「怖るべき子供たち」のあらすじと読書感想文


  「怖るべき子供たち」(ジャン・コクトー/東郷青児訳)は、姉と弟の物語です。10代後半の姉弟は、両親をなくして2人だけで暮らしています。2人は、社会に順応することなど知らずに、野生のままに生きています。好奇心と、罪の意識のない残酷さに支配されています。2人の会話を拾ってみると、このような感じです。

  姉:眠ってるの?

  弟:うるさい!

  姉:ご挨拶ね

 2人は貧乏なようですが、したたかに生きています。タクシーを待たせておいて、叔父さんにお金をもらい、もとの場所に帰ってきたらタクシーは姿を消していました。客に逃げられたと思った運転手があきらめたのですが、弟はそのことを誰にも言わずにお金をポケットにしまい込みます。また、万引きを楽しんだあとに、盗んだものを無理やりに返しにいかせようとしたり、(壁ではなくて)姉に向かって、牛乳ビンを力いっぱいに投げつけたりします。しかし、そんな生活はいつまでも続けられるものではありません。姉は、生活を変えようと婦人服店に働きにでます。やがて、知人に紹介された金持ちの青年と結婚をする縁に恵まれました。

 「結婚? 鏡と相談したかい?」

 弟は、姉を淫売婦とののしります。

 しかし、結婚をした後に、姉の夫は事故であっけなく死んでしまいます。姉には、莫大な財産が残りました。再び、弟との生活をはじめます。

 「怖るべき子供たち」は、3人称で書かれています。

 青年が死んだ場面で、いきなり「私」が登場しました。最初はちょっととまどったのですが、「私」はどうやら語り手であり、作者自身のようでした。その場面で、「私」は、姉が青年の死のために結婚したことを読者に告げます。「私」の語りは、姉弟の人間模様を見下ろしている視点で書かれています。ナレーションに近い地の文でした。もちろん、姉は、青年が急死することを知っていたわけでも、望んでいたわけでもありません。しかし、そうなることが運命付けられていたことが、「私」によって語られました。ここから物語は展開します。姉は、弟と婦人服店で働く女の子が、お互いに惹かれあっていることを知ります。弟の恋を知ったときに、姉は、陰謀を巡らせて2人の仲を引き裂きました。その上、婦人服店の女の子には、別の男性をけしかけて結婚させてしまいます。姉は、恋人を失ったショックで衰弱していく弟を恍惚の表情で見守ります。弟は毒を飲みました。そして、朦朧とする意識のなかで、姉の陰謀を知りました。姉を激しく憎みます。しかし、姉は微動だにしません。弟は、姉のその態度を見たときに、不思議と憎悪が好奇心に変わりました。姉は、そんな弟の心の変化を読み取って勝利を確信します。弟が事切れたのを確認した次の瞬間に、短銃で自殺しました。姉が一旦は生活を変えようと働きにでるも、結局は、もとの弟との生活に戻るというストーリーに、何か運命的なものを感じました。2人きりで生きてきた姉弟の絆でしょうか。

(2004年9月20日)

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