TED+Talkies メルマガ 第53号 2017.12.23 |
ある先生からのメールに 第8回 映画英語教育学会(ATEM)東日本支部大会の案内があった。簡潔な要約付きのプログラムが添えてあり、流し見ているうちに懐かしくなり、参加してみることにした。もう十年くらいのご無沙汰で、東日本支部ができる前のことだった。 新宿西口10分と地の利がいい会場で、群馬からは湘南新宿ライン乗り換えなしだ。 ■ ■ _// も く じ _// ■ ■ ■ 1. 第8回 映画英語教育学会(ATEM)東日本支部大会に参加して ■ ■ 2. 塚田 三千代「映画と文化データベース」 ■ ■ 3. 清水 純子「シネマデータベース」 ■ ■ 今回は 映画英語教育学会特集です。 モノローグの Ted Talks から、ダイアローグの 映画にスイッチです。 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ ■ 1. 第8回 映画英語教育学会(ATEM)東日本支部大会に参加して ■ ■ 映画で英語の リズムと文化を まるかじり ■ ■ ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第8回映画英語教育学会(ATEM)東日本支部大会プログラム(要約) 1.大月 敦子(専修大学)Be動詞の語法文法 2.清澤 香 (国際基督教大学)クリティカル・シンキングの授業導入 3.塚田三千代(映画アナリスト・翻訳家)映画と文化データベース(MCDB) 4.藤田久美子(進学塾トーマス講師)ブルックリン移民女性の成長と自立 5.小林 敏彦(小樽商科大学大学院)現実の英語と映画の英語の9の相違点 6.吉田 雅之(早稲田大学)歴史言語学からみた人名表記 7.小泉 勇人(東京工業大学)MagicintheMoonlightにおける魔法の正体 8.清水 純子(慶応義塾大学)シネマデータベース構築の留意点と使用方法 9.日影 尚之(麗澤大学)マダム・マロリーと魔法のスパイス 10.藤枝善之(京都外国語大学・短期大学)The定冠詞―映画で英文法を楽しむ 朝10時過ぎから、夕方5時まで、ひとつの教室での連続発表で、知的興奮の連続だった。 ここ十年くらい外国語教育メディア学会(LET)で活動しているうちに理念「英語のリズムと文化をまるかじり」が薄れていたことに気づかされ、学習支援教材教具作成の原点に引き戻してくれた。語学教育研究の「先行研究」や「結果の統計的処理」(いずれもカッコつきなのだが)などそっちのけで映画の面白さや教訓と思想を語る発表者の熱意に引き込まれてしまった。 そこで、この号からいくつかの発表をメルマガで紹介することにした。 シリーズの初回は、3. 塚田氏の「映画と文化データベース」と、 8. 清水氏の「シネマデータベース」を取り上げた。 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ ■ 2. 塚田 三千代「映画と文化データベース」 ■ ■ ■ 映画と文化データベース Movie and Culture Database(MCDB)について ■ ■ URL: http://home.a03.itscom.net/mtart/index.html ■ ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 古典的名画から最新の映画まで、塚田氏ならではの映画批評が楽しめるサイトになっている。語学教育の枠を超えて、映画を楽しみたい人にも必見のサイトになっている。 掲載映画は755本と、メジャーリーグでホームラン数2位のハンク・アーロンと同じ記録で、1位のハリー・ポンズ762本まであとわずかだ。 それらの映画について、内容面からのジャンル分けがされていて、その比較研究から「映画作品には人生・人間の生き方と人権が扱われていることが分かる」「小・中学生向き映画は数が少なく755本の6.1%」としている。 浅学な小生は、塚田先生に質問した「どうやって分類したのですか?」と。 塚田先生の回答は明確であった・・・「全部見てるから。」・・・納得! 小生は、映画好きだが趣味ではないし、映画館は嫌いな人種だ。それでも映画映像コーパスSeleafを作成するために1本の映画を数ヶ月かけて何度も何度も見ながら書き起こし(dictate)てきた。十数年かけてやっと25本だ。 塚田先生の渾身のサイト MCDB を拝見すると「アカデミー賞・作品賞受賞映画(米)」一覧がある。名作映画中心の小生はさっそくチェックした、Seleaf搭載の映画は何本収録されているのかが知りたいからだ。5本あった。 1952 25回 Greatest Show on Earth, The 地上最大のショウ 1951 24回 An American in Paris, パリのアメリカ人 1943 16回 Casablanca カサブランカ 1940 13回 Rebecca レベッカ 1939 12回 Gone with the Wind 風と共に去りぬ 映画の著作権の保護機関と、戦争に負けた日本への報復的な戦時加算で、日本では1953年が保護期間終了の最終年度(最高裁判例で確定)になっている。「ローマの休日」がSeleafに収録されている所以である。 さて、ここで往年の映画ファンにクエスチョン Q1: 「カサブランカ」で有名な「君の瞳に乾杯」の英語は? Q2: セリフ「君の瞳に乾杯」は「カサブランカ」に 何回出てくる? 答えは こちら http://www.mintap.com/?n=5722,5781,6873,7229&s=looking+at+you
