読解計測ソフト ミューム利用解説書 | ||||||||
ミュームは、生徒の英文読解力(正確さと速さ)を同時に測定して、読解指導を最適化するための資料を教師に提供することを目的に開発された読解計測ソフトで、生徒がパソコン上で問題を解くと、結果がただちに自動集計されます。 ミューム(MeWM)は Mint Effective WPM Meter の頭文字から付けた名前です。 WPM は Words Per Minute の略称で、1分間あたりの平均読解単語数になります。
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【 目的と方法 】 ミュームは、生徒の英文読解力(正確さと速さ)を同時に測定して、読解指導を最適化するための資料を教師に提供することを目的に開発された読解計測ソフトで、生徒がパソコン上で問題を解くと、結果がただちに自動集計されます。 ミュームは、正式な試験での利用だけでなく、日常的な読解訓練にも活用できます。ミュームには、読解訓練に効果が期待されるチャンク提示機能が装備されています。チャンク提示は、6単語前後のフレーズを順に提示することによって、意味のまとまりを持つ数単語(chunk)をひと息に読み取ることを習慣にするための方法です。 【 問題、アンケート 】 1回分の問題ファイルは、課題文と設問をセットにした複数の問題で構成されます。 課題文は1ページ300語程度まで、設問は1ページ5問程度までが快適です。設問は選択肢形式で、選択肢は5個程度までが適切です。これらの容量は制限ではありませんが、多くなるにつれてモニターでの閲覧が困難になる場合があります。 設問文の内容と文字数は慎重に吟味する必要があります。設問が課題文に書かれている範囲を越えていたり、文脈重要性の低い数値や固有名詞などにこだわったり、個人の経験や考えに大きく左右される内容である場合には、基本的な読解力以外の思考力や注意力や知識量を測ってしまう可能性が高くなります。設問文が長すぎたり抽象的である場合には、設問自身を読解する負荷が大きくなり、結果として、課題文の読解力が正確に測れなくなります。 ミュームを使ってアンケートも可能です。課題文ページを省略し、設問ページに設問と選択肢を作ります。選択肢に換えて自由記入欄を設置することもできます。 【 自動集計と読解効率 】 問題を解いた結果は、読解終了後直ちに自動集計処理されます。 生徒用パソコンと教師用パソコンがネットワークでつながれていれば、集計結果は自動的に教師用パソコンに転送され、リアルタイムで閲覧できます。 集計されるデータ種は、解答、正否判定、得点、課題文読解速度、設問解答時間です。 問題文の読解時間と設問の解答時間も同時に計測し、読解速度と得点から、受験者の読解効率を自動で計算することを特徴としています。 読解効率(reading efficiency: RE)は実効読解速度(effective reading rate in words per minute)とも呼ばれています。読解速度(reading rate)は1分間に読んだ単語数(words per minute: WPM)で表します。これに読みの正確さを加味した指標が読解効率です。 読解効率は読解速度と正答率の積で計算され、受験者の読解がどれほど速く正確であるかを示す指標になります。どんなに速く読んでも正確さに欠ければ読解効率は低下します。どんなに正確に読んでいても時間がかかり過ぎれば読解効率はやはり低下します。たとえば1ページ360単語の英文を3分で読んだあとに読解問題を5問解いたところ3問正解したとします。WPMは 360÷3=120 WPMで、正解率は 3÷5=0.6 ですから、読解効率は 120×0.6=72 となります。このときもし同じ時間で読解した人が満点を取った場合には、正答率は100%ですから、読解効率は 120×1=120 となります。また、たとえ満点を取ったとしてもその読解に5分かかったとしたらWPMは 360÷5=72 WPM となりますから、読解効率は 72×1=72 となります。つまり3分の読解で3問正解した受験者と5分で満点を取った受験者は同じ読解効率を持つと評価されます。 設問解答時間は、受験者がどのくらいの時間をかけて解答したかを記録しています。