福音のメルカバー改『ディオル・ザ・セフィロト』
「グラーフ、私の肉体を借りたまま何処へ行くつもりだ!」
宝条が、グラーフを追って落下していく。
「にっ・・・逃がすか!」
『レビテト』の浮遊感の中、ヴィンセントは縦穴を急下降して一気に間合いを詰めた。
今の宝条は精神体。左腕の金属の爪で斬りつけるだけではなんの意味も無いが、
魔胱の輝きを帯びている今の爪ならば話は別だ。
気付いた宝条<ジェノバ>が、速度を落とさず身を翻し、ヴィンセントに向き直った。
「悪いが、君の相手をするのは後回しだ。
あやつが私の支配を逃れて、何やら勝手に動いておるのでな」
「またとない・・・破格の好機だ。
ここで即刻、終わりにさせてもらう。お前を殺す! ジェノバ!」
「私は宝条だ。
少なくとも君は、私に対しては所詮恋敵程度の認識しかしていない。
だから私の擬態に惑わされたのだ。
劣等感の塊だよ、君は。
だから彼女<ルクレツィア>は君に見向きもしなかったのだ!」
「黙れ!」ガントレットを横に薙ぎ払う。
宝条は落ちるように距離を取った。そうして開いた距離を、ヴィンセントの蹴足が埋める。
|