14:30〜15:00
Sachiko NAKAMURA (Chuo Gakuin University), Ryan SPRING (Tohoku University) How Watching Subtitled YouTube Videos Can Help with Listening and Reading:
A Preliminary Analysis
映画を使った英語の授業を、文化と言語の両面から深掘りする教授法を探求する研究の一例として、映画「On The Town(踊る大紐育)1949」から、軍艦を下船し街に繰り出した水兵をタクシードライバー(女性)が誘うシーンの表現「Come up to my place.」が持つナンパな気持ちを、「Come to my home.」と比較しつつ、コーパスを使って解き明かしていく発表であった。
A Seleafでは映画のト書き検索なので、 come up to で表現された動作シーンが13あったということで、CORPORA では TED での字幕検索なので、講演者が自分の体験などを語るときに he came up to me and said ・・・ などと話した箇所が 110個あったということになります。
Q (発表者から英語母語話者へ) 発表で述べた come up to の解釈は当たっていますか?
A(母語話者1) 大丈夫です
A(母語話者2) come up to と来ると and が続くと思う
A(母語話者3) come up to my place と言われたことないから・・・笑い
Q come up には物理的に上へのような意味もありますね?
A はい、そうですね。映画「第三の男」では、2階にいる人がテラスから身を乗り出して、道路にいる人に「Come up.」と言うシーンがありました。come up to は多義表現ですね。
Q up は元来は上下の意味でしょうから、コーパスでヒットした中からそうしたものを除く必要があると思いますが、どうでしょうか?
A はい、その通りです。厳密には1文ずつの意味分析(人手)が必要になります。
(発表者としての)感想:
英語の語感に乏しい田淵が、映画で見たシーンの一つのフレーズ「come up to my place」から感じたナンパな語感を確かめようとすれば、これまでは母語話者に尋ねるしかなかった。しかし 対訳コーパス・CORPORA ができてからは、自力である程度まで探求できるようになった。そうした手法で得た語感について、母語話者に尋ねて「大丈夫」と答えてもらったので、とても喜んでいる。物語の文脈とCORPORAさえあれば、ある程度まで確度の高い語感に迫れることがわかったことは、ATEM特別東北研究会に参加した大きな成果であった。