小生も書き起こしをした後、検索して初めて気づいたのだが、じつはこれら4回のシーンが物語の節になっていたのだった。心憎い演出だ。そして、このシーンに「君の瞳に乾杯」を捧げた翻訳家・高瀬鎮夫氏に乾杯!! ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ ■ 3. 清水 純子「シネマデータベース」 ■ ■ ■ シネマデータベース構築の留意点と使用方法 ■ ■ URL: http://zoe.html.xdomain.jp/custom.html ■ ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 清水氏は、ニューヨーク映画批評家協会賞(New York Film Critics Circle Awards)「作品賞」82本のデータベース製作者である。 82本の受賞映画1本1本に、丹念な詞書が添えられている。その詞書が半端ではない。十以上の項目がある。製作国・スタッフ・キャスト・画像・時間・・・とあるのは普通だが、社会背景・文化的背景・テーマ・みどころ・印象深いセリフ・授業教材用メリット・授業教材用デメリットなどなどと踏み込んでいるのが並ではない。 たとえば「1941 市民ケーン Citizen Kane」を見ると、授業教材用メリット欄には「経済力が支配するアメリカ社会の仕組みの明示」とあったりする。デメリットは「1940 年代アメリカの歴史を調べないとこの映画が名作であることがわかりにくい」とある。小生も納得。 さて、映画映像シーン検索サイトSeleafの製作者としては、せっかく振っていただいたので、「印象深いセリフ」で取り上げられているシーンの映像をプレゼントする。 こちらのURLだ。 http://www.mintap.com/?n=21854
このシーンからは映画の3つ面白さが伝わってくる、 1) まずは、シーンを楽しむ 2) 清水氏記載の台本とSeleafで見聞する収録音声の違い 3) SUSAN の発声。33単語を7秒 = 毎秒4.7単語のスピードだ。普通は毎秒3単語以下で2〜3秒なので、まくし立てる会話シーン=長くて速い発声が休みなく一息でなされてる場面を体験できる。 長い人生で、この手のしゃべり方をぶつけられた経験があるとすれば、結構波乱万丈な生き方だったのかもしれませんよ (^-^)ν ・・・ 本文は ここまで ・・・ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Talkies 最新版の入手と確認方法 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ブラウザ(推奨はクロム Google Chrome)で以下のアドレスにアクセスします。 http://www.mintap.com/talkies/ Mac や iPhone、iPad の場合は Safari でも動きます。 最新版は バージョン 1.71.215, 1.71.215a です。 バージョンの確認は トーキーズの menuボタンからポップアップするメニューで、「トーキーズについて/バージョン」で表示される小窓にあります。 バージョンが古い(番号が小さい)ときには、トーキーズに再アクセスします。再アクセスするには、(シフトキーを押しながら)アドレスバーのすぐ左(Safari では右)にある「リロード」ボタンをクリックあるいはタップします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Talkies 利用規約について ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ご利用の方は、必ず「Talkies の利用規約」をお読みください。よくあるナガナガしいものではなく、A4の裏表ほどに短く簡潔にまとめています。 利用規約は、Talkies の [menu] ボタンからポップアップするメニューで、「トーキーズについて/利用規約」で開きます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メールマガジン 購読中止の手続き ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールは トーキーズのワークショップに参加された方や、学会などでお話をさせていただいた方に お送りしています。 購読中止をご希望の方は このメールへの返信のタイトルに「購読中止希望」とお書き込みください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 昔は業界人しか縁のなかったような法律が、一般生活者にもかかわるようになってきたようだ。 今日の新聞(朝日13版37面)に「まとめサイト被害認定 / 差別的投稿掲載 運営者に賠償命令も」との見出しで、LINEが運営し、誰でも製作できるサービスとなっているまとめサイト「Naverまとめ」のひとつ「保守速報」に大阪地裁が有罪判決を出したとの記事が載っていた。右翼系「保守速報」のまとめが「引用の範囲を超え」差別的な編集をおこなったと認定したのである。 この判決は、人権擁護面からは画期的であるとともに、表現の自由面からは議論を呼ぶとされ、今後の動向が注目されると言う。 この記事を書いた記者の最後の「まとめ」が印象深かった。 ある専門家は「情報の送り手側の人材をどう育てていくかも課題だ」と話す。 人材を育てる暇もなく、情報社会が進んでいると言う側面と、進化についていく努力を怠る組織や構成員が以前としてトップに居座っていると言う側面の両方で検討することが必要なのだと読み取った。 2017年12月23日(土) 酉年 しわす 二十三日 酉の刻 田淵 龍二 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ □ ■ Spread your idea through TED+Talkies group! □ ■ http://www.mintap.com/talkies/talkies.html □ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ |