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三木秀夫法律事務所
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ニュース六法目次
紀宮清子さまと黒田慶樹さん結婚式(2005年11月15日)皇籍離脱と皇統譜
天皇家の長女紀宮さま(36)と東京都職員黒田慶樹さん(40)の結婚式と披露が2005年11月15日、東京都千代田区内幸町の帝国ホテルで行われた。2人の婚姻届は、宮内庁職員が都内の区役所に提出手続きを取った。この時点で紀宮さまは皇族の身分を離れた。(各新聞より2005年11月15日)

○黒田清子さんの皇籍離脱を登録
東京都職員、黒田慶樹さん(40)との結婚で皇族の身分を離れた天皇家の長女、清子さん(36)を皇族の戸籍にあたる「皇統譜」から除籍する手続きが16日、宮内庁で行われた。皇統譜の「清子内親王」の欄に、慶樹さんとの婚姻により皇族の身分を離れる、という趣旨の記述が登録され、宮内庁の羽毛田信吾長官らが毛筆で署名した。皇室典範は、「天皇及び皇族の身分に関する事項はこれを皇統譜に登録する」と定めている。 (日経新聞2005年11月16日) 

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○天皇家の長女紀宮さまと東京都職員黒田慶樹さんの結婚式が無事に滞りなくお開きとなり、紀宮さまは皇族の身分を離れた。天皇家の女性が結婚で皇籍を離れるのは、昭和天皇の五女島津貴子さん以来45年ぶりとのことである。今後は、一人の民間人として、また公務員の妻として、幸せな人生を送られることを祈りたい。

○皇室典範は「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」(第12条)と定めているため、民間人の黒田さんに嫁いだ紀宮さまは皇籍を離れなければならず、新しく戸籍が作られることになる。     

天皇や皇族には戸籍法が適用されず、名前や生年月日などは皇室の戸籍簿に相当する「皇統譜」に登録される。「紀宮」は称号で、名字は持っていなかったが、黒田慶樹さんを筆頭者とする戸籍が新しく作成され、そこに「黒田清子」として記載される。それに合わせて、皇統譜の「清子内親王」の欄に、「黒田慶樹と婚姻したるに因り皇族の身分を離る」という趣旨の記述が登録されることとなる。お二人は、宮内庁の職員を通して婚姻届を提出したが、正式に受理された時点で民間人となった。その上で皇統譜の手続きが終わったことによって、正式に皇族の身分を離れたことになる。

○皇統譜でのいわば除籍手続きが終わった途端に、テレビなどの報道では、それまでの「清子さま」から「清子さん」に変化したが、それによって「本当に民間人となったのだ」と実感したのは、私だけではないと思う。ただ、韓流スターのあの「ヨン」さまは、相変わらず「さま」づけだけど。

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○皇室典範は、皇族の子孫はすべて皇族とする「永世皇族制」を採用しているが、女性皇族は一般男性と結婚した場合、皇籍離脱することを定めている。今回の清子さまの皇籍離脱はこれによっている。

ところで、首相の諮問機関である「皇室典範に関する有識者会議」は、皇族の範囲について、女性皇族のうち、天皇の姉妹や娘、孫にあたる「内親王」に限って皇籍離脱を認めず、結婚後に宮家を創設できるようにする方向も検討しているという。もし、これが採用され、皇室典範が改正された場合は、最後の「天皇の娘の皇籍離脱」となるかもしれない。

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○皇統譜(こうとうふ)とは
皇統譜とは、いわば皇室の戸籍である。皇室典範第26条で、「天皇及び皇族の身分に関する事項は、これを皇統譜に登録する。」とされている。天皇・皇族は、戸籍法の適用を受けないため、戸籍が無く、名前や出生日時、場所などは皇統譜に登録される。皇統譜は、皇位継承順位を定める重要な書類である。皇統譜については、「皇統譜令」という政令で規定されている。

原本と副本があり、原本は宮内庁法で宮内庁が、副本は皇統譜令によって法務省が保管することが定められている。「皇統譜」正本は、宮内庁書陵部の金庫奥深くに保存されているそうである。

