BackGround−05偽りの神の言を預かる血塗られた刃<クリムゾンブレイド>



「たしかにそれも死だ。だが、それは事実の一面にすぎん。本当の死とは、魂が滅びることだ」
「恐怖を支配せよ。さもなくば“魔”に魂を食われるぞ」
「逃げるがいい、シドニー。どうせ貴様は我々のモノになるのだ」

 公爵邸占拠事件に法王庁が投入した、聖印騎士団クリムゾンブレイドの団長。VKPの管轄であったが指示を完全に無視して突入。館に火を放っていたメレンカンプを利用して自らも火を放ち、混乱を煽りながらワイバーンを駆逐。館全体が燃えぬように取り計らいながらシドニーを探していた。シドニーがレアモンデに行ったと知って、後を追う。
 法王庁が占拠事件に執着した理由は不明。だがレアモンデに侵入する際には部下たちに「メレンカンプ殲滅」と「奇跡『グラン・グリモア』の確保」を目的と宣言している。メレンカンプよりも先に究極魔道書『グラン・グリモア』を手に入れることを目指しているが、何故、それがシドニー個人を標的に定めた捜索活動に発展するのかは謎。
 コマンダー・サマンサとは恋人関係にあり、レアモンデ内でも常に行動を共にしている。魔法を使う能力をレアモンデ侵入以前から備えており、“魔”と魔物の関係も法王庁から既に知らされているようだ。
来たるべき時に備え法王庁が育て上げた最強の聖印騎士
ロメオ=ギルデンスターン

「貴様には志というものが無いのか! その時々の利益で動くとはな。見下げた男だ」
「宗教ではない、思想だよ。この腐った世を一掃する思想が必要なのだ」
「ゴミクズのような人生しか歩まないような輩に救済など必要ない。今我らに必要なのは“選別”だよ」

 ローゼンクランツから「魔都レアモンデ」=『グラン・グリモア』という事実を知ったギルデンスターンは、コマンダーたちに指示を出し、サマンサを傍に仕えさせながら“後継者”の儀式に不可欠とされる“鍵”を得て、自らがレアモンデの全てを手に入れようとした。
 仲間を装いながらも当然のように自分を欺こうとするローゼンクランツが、何故己を恥じようとしないのかギルデンスターンには理解できなかった。完全な世界秩序をもたらすという志を以って行動する彼にとっては、そんな彼を否定するシドニーの意志の堅さは理解できてもこのハイエナの心は理解できない。
 ギルデンスターンは、神の奇跡を説く身でありながら衆愚への救済を望んでいない。求めるのは平和を創り出す秩序と恐怖。そこに悪意は無い。彼は自分を正義と信じていた。
 シドニーが“鍵”を手にいれていると知り、ギルデンスターンはその鍵『血塗れの罪』を皮膚ごと剥ぎ取って自分の背中に貼り付ける。シドニーもメレンカンプもこれで用無しになった。
後は生け贄にする魂<ファントム>。深く結びついた魂でなければならないと聞いて、彼は恋人のサマンサを生け贄にすると決めた。儀式直後に腹をナイフで突く。サマンサが自分の愛情を理解してくれないことは残念だったが、悲しくはなかった。儀式の効果が現れる。“魔”が異常なほどの力を自分に流し込んでくる。レアモンデという“魔の牧場”ひとつ分の力がみなぎってくる。これこそ『グラン・グリモア』!!。
 「転生の宴」と称してアシュレイと戦う。
結果として彼は敗れたが、これは決して彼の悪性の証明にはならなかったはずだ。彼には彼なりの信念があった。彼は彼のやり方で、争いの無い楽園<ユートピア>を創造しようとしていたのだから。



「・・・私もああなるの?」
「ただ・・・シミュレーションと違いすぎる・・・」
「・・・ロメオ・・・」

 クリムゾンブレイドのコマンダーであると同時に、ギルデンスターンの恋人。
ギルデンスターンに愛情を注ぐというよりは、怯えながら恋人に依存しているといった感がある。
戦闘能力は不明だが、恐怖に圧倒されると対処できずに当惑するなど、精神的な打たれ強さで劣る。
 レアモンデへ向かう以前から“魔”の存在を知っていた。魔物と対峙する事態になりうることも承知の上で魔都に足を踏み入れたはずだが、結局はギルデンスターンの傍でない時は殊に弱気になってしまう。
恋人との愛にすがりつく女性聖印騎士
サマンサ

