新潟県中越地震(2004年10月23日) 被災者生活再建支援法 |
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○2004年10月23日午後5時56分ごろ、新潟県を中心に、北陸から東北、関東にかけての広い範囲で強い地震があり、同県中越地方で震度6強を観測した。その後も余震が続いた。上越新幹線は浦佐―長岡間で下り「とき」が脱線した。乗客を乗せた新幹線の脱線は初めて。
【10月30日追加記載】~川口町、震度7だった
○新潟県中越地震で、23日午後5時56分の最初の地震(マグニチュード6.8)の際、同県川口町で震度7の揺れを観測していたことが30日わかった。同日午後、震度計の電源や回線が回復し、データが気象庁に入った。同地震の最大の揺れはこれまで、小千谷市などの震度6強とされていた。震度7が確認されたのは95年1月の阪神大震災以来。96年以降は震度計で揺れを測る計測震度を使っているが、計測震度で震度7が観測されたのは初めて。この地震では30日夕現在、約7万6600人が避難所での生活を強いられている。
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○大変な地震がまた起きた。阪神大震災を彷彿とさせる。今年は、異常気象と度重なる台風被害で、災害列島の趣であったが、さらに追い討ちをかけるような惨状に目を覆うばかりである。今後、豪雪地帯の冬が近い。ボランティアの活躍に期待が強い。政府も、全力を挙げて支援をすべきで、被災者生活再建支援法の弾力的な運用が必要であり、場合によっては、さらなる法改正による適用範囲の拡大を検討すべきであろう。
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○被災者生活再建支援法とは、災害時に家屋が全壊・半壊し、解体や大規模な補修を必要とした世帯に、生活費や解体撤去費として最大300万円を支援することなどを基本とした法律。
これまで、各種天災被災者の生活再建については、被災者の自助努力が基本とされ、国としては、低利の融資や税の減免等による支援のみがなされてきた。1995年に発生した阪神淡路大震災では、低利融資といえども債務負担能力がないか、高齢等の理由で、自立して生活を再建することが困難な場合が大変に多く見られ、悲惨な状態であった。このような教訓から、被災世帯の自立した生活再建の開始を支援するため、1998年5月に成立したのが、被災者生活再建支援法である。
○その後、地震や台風などで失った住宅の再建を手助けする「居住安定支援制度」の創設を盛り込んだ改正被災者生活再建支援法が成立し、2004年4月1日施行された。
これは、災害で壊れた住宅の解体やがれき撤去費のほか、住宅ローン利子などの費用として新たに全壊世帯に最高200万円、半壊の場合100万円が支給される。賃貸住宅の入居者にも50万円まで支給される。家財道具の購入費に100万円が充てられる従来からの制度と合わせると、支給額は最高300万円となった。
○しかし、2004年の法改正は、被災者たちが求めていた住宅建築や補修への直接支援は「個人財産の形成に公的資金を投入することは好ましくない」との理由から今回も認められず、間接支援に限定されたもので、さらなる検討も求められている。
○家財購入を支援する従来からの制度も、世帯主の所得制限や全壊、半壊の判定基準が厳しく、手続きが煩雑で使い勝手が悪いと言われている。一般国民の生活感覚や被災者の目線に立った血の通った制度にする責任が国にあるといえよう。
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○被災者生活再建支援法の概要
①法律の目的(第1条)
自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者であって経済的理由等によって自立して生活を再建することが困難なものに対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金を支給するための措置を定めることにより、その自立した生活の開始を支援することを目的とする。
②対象となる自然災害
対象となる自然災害は、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、津波、噴火、地すべり、山崩れ、がけ崩れ、土石流等の災害を指し、対象となる災害の程度は次のとおりとなる。
(1)災害救助法に該当する被害が発生した市町村における自然災害(災害救助法に該当するには、各市町村別に住宅の全壊がある一定規模以上発生する必要がある。)
