ニュース六法(倉庫)
2009年11月までの保管庫
ニュースから見る法律
三木秀夫法律事務所
このページは最近話題になったニュースを題材にして、そこに関係する各種法令もしくは
判例などを解説したものです。事実関係は,報道された範囲を前提にしており、関係者の
いずれをも擁護したり非難する目的で記述したものではありません。もし、訂正その他の
ご意見感想をお持ちの方は、メールにてご一報くだされば幸いです。
なお、内容についての法的責任は負いかねます。引用は自由にして頂いても構いません
が必ず。当サイトの表示をお願いいたします。引用表示なき無断転載はお断りいたします。

【お知らせ】
2009年12月から、このページは休止とさせていただきました。
同名での記事を、当事務所メールマガジンにて毎月発刊しています。
ご関心のある方は、そちらをご覧ください。

ニュース六法目次
NHK会長出演の不祥事釈明特番(2004年12月19日)  放送法/受信料
○NHKの一連の不祥事に関して海老沢勝二会長が出演して釈明した生放送特別番組「NHKに言いたい」(19日午後9時〜11時15分)終了後、海老沢会長は、記者団に「進退は自分自身で判断する。任期途中で辞めることもある」と語った。番組には視聴者から2万7000件を超える厳しい声が寄せられた。(毎日新聞12月20日)

○麻生太郎総務相は21日の閣議後の記者会見で、NHKの一連の不祥事について「よくないことはよくないとはっきりしている。チェック機能や体制、システムに欠陥があれば、きちんと直すべきだ」との考えを示した。その上で、NHKの海老沢勝二会長の進退問題については「会長の進退を決めるのは、(NHKの最高意思決定機関である)経営委員会、もしくは本人。総務省がこの段階でとやかく言う立場にはない」と述べるにとどめた。 (共同通信 12月21日)

@@@@@@@@@@

○番組制作費や受信料の着服などのNHKの一連の不祥事は、ついに刑事事件に発展した。NHKの元チーフプロデューサーらが番組制作費をだまし取った容疑で逮捕された。この問題以外でも、カラ出張による不正支出、架空の飲食費請求での着服、制作プロダクションへの支払いでの水増し請求、集めた受信料の着服などが表面化しており、目に余る。こういった相次ぐ不祥事で、視聴者のNHK不信は高まる一方である。NHKが信頼を取り戻すためには、徹底的なウミ出しが必要であろう。そのためには、不祥事を生む土壌の一掃に加え、「エビジョンイル」とか、「エビ将軍様」とまで揶揄されている海老沢会長ら経営幹部の責任の明確化も欠かせないと思う。

@@@@@@@@@@

受信料問題について(法的根拠)
○その影響で受信料の不払いは、この11月末時点で11万3000件に至っているそうである。2カ月間で3倍増の勢いとのこと。視聴者がNHKに注ぐ目の厳しさがうかがえるが、はたしてこの受信料の支払いはどのような法的根拠にもとづいているのか。

○ NHKの受信料とは、放送法32条1項にもとづき、日本放送協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者が「締結しなければならない受信契約」に基づき、NHKに支払う料金のことをいう。

放送法
(受信契約及び受信料)
第三十二条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
2  協会は、あらかじめ総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。
3  協会は、第一項の契約の条項については、あらかじめ総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。

@@@@@@@@@@

○この根拠に関するNHKのホームページによる説明は下記のとおり

「放送法第32条第1項には「NHKの放送を受信できる受信機を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない」と定められています。したがって、テレビをお備えであればNHKを見る見ないにかかわらず、受信料をお支払いいただくことになります。」

この制度の背景に関しても同ホームページでは次のように説明がなされている。
「NHKが公平・公正な立場で放送の自主性を保ちながら、その基本的使命を果たすためには、政府や企業などの特定のスポンサーに頼ることのない『財政の自立』が必要です。このため放送法では、NHKがコマーシャルを行うことを禁止し、受信料で運営することを決めました。テレビをお持ちのすべての方に公平に負担していただく受信料によって、財政面での自主性が保障され、放送の自主性を保ちながら基本的使命を果たすことが可能になります。この受信料制度があるからこそ、NHKは視聴率や特定の勢力の影響にとらわれることなく、視聴者の要望にこたえることを唯一の指針とした番組作りができるのです。」

