2017/06/17 外国語教育メディア学会(LET)で研究発表
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名称: 外国語教育メディア学会(LET)関東支部第138回研究大会
主催: 外国語教育メディア学会関東支部
日時: 2017年6月17日(土)
会場: 関東学院大学金沢八景キャンパス3号館
大会会場 関東学園大学(金沢八景キャンパス)入り口で
左から、湯舟支部長、田淵、神田副支部長
本大会において 田淵は2つの研究発表を行った。
- 字幕を活用した反転学習で,アクティブラーニングの時間を確保
- チャンク長が英文読解能力に与える影響
- 発表者: 鈴木政浩,神田明延,湯舟英一,山口 高領,田淵龍二
発表の様子(登壇者は鈴木先生)
ここでは、田淵・池山による発表を報告する。
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もくじ |
- 字幕を活用した反転学習と,アクティブラーニング
- eラーニングの準備と学習の概要
- 教科書による eラーニングを困難にする要因
- eラーニングに向けた著作権処理
- 発表要項とプレゼン原稿
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本発表は,教科書をウェブ化することで,eラーニングとして予習を促進し,本授業での活動を充実することを目指した教授法研究であり,外国語教育メディア学会(LET)関東支部研究支援プログラムの中間報告である。
2016年度関東支部研究支援プログラム 中間報告
研究課題名: 教科書添付音声副教材をウェブ化したCALL教材
研究期間: 2016年 4月〜2018年 3月(2年間)
研究者: 田淵龍二(代表、ミント音声教育研究所)
池山和子(恵泉女学園大学)
概要:
- 本企画では、音声補助教材をウェブ化して字幕をつけた教材による教授法を研究する。具体的な場面としては、
- ウェブ教材を教員が研究室などからクラウドにアップし、CALL 教室の教師卓からURL にアクセスして一斉授業で提示する、
- URL を生徒に通知して個別学習に移行する、
- 生徒が自宅の PC や携帯端末で課外活動に供する
などである。授業実践での継続的利用を通して、音声副教材をウェブ化したことによる教授法の多様性獲得や教育効果、留意点に焦点を当てて研究する。
本中間報告では、音声補助教材をウェブ化して字幕をつけたeラーニング教材による予習復習を行うことで、一斉授業に時間的余裕を生み出し、従来授業では困難であったアクティブラーニングに挑戦可能となる仕組みを紹介した。
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- 教科書と付属音声(CDやmp3)をデジタル化して
- 教科書のテキストを、スキャンしてデジタル文書に変換する
- 付属音声がCDであればmp3に変換する
- このとき、次に進む前に和文訳を作成しておく
- m-Boxed 音声(mp3)と日英テキストを組み込んでフレージングし
- クラウド(外部サーバー)にアップロードし
- CALL教室での授業や、自宅や通学時の予習復習に利用する
ウェブ教科書で想定しているブレンド型授業
円滑な学習サイクルを築くことを目的としている
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教科書による eラーニングを困難にする壁が2つ予想された。
第1が著作権の壁、第2がウェブ化作業の壁である。
- 著作権の壁
- IT社会の進展に対応し切れていない日本の法体系では、eラーニングにさまざまな困難が待ち受けている。
- その代表が著作権の壁である。
- 利用者が代金を払っていても、それを授業でウェブ化してeラーニングに利用することを法律が想定していないからである。
- ただし、2017年5月に国会で可決された改正著作権法により、このあたりの著作権の壁が消滅しつつある。
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- ウェブ化作業の壁
- IT技術の進展で、ウェブ化作業が軽減されてきてはいるものの、現場の教員にとっての負担はまだかなり大きい。
- 現状は、教員の献身的な奉仕でかろうじて成り立っている。
- 作業量がもっとも多かったのが翻訳であった。日本の出版社であれば和文訳を提供するところが多いが、外資系では見かけない上に、傾向的に本文の分量が多い。
- 出版社の側が積極的に関わる体制が整うことが望ましい。
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教材のウェブ利用のためのガイドラインを策定し、数社の出版社の合意を得た。
ガイドラインは、音映像付き紙版教材をウェブ化し、Talkies で授業利用する場合に、出版社、Talkies 運営者、授業運営者の作業指針と遵守すべき規約についての取り決めである。
出版社側の経済的利益を損なわないことと、授業者側の円滑な運用を確保することが最大の目的であった。具体的な項目を列挙する。
- ウェブ化する教材はクラス受講者全員が購入する。
- ウェブ教材へのアクセスは、専用のキーで保護する。
- 出版社は可能な限り英文と和訳をデジタルで提供する。
以上の仕組みを整え終えたのは 2016年12月で、運用は2017年の新学期からの予定であった。結果は以下の通りであった。
- 2016年後期には間に合わなかったので、その分については出版社(外資系)との個別契約(許諾)となった。
- 2017年の新学期で使う教科書は別の出版社(外資系)で、ガイドラインでの合意ができなかったので個別交渉となったが、学期が始まって3ヶ月経っても解決しなかった。
- ガイドラインに合意した出版社の教科書を使った研究授業を希望する学校があったが、予算の都合で廃案となった。
資料: ⇒教材のウェブ利用のためのガイドライン
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以下、詳しくは発表要項とプレゼン原稿に譲る。
資料1: ⇒発表要項
資料2: ⇒プレゼン原稿
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大会は2017年6月であったが、selected360の開発と、その後の出来事への対処に翻弄されているうちに記事執筆を失念していたため、報告が遅くなってしまった。
2018.08.14 田淵龍二
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