花と蛇 杉本彩
「花と蛇」(監督:石井隆、(2003年/日本、主演:杉本彩、野村宏伸、石橋蓮司、遠藤憲一、未向、伊藤洋三郎、寺島進)は、女性の体の中に巣食う魔物が目覚めていく物語です。杉本彩が見目麗しき社長夫人を演じていました。杉本彩は、夫に裏切られ、売られてしまいます。秘密の会員制クラブに連れて行かれた杉本彩は、極道たちの玩具にされてしまいます。杉本彩は、縄で縛られます。鞭で打たれます。天井から吊るされます。あやしい薬も飲まされて尿を垂れ流します。陵辱は連夜にわたり続きます。杉本彩は、しだいに、理性を失って行きました。杉本彩が自分の中に蛇を見い出したときの瞳が異様に輝いていました。
花と蛇を見て心に浮かんだ場面
「瞳の中に宿る炎」
玄人童貞を捨てたのは22歳のときだった。ピンサロだった。行為は個人契約によって完了した。
千葉のとある町で友人と飲んでいた。いい気分になってピンサロに行った。30分、3000円。地下の店内は薄暗く、大きめのソファーが並べられていた。仕切りはなかった。周りの様子は、見ようと思えば見れた。奥から女の子がやってきて、料金に見合った、イイコトをしてくれる店だった。
K子の髪の毛は長かった。束ねていなかった。暗い中でも、真っ黒さがわかる奇麗な髪だった。スタイルも悪くはなかった。しかし、肌にハリがないのは、さわってみてわかった。
K子は29歳と言った。27歳と言えば30代前半、29歳と言えば30代後半が相場だった。
「1万円で本番やらない?」
「1万じゃできねえ。5千ならやる」
やる気はなかった。半値を言い渡せば、あきらめると思った。
「いいわ」
後には引けなかった。
30分はあっという間に過ぎていった。
「また来てね」
5千円でプライドを売る女に、興味を覚えた。
「男か?」
「え? うん、まあ、そんなところ」
「いい男なのか?」
手のひらをホホに当ててうつむき加減に答えるK子は、一瞬、顔をそむけた。K子のホホが赤くなったような気がした。
「ええ、そりゃあ、もう」
K子は、斜めうしろに私には見えない何かを見つめたあとに、そのままの瞳で、顔をこちらに向けた。
平安の絵巻物に登場する夜叉という生き物は、こういう目をしているのかもしれないと思った。
K子には、それ以来会っていない。一度、K子に会いたくて店の前まで行った。しかし、中には入らなかった。
瞳で一瞬ドラマを語る女は、恐ろしいと思った。