○この趣旨を簡潔に言うならば、NHKはその公共性ゆえに、広告放送が禁止されており、その代わりに、テレビを持っている全ての人が公平に負担する受信料制度が放送法によって認められているということである。

○この受信契約の内容については、放送法32条3項にもとづき総務大臣の認可を受けており、その内容は下記のホームページで確認することができる。また、同法32条2項にもとづく総務大臣の認可を受けた基準によって、学校や生活困窮者、災害被災者などは受信料が免除されている。

NHK放送受信規約http://www.nhk.or.jp/eigyo/kiyaku/kiyaku_02.html
NHK放送受信料免除規約http://www.nhk.or.jp/eigyo/kiyaku/menjyo_01.html
受信料額http://www.nhk.or.jp/eigyo/jyushinryo/index.html
NHKhttp://www.nhk.or.jp/

@@@@@@@@@@

○ 受信料をめぐる法規としては、放送法32条、37条4項があり、さらに、これに付随して同法施行規則(4条から8条)、日本放送協会放送受信規約、日本放送協会放送受信料免除基準がある。

○これらから、受信料の制度概要は次のとおり。
(1)NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。(ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送や多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については除外)(放送法32条1項)
(2)その契約の条項は、総務大臣の認可を受けた放送受信規約に示されており、したがってその契約は「附合契約」に属する。(放送法32条3項)
(3)放送受信規約の内容は、受信料支払い債務に関することが中心であるが、実際の受信料の金額は国会がNHKの収支予算を承認することを通じて定められる。(放送法37条4項、同法施行規則8条)
(4)受信料は実際にNHKを見ているかどうかやその時間の長短に関係なく一律になっている。
(5)受信料の免除は可能であるが、それはあらかじめ総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければならない。(放送法32条2項)

○ この放送法32条等の内容のポイントは次のとおり。
(1)放送法32条1項の規定からするならば、実際にNHKを観ているかどうかにかかわらず、受信設備(テレビ)を設置した場合には、「NHKとその放送の受信についての契約をしなければならない」となっている。
(2)ただし、受信契約を締結しなければならないとはいうものの、罰則規定はなく、不払い者に対しては処罰の対象とはならない。
(3)また、この条文は、「受信料を支払わなければならない」とは書かれていない。 受信設備を設置した者にNHKと受信契約を締結することを義務づけているが、受信料を支払うこと自体は義務づけていない。したがって、NHKの担当者が「支払わなければいけないと法律で決まっている」などと説明をしたならば、やや強引過ぎる説明となる。「受信契約を締結しなければならない」ということと、「受信料を支払わなければならない」とは同じではないからである。この点は、議論の余地の多いところである。
(4)放送法32条但書について
契約締結義務の例外として、「ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。」とある。この部分の解釈にも若干の疑義がある。「NHKの受信を目的とした設備」でなければ契約を締結しなくてよく、「我が家のテレビは民放受信を目的として設置している」と言い切れば例外となるとも解釈しうる余地がないではない。この点については、NHKは受信規約1条2項で、「NHKが受信できればそれだけで受信設備に該当する」と規定している。この受信規約自体はNHKが総務大臣の認可のもとでつくったもので、必ずしも裁判所の判断を拘束するものではない。
(5)NHKとの受信契約が成立した場合は、受信料を支払うことは契約上の義務となる。その場合の不払いは、民法により、受信契約義務の不履行となって、請求および遅延損害金の請求ができることになる。
(6)公刊された判例集の中では、このNHK受信料をめぐる裁判例は見当たらない。おそらく不払い者への訴訟はなされていないものと思われる。仮に契約者に対して未払い分を請求すれば認容されるのであろうが、未契約者に対しての請求となれば、契約の成立の有無が問題となろう。

