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三木秀夫法律事務所
このページは最近話題になったニュースを題材にして、そこに関係する各種法令もしくは
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ニュース六法目次
ミートホープ社事件(2007年06月24日)不正競争防止法/品質等の虚偽表
○北海道苫小牧市の食品加工卸会社「ミートホープ」が「牛ミンチ」に豚肉を混ぜて出荷していた問題で、道警生活環境課と苫小牧署は24日、同社本社と汐見工場など数カ所を不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で家宅捜索する。田中稔社長(68)は「コストが安くなるので混入を指示していた」と関与を認めており、道警は会社ぐるみで偽装行為が続けられていたとみて実態解明を進める。これまでの調べでは、同社は少なくとも7、8年前から牛ひき肉に豚肉を混ぜ「牛ミンチ」と表示。大手食品会社「加ト吉」(香川県観音寺市)の子会社「北海道加ト吉」(赤平市)に出荷した疑いが持たれている。偽「牛ミンチ」の出荷量は、この1年間だけでも5道県計16社の計140トン以上とみられ、約半分は北海道加ト吉に卸されていた。(毎日新聞 2007年6月24日)

○道警、ミート社長を任意で聴取
北海道警は20日、ミート社の田中稔社長(68)から、産地や原料、数量の虚偽表示などを禁じる不正競争防止法違反の疑いで、任意で事情を聴いた。北海道加ト吉に納入した「牛ミンチ」に豚肉が混入していた経緯について、説明を求めたとみられる。商品の原産地や品質、内容、製造方法などについて誤認させる表示をした場合に同法違反に当たり、5年以下の懲役や500万円以下の罰金刑が規定されている。虚偽商品をめぐっては、今年5月、関西大手の米穀卸会社「日本ライス」(大阪府東大阪市)が安価なコメをブランド米の福井県産コシヒカリと偽って販売したとして、社長らを同法違反で逮捕した事例がある。 (読売新聞2007年06月21日)

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○これほどひどい話は聞いたことがない。食肉加工製造卸「ミートホープ」が、豚肉を混ぜたひき肉を「牛ミンチ」として出荷していたという。その後、さらに多数の偽装が続々と明らかになっていったのも驚きである。雪印食品(解散)や不二家など多くの食品企業が消費者の厳しい批判を浴びたのは記憶に新しい。食品関係に限らず、ホリエモン事件、村上ファンド事件、耐震偽装事件、官製談合事件、社会保険庁無責任事件、都内温泉メタンガス爆発事件に続き、日本社会全体がモラルハザード化してきた感がある。

食品業界は、過去の経験を踏まえて、どの会社も法令順守を徹底し、行政は業者保護から消費者保護へと転換し出直したはずである。しかし、今回の事件は、こういった経緯を吹き飛ばすかのごとく、故意的・組織的・継続的に、しかも消費者を全く顧みないで行われてきた組織犯罪である。あの教訓はどこへいったのか。愕然となる。「本当に本当の話なのか」と疑いたくなる。社長は「ひき肉にすれば分かるまい」と考えていたのである。利益のためならなりふり構わぬといった姿勢や、分からないならよい、といった態度は、断じて許されるものではない。

この偽装牛ひき肉は、日本生活協同組合連合会が、「加ト吉」の子会社「北海道加ト吉」に製造委託した冷凍コロッケにも使われていたということで、我が家でも食した事実があることも分かって、我が家も被害者であることが分かった。この商品には「北海道の牛肉とじゃがいもを使いました」と記されていた。同社のひき肉ミンチは全国に出荷されていろいろな食材に使われていたようであるから、およそ口にした全国の消費者は数知れないのではなかろうか。

○この会社の責任追及は徹底的になされるべきことは当然ではあるが、それだけで済んではならない。もはや、企業の性善説に頼れないほどのモラル低下である。偽装を長年許され続けた加工食品の表示規制の問題は数多い。また、内部告発を受けた農水省北海道農政事務所や北海道庁が不正を放置していたことや、苫小牧保健所が5年前に内部告発に基づき立ち入り検査したが偽装を発見できなかったことなどは、多くの問題を抱えている。建築確認における耐震偽装問題もそうだが、事前規制の緩和は時代の流れから仕方がないにしても、事後規制がほとんど機能していないのは問題ではないか。特に不二家事件のときもそうであったように、内部告発から問題が提起されたことは重要である。しかも、その内部告発自体が放置されていたのでは目も当てられない。