○皇統譜令には「皇統譜」としか規定されていないが、皇統譜には「大統譜」と「皇族譜」の2種類がある。「大統譜」には天皇・皇后・皇太后の身分に関する事項が、「皇族譜」にはその他の皇族の身分に関する事項が記載されている。これらは、大正15年皇室令で皇統譜の詳細について定められていたところ、日本国憲法の施行と同時に(昭和22年)、現在の皇統譜令が新たに定められた際に、その第1条で、「当分の間、なお従前の例による」として、これを継承することとなった。そして、新しく制定された皇統譜令によって皇統譜をつくり直さなければならないことを避けるために、附則の第2項で、「従前の皇統譜令による皇統譜は、新皇統譜令による皇統譜とみなす」ということで、新しくつくり直すという手順を省略した。今の「大統譜」は、両陛下即位直後の1989(平成1)年8月に新しく作成された。

○皇族譜は、天皇直系の皇族ごとに一冊にまとめられている。現天皇の直系は、「第125代皇族譜」となる。最初に皇太子徳仁親王、秋篠宮文仁親王、清子内親王、秋篠宮紀子妃殿下、秋篠宮眞子女王、皇太子妃雅子妃殿下、秋篠宮佳子女王、そして愛子内親王の順に登録されている。今回、その「清子内親王」の欄に皇籍離脱の記述がなされた。

○ちなみに、皇統譜(大統譜)には、神武天皇から現在までの天皇が記載されている。しかし、今の歴史学上は、神武天皇以降9代までは、実在しなかったと言われているようであるが、実在した天皇と同格に扱い、歴代順序を数えている。また、『日本書紀』で即位していない大友皇子を、明治天皇が追贈した弘文天皇として入れられているとの事である。逆に、後醍醐天皇から譲位された光厳天皇は歴代に入れられず、別系統の北朝第1代とされるなど、皇統譜の歴代順の数字は、史実に必ずしも基づいていない部分があるとの指摘がある。

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○今回の「皇統譜」からの除籍手続きは、具体的には、皇族譜の「清子内親王」の欄に、新たに「皇族ノ身分ヲ離ル」「黒田慶樹ト婚姻シタルニ因(ヨ)ル」などと記載などと記入され、羽毛田信吾宮内庁長官と書稜部長が署名した。テレビ画面では、長官が全文を書いているようにも見えたが、実際は宮内庁から委嘱された書家が本文を書き、署名のみしたものと思われる。

○ちなみに、皇太子様の長女愛子さまが生まれた際は、皇族譜にその欄が設けられ、以下の内容が登録された。今後、成人や結婚などの事象が生じた際に、その都度追記されることとなるが、果たしていかなる記載がなされていくのであろうか。
「内親王愛子 父皇太子徳仁親王 母皇太子徳仁親王妃雅子 平成十三年十二月一日午後二時四十三分東京都千代田区千代田一番二号宮内庁病院ニ於テ誕生ス」「平成十三年十二月七日命名ス」

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○皇室典範(昭和二十二年一月十六日法律第三号)
第二十六条
天皇及び皇族の身分に関する事項は、これを皇統譜に登録する。


○宮内庁法(昭和二十二年四月十八日法律第七十号)
第二条 宮内庁の所掌事務は、次のとおりとする。
一 皇室制度の調査に関すること。
二 行幸啓に関すること。
三 賜与及び受納に関すること。
四 皇室会議及び皇室経済会議に関すること。
五 御璽国璽を保管すること。
(中略)
十一 皇統譜の調製、登録及び保管に関すること。
(以下略)

○皇統譜令(昭和二十二年五月三日政令第一号)
第一条 この政令に定めるものの外、皇統譜に関しては、当分の間、なお従前の例による。
第二条 皇統譜の副本は、法務省でこれを保管する。
第三条 左の各号に掲げる事項については、宮内庁長官が、法務大臣と協議して、これを行う。
一 公布又は公告がない事項の登録
二 皇統譜の登録又は附記に錯誤を発見した場合の訂正
第四条 皇室典範第三条の規定によつて、皇位継承の順序を変えたときは、その年月日を皇嗣であつた親王又は王の欄に登録し、事由を附記しなければならない。
第五条 皇室典範第十一条から第十四条までの規定によつて、親王、内親王、王又は女王が、皇族の身分を離れたときは、その年月日を当該親王、内親王、王又は女王の欄に登録し、事由及び氏名を附記しなければならない。
第六条 皇統譜は、内閣総理大臣の承認を得た場合の外、これを尚蔵の部局外に持ち出してはならない。
附則
1 この政令は、公布の日から、これを施行する。
2 従前の規定による皇統譜は、この政令によつて調製したものとみなす。
3 従前の皇統譜に関し、宮内大臣が行つた職権は、この政令の規定による皇統譜については、宮内庁長官が、これを行うものとする。