@@@@@@@@@@

○ 受信料契約を強制する根拠についてどう考えるべきなのか
(1)この「NHKとその放送の受信についての契約をしなければならない」という条文はやや解釈しにくい条文である。契約という以上、その締結に関しては、本来は民法の原則(契約自由の原則)に従うこととなる。民法では、契約は両者間の合意があって成立する。したがって、NHKが契約の締結の「申込」をして、テレビの設置者が契約の申し込みを「承諾」して初めて契約成立となる。放送法32条1項はこの「承諾」を義務化してはいるが、罰則はなく、テレビ設置者が承諾を拒否した場合は、受信契約が不成立になり、受信料支払い義務が発生しないとも解する余地はある。
(2)しかしながら、この放送法は、NHKの公共性に鑑みて、この民法の「契約の自由の原則」を変えて、その特別法として位置づけたとの解釈が、立法者としての解釈と思われる。(ちなみに裁判所による解釈はない)。
(3)ただ、意思に反して契約を強制するということは、日本国憲法19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」に違反するのではないかが問われることとなる。
(4)このような契約強制の制度がほかにあるかどうかであるが、契約内容を事業者が定めてその内容での契約を強制する例は、公益事業法制に見ることができる。たとえば水道法、電気事業法やガス事業法などがそうである。さらに突っ込んで、私人にサービスを強制する法制度も、下水道法に見られる。この例からして、契約内容を一方的に定めて附合的にその内容での契約を強制されることは、少なくともそれ自体が違憲とは言えない。
(5)ただ、これらは、曲がりなりにも、そのサービスを利用しなければ日常生活ができないインフラである。これに対して、NHKの放送そのものは、それ無しでも生活は可能である。その意味で、水道などと同列に論じることは可能とも言えないし、ましてやテレビを設置しただけで、実際に見る見ないにかかわらず契約を強制することについては、かなりの合理性が必要となろう。
(6)ここでこれを肯定する側から述べられるのは次の点のようである。
@テレビがあるのに実際にNHKの番組を見る見ないで支払い義務の有無を分けるのは徴収現場で大変な混乱を招くこととなる。
A実際はNHKの番組を見ているのにこれを否定されるなどした場合に、これを強制的に調査する権限をNHKに与えるのは妥当でなく、悪意の不払い者を大量に生じさせることとなる。
Bその結果として、公共放送として重要な役割を与えられているNHKの財政基盤を阻害して、ひいては国民の不利益に帰結することになりかねない。
(7)この理由に、果たして合理性があるかどうかが、契約強制の放送法32条が違憲になるかどうかの判断基準といえるのではないか。

@@@@@@@@@@

○受信料の「法的性格」に関する2つの学説
受信料の「法的性格」に関しては、大きく分けて「対価説」と「費用分担説」に分かれるようである。NHKの運営経費をみんなが分担するという後者の考え方がNHKや放送行政のとる立場と言われている。しかし、前者の「対価悦」のほうが、消費者たる国民にとっては分かりやすい。水道やガス、電気がまさに利用料に応じて請求を受けるわけであって、放送番組の視聴というサービスも基本的に国民の立場からすれば違いを理解しにくい。根本的に、かかる点が混乱の原因となっている気がする。

@@@@@@@@@@

○ 受信契約成立の時点はどこなのか
(1)放送法32条1項によれば、受信装置(テレビ)の設置を「契約締結義務の発生要件」としており、契約締結はそれ以降となる。そうすると、実際に受信料の支払いをしなければならなくなる始期は、実際にNHKと受信契約を締結した時点からとなろう。ところが、そのように解釈してしまうと、ある人はテレビを設置した日から受信料を支払い、ある人は設置日から半年経過後にようやく契約を締結して支払いを開始したりするなど、不合理な結果にもなる。後者の人は、その6ヶ月間は、単に「契約締結義務の違反状態」でしかなく、それ自体に何らかの損害賠償義務を見出すのは難しい。
(2)この点について、NHKの放送受信規約では、第4条で、「放送受信契約は,受信機の設置の日に成立するものとする。」としている。しかし、この規約は、総務大臣の認可を受けているとはいえ、あくまでもNHKが定めたものに過ぎず、これ自体をもって法律を解釈する根拠とはならない。放送法32条の規定から、受信契約はテレビの設置という事実自体で生じており、実際の契約は「契約関係の確定のための手続きに過ぎない」と解釈すればいいのだろうが、法解釈としては、どうも落ちつかないものに思える。