ここから浮かんでくる制度上の問題点をこの際に徹底的に洗い出して、同じような業者が今後現れないような再発防止作を作っていくことが必要である。

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○今回の一連の報道の中で、警察、国や地方自治体などの動きでいくつかの法律が使用されている。今回のミートホープ社問題に関連して出てきた法律は、概ね以下のものである。
@不正競争防止法
A不当景品類及び不当表示防止法
B食品衛生法
C農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律【日本農林規格(JAS)法】
D詐欺罪

@の不正競争防止法は、経済産業省が所管する法律で、事業者間の公正な競争を確保するため、不正競争の防止や損害賠償に関する規定を定めたもので、その中にある原産地等誤認惹起行為(虚偽表示)の禁止罰則規定(違反には5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科される)が、今回の事件の北海道警察による強制捜査で用いられた。

Aの不当景品類及び不当表示防止法は、公正取引委員会が所管する法律で、公正な競争を確保して一般消費者の利益を保護する目的の法律であり、原材料や原産地、製造方法など商品の品質や価格に関して著しく優良、有利であると消費者に誤認されるような表示を禁止している。違反に対しては、公正取引委員会の排除命令、業者名の公表があり、命令に従わなければ2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される。今回の問題では、廉価な原材料を偽って混ぜることからみても、明らかに同法に違反している可能性が高い。

Bの食品衛生法は、厚生労働省が所管する法律で、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的としており、名称、添加物、賞味期限、保存方法、製造業者名など(品目で異なる)の表示が義務付けられている。違反に対しては、営業許可の取り消し、営業の禁止または停止措置があり、処分に違反して営業すると6カ月以下の懲役または3万円以下の罰金が科される。

CのJAS法は、農水省が所管する法律で、消費者の商品選択に対する情報提供を目的としており、生鮮食品は名称、原産地など、加工食品は原材料や賞味期限などの表示を義務付けている。これに違反した場合、農水省からの改善命令が出され、それに従わなければ業者名の公表や50万円以下の罰金が科される。

Dは言うまでもなく刑法規定であり、虚偽の事実を申し付けて金品を詐取する行為であって、10年以下の懲役が科される。同罪の立証は易しくはないが、今回の事件では故意に豚肉などを混ぜているにも関わらず牛肉のみと虚偽の事実を述べて仕入れ業者を騙して販売していたならば同罪での立件も可能であろう。

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○今回のような食品の虚偽表示は、過去においても多数の事件が発生しているが、いつも疑問に感じるのは、「食品の表示」にかかわる法律が細切れであり、その所管官庁も複数にわたっていて、縦割り行政のままでばらばらに動いているという事実である。先ほど述べたように、不正競争防止法(経済産業省)、不当景品類及び不当表示防止法(公正取引委員会)、食品衛生法(厚生労働省)、JAS法(農水省)と乱立しているのが現状で、それぞれに法の趣旨や罰則も異なる。そのために、一つの疑惑が浮かぶと警察のほかに複数の省庁が入れ替わり立ち替わり検査を実施し、それぞれの立場で調査し、罰則も異なるというもので、分かりにくい構造になっている。それぞれの法律の趣旨が異なることからの仕方がない面もあるが、効率的な食品行政の見直しの観点から、JAS法と食品衛生法の一本化など、「消費者保護」を座標軸にした総合的な法律の構築も、早急に検討して制定していくべきではないか。

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○不正競争防止法とは(平成5年5月19日法律第47号)
この法律は、旧不正競争防止法(昭和9年法律第14号)の全部改正版で、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律であり、経済産業省が所管する。

この法律でいう「不正競争」には、周知表示の使用等、著名表示の使用等、形態模倣、営業秘密に関する不正行為、ドメイン名の不正使用、原産地等誤認惹起行為(虚偽表示)、信用毀損行為などの行為を禁止している。上記の不正競争行為(一部例外あり)については、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられる。また、法人の従業員等あるいは人の代理人等が違反行為をした場合は、行為者を罰するほか、その法人に対し3億円以下の罰金刑を、その人に対しても3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科すものと規定されている(両罰行為)。

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○不正競争防止法の「原産地等誤認惹起行為」(同法2項第13号)とは
今回のミートホープ事件で強制捜査に用いられたのがこの規定である。これは、「商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為」をいう。

○過去、この規定が問題となった事件は多い。以下はその一部である。
2002年2月「中古車メーター巻き戻し事件」(茨城県の自動車販売店が、中古車のメーターを巻き戻して販売していたとして、茨城県警が、詐欺と不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで工場長や社員ら5人を逮捕した。)