○宮内庁組織令(昭和二十七年八月三十日政令第三百七十七号)
(書陵部の事務)
第八条 書陵部においては、次の事務をつかさどる。
一 皇統譜の調製、登録及び保管に関すること。
(以下略)

(図書課)
第二十条 図書課においては、左の事務をつかさどる。
一 皇統譜の調製、登録及び保管に関すること。
(以下略)

○法務省組織令(平成十二年六月七日政令第二百四十八号)
(大臣官房の所掌事務)
第三条 大臣官房は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 機密に関すること。
二 大臣の官印及び省印の保管に関すること。
(中略)
十五 皇統譜副本の保管に関すること。
(以下略)

(秘書課の所掌事務)
第十四条 秘書課は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 機密に関すること。
二 大臣、副大臣、大臣政務官及び事務次官の官印並びに省印の保管に関すること。
(中略)
十二 皇統譜副本の保管に関すること。
(以下略)

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【旧皇統譜令/大正15年10月21日公布】
現皇統譜令第1条により、皇統譜に関してはなお従前の例によるものとされたが、この旧皇統譜令がそれに相当するものとして扱われている。
○皇統譜令(大正15年皇室令第6号)
第一章 総則
第一条 皇統譜ハ大統譜及皇族譜トス
第二条 皇統譜ハ副本ヲ備フヘシ
2 副本ハ内大臣府ニ於テ保管ス
第三条 皇統譜及副本ニハ簿冊毎ニ表紙ノ裏面ニ御璽ヲツシ宮内大臣枚数及調製ノ年月日ヲ記入シ図書頭ト倶ニ之ニ署名スヘシ
2 皇統譜及副本ニハ宮内大臣及図書頭其ノ綴糸ニ封印スヘシ
第四条 皇統譜ノ登録ハ移記ノ場合及判決ニ基ク場合ヲ除クノ外公布又ハ公告ニ依リ之ヲ行ヒ公布公告ナキ事項ニ付テハ勅裁ヲ経テ之ヲ行フ
第五条 皇統譜ノ登録又ハ附記ニ錯誤アルコトヲ発見シタルトキハ勅裁ヲ経テ之ヲ訂正スヘシ
2 前項ノ場合ニ於テハ皇族会議及枢密顧問ノ諮詢ヲ経ヘシ
第六条 判決ニ因リ皇統譜ノ登録事項ニ変更ヲ生シタルトキハ其ノ判決ニ基キテ之ヲ訂正スヘシ
第七条 前二条ノ場合ニ於テハ抹消又ハ変更ノ登録ヲ為シ且事由ヲ附記スヘシ
第八条 皇統譜副本ノ登録及附記ハ正本ニ基キテ之ヲ行フ
第九条 皇統譜及副本ニ登録又ハ附記ヲ為シタルトキハ其ノ年月日ヲ記入シ宮内大臣及図書頭之ニ署名スヘシ
第十条 皇統譜ノ登録及附記ニ関スル記録ハ図書寮ニ於テ尚蔵ス
第二章 大統譜
第十一条 大統譜ハ天皇ニ由リ門ヲ分チテ其ノ代数ヲ掲ケ各門ニ天皇ノ欄及皇后ノ欄ヲ設ク
第十二条 天皇ノ欄ニハ左ノ事項ヲ登録スヘシ
一 御名
二 父
三 母
四 誕生ノ年月日時及場所
五 命名ノ年月日
六 践祚ノ年月日
七 元号及改元ノ年月日
八 即位礼ノ年月日
九 大嘗祭ノ年月日
十 成年式ノ年月日
十一 大婚ノ年月日及皇后ノ名
十二 崩御ノ年月日時及場所
十三 追号及追号勅定ノ年月日
十四 大喪儀ノ年月日陵所及陵名
第十三条 皇后ノ欄ニハ左ノ事項ヲ登録スヘシ