@@@@@@@@@@

○受信料の不払いについて
放送法の規定からした場合、支払拒否者の法的根拠は、つぎのような事が考えられる。

(1)NHKとの間で受信契約をまだしていない者の場合は、
@そもそも放送法32条は違憲。
Aそもそも契約義務があろうが実際には契約をしていない。

(2)NHKとの間で受信契約をすでにした者の場合は、
B契約はしたがNHKは見ないので解除したい。
C契約はしたが、その後にテレビを廃棄した。
D契約はしたがNHKの番組が気に入らないなどの各種理由からNHK側の債務不履行として支払い義務はない。

○NHKが、将来的に、受信料不払い者が増加して経営に影響が出てきた場合は、未払い者に対して簡裁の督促手続きなどを活用して訴訟による回収を図ることもないではなかろう。その場合、契約者に対して起こす場合は、単純に「契約の履行としての料金支払請求」というシンプルな請求となる。しかし、契約未締結の者に対しては、憲法違反の問題などを持ち出して争うものが続出する可能性が強く、NHKとしては避けるのではないか。

○当サイトでは、あえてこの問題を客観的に考えることに努め、受信料支払いや逆の不払いを正当化しようという立場は取っていない。私自身は、今のNHKには多大な不満があり、文句の多くもぶつけたいところであるが、受信料の支払いは、いまのところするつもりである。この問題は、日本における公共放送のあるべき姿という高次の観点から考えていくべきであり、その観点から、NHKの存在を今直ちに無くすべきでもないし、その経費を国家予算でまかなうような「国営」にすべきでもないと思うからである。

一方で、受信料の不払い者が一定の信念を持ってNHKのあり方を問う観点で堂々と不払い行動を起こすのも、一種の消費者からの逆襲としてあっていいと考える。

ただ、いただけないのは、「不払い運動に乗じて不払いするケース」ではないかと思う。
理念なき支払い拒否がいたずらに正当化されることは、受信料を払うこと自体が「正直者がばかを見る」となる。NHK自体のあり方に関する議論はもっと行われるべきであるが、NHKをなくす議論はまだない。存在意義自体は否定できないと考えることからして、支払い者の負担増は逆の意味で問題が多いと考える。(ただ、負担増の問題で言えば、NHKの金の使い方自体に多くの疑問点があり、もっと負担を抑える工夫はなされるべきと考えるが。)

@@@@@@@@@@

○NHK経営委員会とは 
放送法13条で定められたNHKの最高意思決定機関である。NHKの経営方針その他その業務の運営に関する重要事項を決定する権限と責任を持つ。企業経営者や大学教授など、外部の有識者12人の委員で構成する。委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならず、地域配分にも規定がある。経営委員会では、NHK会長の人事(任命・罷免)権があるほか、予算や事業計画などを審議・議決する権限がある。任期は1期3年。委員長は互選で決め、毎月2回定例の委員会を開催する。

○海老沢会長の経営者としての資質を問う声が大きい。しかし、会長には具体的経営改善策を示さないまま、その地位に恋々としているように映る。従って、NHKには会長の責任を問える経営委員会の存在が重要となる。経営委員会は、協会の経営方針その他その業務の運営に関する重要事項を決定する権限と責任を有し、会長を任命し、また罷免する権限も持っている。ただ、これまではその存在する目立たない「お飾り」的な存在であった。今回の不祥事の背景には、そういった機能不全もあるように思われる。