(2)10世帯以上の住宅が全壊する被害が発生した市町村における自然災害
(3)100世帯以上の住宅が全壊する被害が発生した都道府県における自然災害
(4)5世帯以上の住宅が全壊する被害が発生し、1~3に隣接する市町村(人口10万人未満に限る)における自然災害
③支援金の支給対象世帯
支給対象世帯は上記の自然災害により被害を受けた下記の世帯となる。
(1)住宅が全壊した世帯
(2)住宅が半壊し、倒壊防止等のやむを得ない事由により住宅を解体した世帯
(3)災害が継続し、長期にわたり居住不可能な状態が継続することが見込まれる世帯
(4)住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ住宅に居住することが困難である世帯(大規模半壊世帯)
④支給限度額
支援金の支給額については、世帯収入、世帯主の年齢等に応じ、最高300万円までの支給限度額が設定されている。
⑤支援金の使途
支援金は、被災者の「自立した生活の開始に必要な経費」とし、その使途により、「通常経費」と「特別経費」に区分さ、細かく規定されている。
⑥被災者生活再建支援基金
都道府県は、相互扶助の観点から、予め設置された被災者生活再建支援基金に合計300億円の資金を拠出しており(1999年4月)、支援基金はその運用益を財源とし支援金支給業務を行っている。都道府県は議会の議決を経て、支援金の支給に関する事務の全部を基金に委託している。
⑦国の補助
国は、支援基金が支給する支援金の額の2分の1を補助するものとなっている。
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○被災者生活再建支援法 (平成十年五月二十二日法律第六十六号)
最終改正:平成一六年三月三一日法律第一三号
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者であって経済的理由等によって自立して生活を再建することが困難なものに対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金を支給するための措置を定めることにより、その自立した生活の開始を支援することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 自然災害
暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。
二 被災世帯
政令で定める自然災害により、その居住する住宅が全壊した世帯その他これに準ずる程度の被害を受けたと認められる世帯として政令で定めるものをいう。
第二章 被災者生活再建支援金の支給
(被災者生活再建支援金の支給)
第三条 都道府県は、当該都道府県の区域内において被災世帯となった世帯のうち次の各号に掲げるものの世帯主に対し、自立した生活を開始するために必要な経費として政令で定めるものに充てるものとして、当該各号に定める額を超えない額の被災者生活再建支援金(以下「支援金」という。)の支給を行うものとする。
一 当該世帯に属する者の内閣府令で定めるところにより算定した収入の合計額(次号において「収入合計額」という。)が五百万円以下である世帯 三百万円
二 収入合計額が五百万円を超え八百万円以下である世帯であって、その世帯主の年齢が六十歳以上であるもの(収入合計額が五百万円を超え七百万円以下である世帯にあっては、その世帯主の年齢が四十五歳以上六十歳未満である世帯を含む。)又は内閣府令で定める要援護世帯であるもの 百五十万円
(政令への委任)
第五条 支援金の額の算定基準その他支援金の支給に関し必要な事項は、政令で定める。
第四章 国の補助等
(国の補助)
第十八条 国は、第七条第一号の規定により支援法人が交付する額及び同条第二号の規定により支援法人が支給する支援金の額の二分の一に相当する額を補助する。
(国の配慮)
第二十条 国は、第九条第二項及び第三項の規定に基づく都道府県の支援法人に対する拠出が円滑に行われるよう適切な配慮をするものとする。
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○被災者生活再建支援法施行令(平成十年十一月五日政令第三百六十一号)
最終改正:平成一六年三月三一日政令第九九号
内閣は、被災者生活再建支援法 (平成十年法律第六十六号)第二条第二号 、第三条 、第五条 及び第二十一条 の規定に基づき、この政令を制定する。
(政令で定める自然災害)
第一条 被災者生活再建支援法 (以下「法」という。)第二条第二号 の政令で定める自然災害は、次の各号のいずれかに該当する自然災害とする。
