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三木秀夫法律事務所
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ハルウララに武豊騎手が騎乗し106敗(2004年03月22日)       競馬
○高知競馬で105連敗中のハルウララに2004年03月22日、中央競馬の武豊騎手が騎乗。高知競馬史上最多の1万3000人のファンの大声援を受けて注目の第10レース「YSダービージョッキー特別」に出走した。残念ながらハルウララは11頭中の10着で、106連敗を喫した。

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○ハルウララのデーター(公式ホームページより)
性   別  牝
毛   色  鹿毛
生年月日  1996年 2月27日
産   地  北海道三石郡三石町
生産牧場  信田牧場
調教師名   宗石 大

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○負け続けても、あきらめずに、ひたすら走り続ける小柄な馬。存続の危機にさらされている高知競馬を救おうとしている。地方競馬は、経営がどこも大変なようだ。

○内閣は、2004年(平成16年)3月5日競馬法の一部を改正する法律案を第159回通常国会に提出した。その提案理由によると、「近年の競馬の売上額の減少に伴う競馬主催者の厳しい事業収支の状況にかんがみ、競馬の実施に関する事務の委託等に係る規制を緩和するとともに、地方競馬主催者に対する必要な支援等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」とある。2005年1月1日からの施行を目指す。

○この法案の骨子は、わが国の競馬のあり方に係る有識者懇談会報告書を反映したもの。この報告書の要約版はコンパクトにまとまっている。

この報告書は、「競馬事業は収益を得ることが可能な事業であり、主催者の経営努力によって、独立採算で持続可能な事業として運営すべきである。将来的な採算の見通しがつかない場合は、それぞれの主催者が責任をもって存廃を決断する必要がある」という認識を最初に示している。
その上で、地方競馬に関連する部分として、
(1) 地方競馬に対しては、原則として、各競馬主催者が独立採算制での経営体制の基盤整備を急ぐべきであるとし、それが困難な競馬主催者は問題を先送りするべきではないと指摘。これは、言葉を変えれば、だめなら撤退せよということ。その上で、経営に熱意のある競馬主催者は、地域ごとのブロック化を推進すべきであるとも提言している。これは、高コストの経営体質を統廃合によって改善するし、合わせてスケールメリットを備えることで競馬開催の商品力を高めるねらいがあるといわれている。つまりは、地方競馬は自助努力するしかない。 
(2)その他、中央と地方に共通するものとして、競馬場入場料の徴収緩和、キャリーオーバーも含めた重勝式馬券の導入、三連勝単式馬券の導入、単勝・複勝式馬券での控除率引き下げ、成年に達した学生の馬券購入の解禁が提言されている。

○今回の競馬法の一部を改正する法律案での目玉は、
@不況などの影響で競馬の勝馬投票券(馬券)の売り上げが減少している現状に歯止めをかけるため、日本中央競馬会(JRA)と地方競馬が、相互に馬券を委託販売できる(JRAのG1レースの馬券が地方競馬の窓口で買えるようになる。逆に地方競馬の馬券がJRA窓口でも買えるようになるため、高知競馬のハルウララの馬券がJRAの窓口で買えるようになる。)
A年齢にかかわらず馬券購入が禁止されていた学生については、「20歳になったら買える」ようになる。
Bまた、「重勝式」、つまり2つ以上のレースの勝ち馬を同時に当てる方式を新規導入。
C馬券の払い戻し率も、現在の一律75%から、馬券の種類ごとに変更できるようになる。

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○競馬法(現在)
第三章 地方競馬
(競馬場の数)
第十九条  地方競馬の競馬場の数は、北海道にあつては六箇所以内、都府県にあつては各二箇所以内とする。
(競馬の開催)
第二十条  地方競馬は、次に掲げる事項につき農林水産省令で定める範囲を超え、又は農林水産省令で定める日取りに反して、開催してはならない。
一  都道府県の区域ごとの年間開催回数
二  一回の開催日数
三  一日の競走回数
2  農林水産大臣は、都道府県又は指定市町村に対して、競馬の開催回数、一回の開催日数及び開催の日取りその他競馬の開催に関し、調整上必要な指示をすることができる。
(収益の使途)
第二十三条の三  都道府県は、その行なう競馬の収益をもつて、畜産の振興、社会福祉の増進、医療の普及、教育文化の発展、スポーツの振興及び災害の復旧のための施策を行なうのに必要な経費の財源に充てるよう努めるものとする。
                                            弁護士 三木秀夫

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