@@@@@@@@@@

○放送法

(目的)
第七条  協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送を行い又は当該放送番組を委託して放送させるとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び委託協会国際放送業務を行うことを目的とする。

(法人格)
第八条  協会は、前条の目的を達成するためにこの法律の規定に基き設立される法人とする。

(経営委員会の設置及び権限)
第十三条  協会に経営委員会を置く。
2  経営委員会は、協会の経営方針その他その業務の運営に関する重要事項を決定する権限と責任を有する。
 
第十四条  次の事項は、経営委員会の議決を経なければならない。ただし、経営委員会が軽微と認めた事項については、この限りでない。
一  収支予算、事業計画及び資金計画
二  収支決算
三  放送局の設置計画並びに放送局の開設、休止及び廃止
四  委託国内放送業務及び委託協会国際放送業務の開始、休止及び廃
五  第三条の三第一項に規定する番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画
六  定款の変更
七  第三十二条の受信契約の条項及び受信料の免除の基準
八  放送債券の発行及び借入金の借入
九  土地の信託
十  第九条の三第一項に規定する基準
十一  事業の管理及び業務の執行に関する規程
十二  役員の報酬、退職金及び交際費(いかなる名目によるかを問わずこれに類するものを含む。)
十三  その他経営委員会が特に必要と認めた事項

(経営委員会の組織)
第十五条  経営委員会は、委員十二人をもつて組織する。
2  経営委員会に委員長一人を置き、委員の互選によつてこれを定める。
3  委員長は、委員会の会務を総理する。
4  経営委員会は、あらかじめ、委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長の職務を代行する者を定めて置かなければならない。

(委員の任命)
第十六条  委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。この場合において、その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。
2  前項の任命に当つては、委員のうち八人については、別表に定める地区に住所を有する者のうちから各一人を、その他の委員については、これらの地区を通じて四人を任命しなければならない。
3  委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のため、両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、第一項の規定にかかわらず、両議院の同意を得ないで委員を任命することができる。この場合においては、任命後最初の国会において、両議院の同意を得なければならない。
4  (以下略)

(役員)
第二十四条  協会に、役員として、経営委員会の委員の外、会長一人、副会長一人、理事七人以上十人以内及び監事三人以内を置く。
(理事会)
第二十五条  会長、副会長及び理事をもつて理事会を構成する。
2  理事会は、定款の定めるところにより、協会の重要業務の執行について審議する。

(会長等)
第二十六条  会長は、協会を代表し、経営委員会の定めるところに従い、その業務を総理する。
2  副会長は、会長の定めるところにより、協会を代表し、会長を補佐して協会の業務を掌理し、会長に事故があるときはその職務を代行し、会長が欠員のときはその職務を行う。
3  理事は、会長の定めるところにより、協会を代表し、会長及び副会長を補佐して協会の業務を掌理し、会長及び副会長に事故があるときはその職務を代行し、会長及び副会長が欠員のときはその職務を行う。
4  監事は、会長、副会長及び理事の行う業務を監査する。
5 (以下略)

第二十七条  会長は、経営委員会が任命する。
2  前項の任命に当つては、経営委員会は、委員九人以上の多数による議決によらなければならない。
3  副会長及び理事は、経営委員会の同意を得て、会長が任命する。
4  監事は、経営委員会が任命する。
5  (以下略)

第二十九条  経営委員会は、会長若しくは監事が職務の執行の任にたえないと認めるとき、又は会長若しくは監事に職務上の義務違反その他会長若しくは監事たるに適しない非行があると認めるときは、これを罷免することができる。
2  会長は、副会長若しくは理事が職務執行の任にたえないと認めるとき、又は副会長若しくは理事に職務上の義務違反その他副会長若しくは理事たるに適しない非行があると認めるときは、経営委員会の同意を得て、これを罷免することができる。

(受信契約及び受信料)
第三十二条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
2  協会は、あらかじめ総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。
3  協会は、第一項の契約の条項については、あらかじめ総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
                                            弁護士 三木秀夫

ニュース六法目次