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蜜の味/壇蜜のあらすじと読書感想文

2013年2月23日 竹内みちまろ

蜜の味のあらすじ


 「蜜の味」は、1980年に秋田県で生まれた壇蜜さんが、幼稚園から、大学を出て専門学校に通い、アルバイト感覚で始めたグラビアの仕事を本業にするまでが記されています。

 壇蜜さんは、秋田から親の仕事の関係ですぐに東京に引っ越し、小学校2年生のときに、父親が独身時代を過ごしていた部屋(祖父母が経営するアパートの一室)にあったマンガ本「ゴルゴ13」を開くと、そこに、両手足をベッドに縛られた全裸の外国人女性の姿を見つけます。その後、読んだマンガの内容から、「大人になったらセックスが楽しめる」と思うようになりました。

 中学は女子校で、当時はやっていた「悪魔のKISS」というテレビドラマに登場する裸になる愛人の女性と、壇蜜さんの髪型が似ていたことから、クラスメイトが、「しずか(私の本名)って愛人ぽくない?」と言い出し、「愛人」というあだ名が定着。中学3年生のときに、同級生の女の子とファーストキス。高校生のときに、同級生の女の子を好きになり、寝る前にキスをしあったりします。男性との初体験は大学1年生の18歳。10代、20代同士の恋は、経済力に限界があり、壇蜜さんは相手には期待をせずに、過ごしていたようです。

 大学卒業後、和菓子屋さんをやる計画があったので、調理師専門学校に2年間通い、和菓子屋さんで働きましたが、計画の中心だった母親の恩師が急逝。計画が自然消滅し、家族も動揺する中、いっそ死に近い仕事をしたらどうだろうとの思いから「葬儀学校」で、ご遺体の防腐や保存を学び、葬儀会社へインターンとして派遣され、仕事をします。また、調理師専門学校時代に銀座のクラブでヘルプのアルバイトをし、「自分の欲求を満たしてくれるのは40代過ぎの男性なのかもしれない」と思うようになりました。また、20代後半のころ、年上の男性から「調教」を受けていたとのこと。

 29歳のときに、医療関係の会社に内定していましたが、働き始めるまでアルバイトをしようと思い、グラビアモデルに応募。「好きな下着や水着でいいよ」と言われていたため、着けていて気持ちがよかったTバックで臨みました。最初の撮影でTバックは露出的に激しいことをはじめ、業界のことは何も知らなかったようです。しかし、失うものが何もなかったためか、カメラマンの指示に抵抗なく従うことができ、撮影はスムーズに終わります。グラビアは、大きな反響を生みました。14歳から日本舞踊を始め、20歳で名取り、2012年に師範の免許を取得。現在は、普段は、すっぴん&ノーパンが多いとのこと。

蜜の味の読書感想文


 壇蜜さんは、「今では、全裸でカメラマンの前に立つと、自分が素材であることがいっそう強く意識されるようになりました」と記しています。グラビアの仕事をするまでは、「何をやっても中途半端に終わっていた」といい、「露出やポーズでは妥協せず、スタッフの方々の要求には、最大限応えるようにしたい」とも。

 「蜜の味」を読んで、壇蜜さんの哀愁のあるさびしげな笑顔のわけが、少しわかったような気がしました。壇蜜さんは、男女はしょせんわかりあえないと思っているところがあります。29歳でグラビアに応募して最初の撮影にTバックで臨んでしまうなど、主流派とは外れていますが、でも、この世界で絶対に成功してやるだとか、ライバルよりも上にいくだとかいう、ガツガツしたところはありません。

 壇蜜さんは、ご自身では、「童顔のうえに自信がない29歳が、激しい露出で過激なポーズをとっている、そのギャップが最初のころにウケた理由ではないか」と分析しています。が、壇蜜さんは、周りの様子を気にしたり、世間の目を意識したりするようなところがありません。そのため、大学を卒業したら何をするべきだとか、20代後半の時期は何々をするべきだとか、そういった、社会で言われている(言い古されて、飽き飽きしている?)ことを気にせず、現在の自分にできることを素直にやっているのかもしれないと感じました。勝手な想像ですが、「他の子よりもちょっと得をしている自分」を意識したり、周りに認知させることで、自分に酔うような自分というものを持っていないのかもしれません。「飾らない自分でいたい、クリアでありたい。そう、もしかすると裸でいることが自分にとって清楚なのかもしれません」

 また、セクシーさについて語っている場面も印象に残りました。壇蜜さんは、「多分、セクシーさって、殿方が勝手に感じるものだと思うんです。女の人は、いつもどおりに振る舞っていても、相手が勝手にセクシーだと受け取ってしまう、というような」と書いています。言葉を換えれば、例えどんなにセクシーになりたくても、セクシーに振る舞おうとしてみても、自分がセクシーがどうかは、自分ではどうすることもできない領域で、他者の主観によって勝手に決められてしまうということです。人間はわかり合うことはできず、人間は孤独なのかもしれません。

 それゆえかどうかは分かりませんが、壇蜜さんは、「恋愛において、セックスは女性が相手に与えることができるもののひとつ」といい、「一方的に奉仕することを厭いません」といいます。「男の人は、すべてを委ねてくれればそれだけで十分」。しかし、壇蜜さんは、セックスのあとは、自分が空っぽになり、コンビニでチョコリングパンを買って、ちぎっては食べ、ちぎっては食べを繰り返すそうです。さらに、SMのあとは、空っぽを通し超し、マイナスといってもいい状態になるとも記されています。ただ、それは、壇蜜さんにとっては、嫌なことではないようです。「余計なものが、どんどんと削り取られていくみたい」と表現していました。でも、「空っぽにならないようなセックスができる日は、やってくるのでしょうか」と、不安げにつぶやくところもあります。

 芸能の世界に入る理由は人ぞれぞれだと思いますが、「アイドルになりたくて」「有名になりたくて」「かわいいって言われたくて」「ちやほやされたくて」という人も多いのかもしれません。そういった周りからの相対的な評価で勝負する人たちは、ファンを獲得するために、必死になって努力をし、ファンと共に作りあげる幻想の中で、人格(もしくは、キャラクター)を演じるのかもしれません。

 壇蜜さんの魅力は、目の前にある自分の目に見えている世界を地道に歩いてきた女性が、たまたま迷い込んできた点にあるのかもしれません。そこで、この世界では自分は素材なのだと発見し、中途半端はもういやだとの思いから、過激に、素材になりきります。そして、もしかしたら、「壇蜜」という素材になればなるほど、「しずか」は空っぽになっていき、それが逆に、「壇蜜」を魅力的にしていくのかもしれないと思いました。


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