数秒程度とあまりにも短ければ、適当に選択肢を選んだ可能性が高くなります。逆にあまりに長ければ、読解時の理解以外の背景知識を利用して解答した可能性が高くなります。いずれの場合も、算出した読解効率の信頼性を低く見積もる必要があることを教えてくれます。 【 読解効率を高める指導 】 読解効率を高める指導は、読解を正確にする指導と、読解を速くする指導に分けることができます。 先の例で示すと、同じ読解効率 72 を持つ受験者であっても 読みが速い方には正確に読む指導を強化し、満点を取ったが読みが遅かった方には速く読む訓練を指導すると良いことが分かります。 読解を正確にするには、語彙・文法・構文の知識を広く深くすることですが、ミューム自身はこれらの内容には直接関わりません。 読解を速くするには、英文を数単語ごとのチャンクに分けて読む訓練が有効です。チャンクは音声のまとまりであると共に、意味のまとまりだからです。ひとつひとつの単語を順に正確に音声に変換していくと言うレベルではなく、数単語をまとまりとして一気に音声にすることで、速い読みになるだけでなく。意味理解にも通じることが可能になるのです。こうした訓練には、ミュームのチャンク提示機能を利用します。 さらに、プレーヤーミント(Player Mint; http://www5b.biglobe.ne.jp/~mint_hs/soft/playermint/newversion/playmx/index.html)による音声訓練と合わせて利用することで、音声と読解との自然な融合が期待できます。プレーヤーミントは文字と同時に音声もチャンク提示するので、数単語をまとまりとして一気に音声にする作業を強力に支援します。 読解時にいくつの単語をまとまり(チャンク)として読んでいるかはその人の言語力に左右されますが、概ね年齢と共にチャンクは大きくなります。この性質を利用したものにリーダビリティ公式(読みやすさ指標)があります。訓練や試験に使う課題文が対象者にとってどの程度のレベルであるかをあらかじめ予測することで読解指導をより有効にすることが可能になります。課題文のリーダビリティ値は、日本人英語学習者向けに開発されたリーダビリティ公式ミングル(Mingle; http://www5b.biglobe.ne.jp/~mint_hs/soft/mewm/mewm.html)で計測できます。生徒の読解効率が低いと感じたときには、リーダビリティ値が低い(より低学年向けの)文章を選ぶとよいかもしれません。正答率が100%(満点)であるときには、意識的に速く読むように(速さを競わせるように)指導するか、リーダビリティ値が高い(より高学年向けの)文章を選ぶとよいかもしれません。 【 読解効率の指導原理 】 読解効率の指導原理は、以下の3つの理論に依拠しています。
つまり、読解効率の指導原理は、速く読むようになるには、その言語の発声を滑らかにするとともに、文字を内声化(音韻符号化)するときに、2秒前後の意味のまとまりの中に多くの単語を入れる訓練法と言うことになります。 【 ミュームの設計思想 】 ミュームは、以下の点に配慮して開発されました。 正確性: 課題文の読み時間を正確に測り、採点を正確に行う 還元性: テスト終了後ただちに成果を返し やる気につなげる 感知性: 時間の配分を誤ったりして 適当に解答した状況を感知できる 均一性: クラスや学校が変わっても 等質的環境を提供する 簡便性: テスト文書の作成、配布、実施、集計で教師に負荷をかけない 安定性: Windows のバージョンや CALL の環境に依存しないで動作する 操作性: はじめての生徒でも すぐに使いこなせる 多様性: 読解テストのほかに アンケートとチャンク速読訓練に使える 自動性: 採点と集計を自動化し、すばやく統計処理をする 安全性: 集計結果は直ちに暗号化され、漏洩や改竄を防ぐ 携帯性: 小さなサイズで 持ち運びやメール添付 LAN転送が軽い 【 利用環境 】 ミュームは日本での英語教育用に開発されたソフトで、マイクロソフトのウィンドウズがインストールされたパソコンで動作します。 ミュームには教師用と生徒用があります。生徒用パソコンと教師用パソコンをネットワークでつなぐと、問題の配布、試験実施、結果の回収、結果表示を自動化することができます。 |