ごろから本格化して、公開は6月となった。

スピーキングテストの発案はTaCOSやVoijjarのころから考えていたものだが、最後の一押しはSPRINGさんだった。

彼は東北大学で英語を教える先生だが、とても熱心で、生徒と一緒にビデオを作成したりしている様子を研究発表していた。それが一昨年の冬の研究発表ではスピーキング評価を取り上げていた。

その余りに熱心な様子と、余りに人海戦術な方法に触れたことがきっかけとなった。どんな方法かと言うと、生徒の音声をファイルに落とし、YouTubeにアップして英語字幕に変換し、それを課題文と見比べて、違いを数えると言う。

できなくはないが、多くの先生が真似できないほど複雑で手間がかかる。しかし、やろうとしていることは理解できるし、他の先生も共感できるものだった。

そんなにまでしなくても、こうやれば数十人分でも数百人でも数秒で添削し、数十秒で統計処理が終わり、十数秒で見やすいデザインで閲覧できることが「理論上」はわかっていたので作ってしまったのだった。

それを夏ごろの研究会で発表したところ、意気投合して、秋からの授業でのスピーキング授業にNatTosを導入したのだった。

思った以上に順調にスピーキングテストが進み、100人3万件を超えるデータが収集された。解析を始めるといろいろ面白い結果がでてきたのだった。

この3月の発表は、こうしたスピーキングテストについて
 人工知能など開発サイド
 データ解析を使った授業支援
 オンライン下のスピーキング授業運営
 英語スピーキングにおける日本人の弱点と指導法
の4点についてそれぞれの専門学会に振り分けた結果である。

この4月の新学期からは さらに体制を整えて準備を始めている。

生徒がウェブを使える環境であれば 特別な設備も登録もお金もなしに、すぐに導入できる授業法である。

何よりうれしいのは、自前のテキストでスピーキングテストができること。教材とテーマにあった課題文や語彙を十数本準備すれば、3分で小テストが始められる。


興味ある先生諸氏は 気軽に問い合わせて欲しい。大歓迎である。



一緒に、スピーキング教育の新しい道を 切り開きましょう。



2021年2月21日
田淵 龍二

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