2002年06月「丸紅畜産鶏肉偽装事件」(丸紅の子会社「丸紅畜産」が外国産鶏肉を国産に偽装して販売した問題で、宮城県警が不正競争防止法違反(原産地等誤認惹起行為)の容疑で、同社の本社など9カ所を家宅捜索した。)

2004年11月「さぬきうどん虚偽表示事件」(JA香川県がさぬきうどんの小麦の産地を不当表示していた問題で、香川県警が同JA営農経済事業本部や原料を調達先の会社など数か所を不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で捜索した。)

2005年1月「河北・フランスカモ肉偽装事件」(カモ肉加工販売会社「エフエス・かほく」(現フレッシュバルバリー)の社長らが、2003年12月、冷凍保存していたマレーシア産の輸入カモ肉約一トンを「県産フランス鴨(かも)」と偽って天童市などの食肉卸販売会社四社に売た事件で、仙台地裁が、詐欺と不正競争防止法違反の罪で同社社長に懲役2年、執行猶予3年、会社に罰金160万円の判決を言い渡した。)

2006年5月「オーストラリア産牛肉の県産表示卸売り事件」(長野市の食品卸売会社「丸水長野県水」の畜産事業部伊那営業所が、オーストラリア産牛肉など約100キロ、アメリカ産豚肉など約49キロをいずれも県内産と偽って卸していた問題で、伊那署と県警生活安全部が、元同営業所副長を1月に逮捕したうえ、同社を不正競争防止法違反(原産地虚偽表示販売)の容疑で長野地検に書類送検した。)

2007年06月「日本ライス事件」(新潟産コシヒカリと表示した袋に他県産の安いコメを混ぜて小売店に売り、代金をだまし取っていたとして、詐欺と不正競争防止法違反の疑いで、大阪府警が日本ライス社長らや関連会社の元社長らを逮捕した。) 

2007年06月「ロックペイントJIS虚偽表示事件」(JISの認定を受けていない工場で製造した塗料を、認定を受けているように虚偽表示して販売したなどとして、大阪府警が不正競争防止法違反容疑などで、大手塗料メーカー「ロックペイント」社長ら8人と、同社や関連会社の計3法人を書類送検した。)

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○不正競争防止法(平成五年五月十九日法律第四十七号)
旧不正競争防止法(昭和九年法律第十四号)の全部改正版

(目的)
第一条  この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一  他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二  自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
三  他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
四  窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「不正取得行為」という。)又は不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。以下同じ。)
五  その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
六  その取得した後にその営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
七  営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の競業その他の不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
八  その営業秘密について不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
九  その取得した後にその営業秘密について不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
十  営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為
十一  他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為
十二  不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
十三  商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
十四  競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
十五  パリ条約(商標法 (昭和三十四年法律第百二十七号)第四条第一項第二号 に規定するパリ条約をいう。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法 条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に「権利」という。)を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務に使用し、又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一若しくは類似の商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務と同一若しくは類似の役務を提供する行為
(2項以下省略)

(差止請求権)
第三条  不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2  不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

(損害賠償)
第四条  故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。

(罰則)
第二十一条
2  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  不正の目的をもって第二条第一項第一号又は第十三号に掲げる不正競争を行った者
二  他人の著名な商品等表示に係る信用若しくは名声を利用して不正の利益を得る目的で、又は当該信用若しくは名声を害する目的で第二条第一項第二号に掲げる不正競争を行った者
三  不正の利益を得る目的で第二条第一項第三号に掲げる不正競争を行った
四  商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような虚偽の表示をした者(第一号に掲げる者を除く。)
五  秘密保持命令に違反した者
六  第十六条、第十七条又は第十八条第一項の規定に違反した者
3  第一項及び前項第五号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
4  第一項第一号又は第三号から第六号までの罪は、詐欺等行為若しくは管理侵害行為があった時又は保有者から示された時に日本国内において管理されていた営業秘密について、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。
5  第二項第五号の罪は、日本国外において同号の罪を犯した者にも適用する。
6  第二項第六号(第十八条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三条 の例に従う。
7  第一項及び第二項の規定は、刑法 その他の罰則の適用を妨げない。
第二十二条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条第一項第一号、第二号若しくは第六号又は第二項に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して三億円以下の罰金刑を、その人に対して本条の罰金刑を科する。
2  前項の場合において、当該行為者に対してした前条第一項第一号、第二号及び第六号並びに第二項第五号の罪に係る同条第三項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
3  第一項の規定により前条第一項第一号、第二号若しくは第六号又は第二項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。
                                            弁護士 三木秀夫

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