一 自然災害により災害救助法施行令 (昭和二十二年政令第二百二十五号)第一条第一項第一号 又は第二号 のいずれかに該当する被害(同条第二項 の規定により同条第一項第一号 又は第二号 のいずれかに該当することとなるものを含む。)が発生した市町村(特別区を含み、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市にあっては、当該市又は当該市の区とする。以下この条において同じ。)の区域に係る当該自然災害
二 自然災害により十以上の世帯の住宅が全壊する被害が発生した市町村の区域に係る当該自然災害
三 自然災害により百以上の世帯の住宅が全壊する被害が発生した都道府県の区域に係る当該自然災害
四 自然災害により五以上の世帯の住宅が全壊する被害が発生した市町村(人口十万未満のものに限る。)の区域であって、前三号に規定する区域に隣接するものに係る当該自然災害
(政令で定める世帯)
第二条 法第二条第二号 の政令で定める世帯は、次に掲げるものとする。
一 その居住する住宅が半壊し、当該住宅の倒壊による危険を防止するため必要があること、当該住宅に居住するために必要な補修費等が著しく高額となることその他これらに準ずるやむを得ない事由により、当該住宅を解体し、又は解体されるに至った世帯
二 火砕流等による被害が発生する危険な状況が継続することその他の事由により、その居住する住宅が居住不能のものとなり、かつ、その状態が長期にわたり継続することが見込まれる世帯
三 その居住する住宅が半壊し、構造耐力上主要な部分(建築基準法施行令 (昭和二十五年政令第三百三十八号)第一条第三号 に規定する構造耐力上主要な部分をいう。)の補修を含む大規模な補修を行わなければ当該住宅に居住することが困難であると認められる世帯(前二号に掲げる世帯を除く。以下「大規模半壊世帯」という。)
(政令で定める経費)
第三条 大規模半壊世帯以外の被災世帯(以下「全壊世帯」という。)の世帯主に対する支援金に係る法第三条 の政令で定める経費は、自立した生活を開始するために必要な経費であって次に掲げるものとする。
一 被災世帯の生活に通常必要な物品で内閣府令で定めるものの購入費又は修理費
二 被災世帯の居住する地域又は被災世帯に属する者の特別な事情により当該被災世帯の生活に必要な物品で内閣府令で定めるものの購入費又は修理費
三 第一条各号に掲げる自然災害により負傷し、又は疾病にかかった者の当該負傷又は疾病の治療のための医療に要する費用で当該自然災害が発生した日から起算して内閣府令で定める期間を経過する日までの間に支払われるもの
四 住居の移転に通常必要な移転費(次号に掲げるものを除く。)
五 被災世帯に属する者の住居の移転のための交通費
六 住宅を賃借する場合における当該住宅の借家権の設定の対価
七 住宅(公営住宅法 (昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第二号 に規定する公営住宅を除く。次項第一号において同じ。)を賃借する場合における当該住宅の家賃
八 住宅の再建設(全壊世帯が従前居住していた住宅(以下この号において「従前住宅」という。)の存していた土地(土砂災害の発生のおそれその他のやむを得ない事由により当該土地に住宅を建設することができない場合にあっては、当該土地以外の土地)の全部又は一部に新たに住宅を建設することをいう。)のため必要な従前住宅の解体、従前住宅から発生した廃棄物の撤去及び整地に要する費用
九 住宅の建設又は購入のための借入金その他の債務に係る利息及び債務保証料
十 住宅の建設が完了し、又は住宅の購入をするまでの間一時的な居住の用に供する仮設住宅その他の物件又は施設の利用料
十一 第六号から前号までに掲げるもののほか、住宅の賃借、建設又は購入に必要な経費であって内閣府令で定めるもの
2 大規模半壊世帯の世帯主に対する支援金に係る法第三条 の政令で定める経費は、自立した生活を開始するために必要な経費であって次に掲げるものとする。
一 住宅を賃借する場合における当該住宅の家賃
二 住宅の補修のため必要な当該住宅の一部の除却、当該住宅から発生した廃棄物の撤去及び整地に要する費用
三 住宅の補修、建設又は購入のための借入金その他の債務に係る利息及び債務保証料
四 住宅の補修若しくは建設が完了し、又は住宅の購入をするまでの間一時的な居住の用に供する仮設住宅その他の物件又は施設の利用料
五 前各号に掲げるもののほか、住宅の賃借、補修、建設又は購入に必要な経費であって内閣府令で定めるもの
(以下略) |
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