一 名
二 父
三 母
四 誕生ノ年月日時及場所
五 命名ノ年月日
六 大婚ノ年月日
七 崩御ノ年月日時及場所
八 追号及追号勅定ノ年月日
九 大喪儀ノ年月日陵所及陵名
第十四条 摂政ヲ置キタルトキ又ハ摂政ノ更迭アリタルトキハ其ノ年月日及摂政ノ名ヲ天皇ノ欄ニ登録スヘシ
2 摂政止ミタルトキハ其ノ年月日ヲ登録スヘシ
第十五条 皇后崩御シタルトキハ其ノ年月日及皇后ノ名ヲ天皇ノ欄ニ登録スヘシ
第十六条 親王王大統ヲ承ケタルニ因リ其ノ妃皇后トナリタルトキハ其ノ年月日ヲ皇后ノ欄ニ登録スヘシ
第十七条 皇后皇太后トナリタルトキハ其ノ年月日ヲ該皇后ノ欄ニ登録スヘシ皇太后太皇太后トナリタルトキ亦同シ
第十八条 皇后摂政ニ任シ又ハ摂政ヲ罷メタルトキハ其ノ年月日ヲ該皇后ノ欄ニ登録スヘシ皇太后太皇太后摂政ニ任シ又ハ摂政ヲ罷メタルトキ亦同シ
第十九条 皇后皇太后トナリタル後ニ生シタル事項ハ仍該皇后ノ欄ニ登録スヘシ
第二十条 親王王大統ヲ承ケタルトキハ該親王王ノ欄ニ記載シタル事項ヲ皇族譜ヨリ大統譜ニ移記スヘシ妃アルトキハ其ノ妃ノ欄ニ記載シタル事項亦同シ
第二十一条 内親王女王皇后トナリタルトキハ該内親王女王ノ欄ニ記載シタル事項ヲ皇族譜ヨリ大統譜ニ移記スヘシ
第三章 皇族譜
第二十二条 皇族譜ハ所出天皇ニ由リ簿冊ヲ区分シ各親王内親王王女王ニ付一欄ヲ設ケ妃ニ付テハ夫ノ所出天皇ニ属スル簿冊ニ各一欄ヲ設ク
第二十三条 親王親王妃内親王王王妃女王ノ欄ニハ左ノ事項ヲ登録スヘシ
一 名
二 父
三 母
四 誕生ノ年月日時及場所
五 命名ノ年月日
六 成年式ノ年月日
七 婚嫁ノ年月日及配偶者ノ名
八 薨去ノ年月日時及場所
九 喪儀ノ年月日及墓所
第二十四条 立太子又ハ立太孫ノ礼ヲ行ヒタルトキハ其ノ年月日ヲ該親王ノ欄ニ登録スヘシ
第二十五条 親王王大統ヲ承ケタルトキハ其ノ直系卑属ノ欄ニ記載シタル事項ヲ其ノ所出天皇ニ属スル簿冊ニ移記スヘシ該直系卑属ノ妃ノ欄ニ記載シタル事項亦同シ
2 前項ノ場合ニ於テ直系卑属タル王女王アルトキ又ハ直系卑属タル王ニ妃アルトキハ其ノ親王内親王又ハ親王妃トナリタル年月日ヲ登録シ且事由ヲ附記スヘシ
第二十六条 親王王大統ヲ承ケタル場合ニ於テ其ノ直系卑属タル女王ニシテ親王妃王妃タル者アルトキハ該妃ノ欄ニ其ノ内親王トナリタル年月日ヲ登録シ且事由ヲ附記スヘシ
第二十七条 天皇支系ヨリ入テ大統ヲ承ケタル場合ニ於テ其ノ兄弟姉妹タル王女王ニ親王内親王ノ号ヲ宣賜シタルトキハ欄名ヲ親王内親王ト改メ宣賜ノ年月日ヲ登録スヘシ
2 女王ニシテ親王妃王妃タル者ニ内親王ノ号ヲ宣賜シタルトキハ該妃ノ欄ニ宣賜ノ年月日ヲ登録スヘシ
3 第一項ノ場合ニ於テ王ニ妃アルトキハ欄名ヲ親王妃ト改メ其ノ親王妃トナリタル年月日ヲ登録シ且事由ヲ附記スヘシ
第二十八条 皇室典範第九条ノ規定ニ依リ皇位継承ノ順序ヲ換ヘタルトキハ其ノ年月日ヲ皇嗣タリシ親王王ノ欄ニ登録シ且事由ヲ附記スヘシ
第二十九条 内親王女王親王王ニ嫁シタルトキハ該内親王女王ノ欄ニ記載シタル事項ヲ其ノ夫タル親王王ノ妃ノ欄ニ移記スヘシ但シ所出天皇同キトキハ欄名ヲ親王妃王妃ト改ムルヲ以テ足ル
第三十条 親王妃王妃離婚ノ場合ニ於テハ其ノ年月日ヲ夫タリシ親王王及該妃ノ欄ニ登録スヘシ
2 前項ノ場合ニ於テ妃内親王女王ナルトキハ該妃ノ欄ニ記載シタル婚嫁後ノ事項ヲ該内親王女王ノ旧欄ニ移記スヘシ但シ所出天皇同キトキハ欄名ヲ内親王女王ト改ムルヲ以テ足ル
第三十一条 皇室典範増補第一条又ハ第二条ノ規定ニ依リ王臣籍ニ入リタルトキハ其ノ年月日ヲ該王ノ欄ニ登録シ且事由及氏名身位ヲ附記スヘシ同第四条第一項ノ規定ニ依リ皇族臣籍ニ降サレタル場合之ニ準ス
第三十二条 皇室典範増補第三条又ハ第四条第二項ノ規定ニ依リ臣籍ニ入リタル皇族アルトキハ其ノ年月日ヲ該皇族ノ欄ニ登録シ且事由及其ノ入リタル家ノ戸主ノ氏名身位ヲ附記スヘシ皇族身位令第三十四条及皇室親族令第三十二条ノ場合之ニ準ス
第三十三条 内親王女王皇族ニ非サル者ニ嫁シタルトキハ其ノ年月日ヲ該内親王女王ノ欄ニ登録シ且夫ノ氏名身位ヲ附記スヘシ
2 皇室典範第四十四条ノ規定ニ依リ内親王女王ノ称ヲ有セシメタルトキハ其ノ旨ヲ附記スヘシ
第三十四条 皇室親族令第三十三条ノ場合ニ於テハ臣籍ニ入リタル年月日ヲ妃ノ欄ニ登録シ且事由ヲ附記シ復籍ノ場合ニ於テハ其ノ家ノ戸主ノ氏名身位一家創立又ハ実家再興ノ場合ニ於テハ氏名ヲ附記スヘシ
第三十五条 配偶者アル皇族薨去シタルトキハ其ノ年月日及名ヲ該配偶者ノ欄ニ登録スヘシ
第三十六条 皇族摂政ニ任シ又ハ摂政ヲ罷メタルトキハ其ノ年月日ヲ該皇族ノ欄ニ登録スヘシ
第三十七条 皇族失踪ノ宣告ヲ受ケタルトキハ其ノ年月日ヲ該皇族ノ欄ニ登録スヘシ其ノ宣告ノ取消アリタルトキ亦同シ
第三十八条 皇族譜ヨリ大統譜ニ移記シ又ハ皇族譜中一ノ欄ヨリ他ノ欄ニ移記シタルトキハ其ノ年月日ヲ新欄及旧欄ニ登録シ且事由ヲ附記スヘシ
第四章 補則
第三十九条 神代ノ大統ハ勅裁ヲ経テ大統譜ノ首部ニ登録スヘシ
第四十条 前条ニ依ルモノヲ除クノ外従前ノ皇統譜ニ記載シタル事項ハ本令ノ規定ニ準シ勅裁ヲ経テ之ヲ本令ニ依ル皇統譜ニ登録スヘシ本令ニ依ル登録事項ニ非スト雖登録ヲ必要トスルモノ亦同シ
2 前項ノ場合ニ於テハ皇族ニ係ル事項ハ所出天皇ヲ異ニスル皇族ト雖其ノ少数ナルモノニ付テハ一簿冊中ニ区分ヲ設ケ之ヲ登録スルコトヲ妨ケス
第四十一条 光厳天皇光明天皇崇光天皇後光厳天皇及後円融天皇ニ係ル事項ハ勅裁ヲ経テ別ニ簿冊ヲ設ケ大統譜ニ準シテ之ヲ登録スヘシ
第四十二条 第四十条ノ規定ニ依リ登録スヘキ簿冊中ノ欄ハ左ノ区別ニ従フ
一 中宮尊称太皇太后尊称皇太后贈皇太后及贈皇后ニ係ル事項ハ之ヲ大統譜中皇后ノ欄ニ登録スヘシ
二 皇族ニ係ル事項ハ皇室典範第三十一条ノ別ニ従ヒ之ヲ各親王内親王王女王ノ欄ニ登録スヘシ
三 親王ノ号ヲ宣賜セラレタル五世以下ノ皇族ニ係ル事項ハ之ヲ親王ノ欄ニ登録スヘシ
四 前二号ノ規定ニ依リ登録スヘキ親王王ノ配偶者ニ係ル事項ハ之ヲ妃ノ欄ニ登録スヘシ


○皇室令及附属法令廃止ノ件(昭和22年皇室令第12号)
皇室令及附属法令ハ昭和二十二年五月二日限リ之ヲ廃止ス
(昭和22年5月1日公布)
                                            弁護士 三木秀夫

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