「・・・どう、して・・・?」
「・・・“あなたの”理想ね・・・私の入り込む余地など・・・無い、夢のため・・・」
「・・・私も・・・そう思っていたわ」

 レアモンデ、大聖堂。シドニーから『血塗れの聖印』を奪ったギルデンスターンに抱きしめられたサマンサは、激痛を感じ――気が付くと、腹部にはギルデンスターンの短剣が刺さっていた。
 ギルデンスターンはサマンサを生け贄にすると言う。サマンサは彼の理想のために犠牲にさせられたのだ。恋人のはずの女を涙も流さず殺したギルデンスターン。そんな関係でしかなかったとは――
 ギルデンスターンは、サマンサに「愛しているよ、本当だ」と言ったが、死に行くサマンサにとってはそんなことは関係無かった。結局、彼は自分を失っても――棄ててしまっても生きていける程度の目でしか、サマンサを見ていなかったのだから。




「さあ、神に赦しを請うのです。今ならまだ間に合う」
「私が神の“代理人”としてあなたの罪を赦しましょう」
「ハイエナのようなあなたでもおじけづくのですか?」

 クリムゾンブレイドの指揮官<コマンダー>であることに誇りを持ち、活動する聖印騎士。だが神の存在を信じているわけではなく、法王庁の闇の面も承知した上で公然と神の意思を説く。コマンダーとしての優越感は職務への誇りではなく、コマンダーに君臨した己が実力に対する誇りなのだろう。
 デュエインという兄が聖印騎士のコマンダーにいるが、能力的には弟が上。“魔”に触れたことで、シドニーには遠く及ばないながらも低級な魔物を召還する能力に目覚めた。
歪んでいった僧侶
グリッソム

「・・・私は一体・・・?」
「うおおおおおおおおおおっ!!」
「オレの血肉を・・・貴様たちにやりはしない」

 シドニーとの遭遇戦。実力の差は歴然だった。魔力に頼って戦うタイプであるグリッソムでは、その長所を嘲笑うようなシドニーに対抗できるはずは無かった。グリッソムはリスクの高い博打を打つ。試したことの無い高位な魔物を召還しようとしたのだ。そこに現れるアシュレイ。尚更負けられない。失敗するわけにもいかない。
 ――1度、心臓が停止するような衝撃に倒れたが、その瞬間に何かが変わった。力がみなぎってくる。“魔”に長期感染したことで更に器が広がったのか? 勝機。鎧武者を召還し、戦う。だがシドニーとアシュレイの共同戦線の前に敗退した。
 目覚めた時、グリッソムは消滅せずにまだ自分が動けることに気付いた。何故シドニーが自分を殺さなかったのか謎だったが、本体と合流しようと探索を始める。コマンダー・ディーガー、コマンダー・ニーチと合流する。2人は何故か自分を置き去りにしようとした。そして衝撃の事実を語る。グリッソムは、鎧武者を召還しようとした瞬間に既に死んでいたのだ。自分の骸に憑依したせいで気が付かなかったのだ。
 叫ぶグリッソム。もう彼には肉体への執念しか残らなかった。誰にも自分を狩らせはしない。誰にも私の血肉をやりはしない。俺の苦しさはあなたにはわからない――貴様も地獄に落ちろ!
崩れゆくレアモンデの中、グリッソムは怨念の塊となってかつての仲間に牙を剥く。柱が崩れ、敵が斧を振りかざす。1人でも多く地獄へ。グリッソムは――



仲間の絆を守り魔都に残った騎士
ディーガー
「この事実を伝える役目がある!」

 全てを知らず、レアモンデに侵入したクリムゾンブレイド・コマンダー。
巨躯を活かした戦闘が得意だが頭の回転も速く、騎士団の中では道義心や仲間意識が強い。
 レアモンデの“魔”の崩壊後、生還できたのかは不明。


揺るぐことなく魔都を駆けた女騎士
ニーチ

「怖じ気づいたのか? 作戦に変更はつきものだ」

 ディーガーと仲の良かった女コマンダーで、さばさばとした性格。
サマンサの女々しさを嫌い、戦士として揺るがない冷静な自分を心がけている。
 レアモンデの“魔”の崩壊後、生還しているがクリムゾンブレイドには復帰しなかった。


聖印騎士に誇りを持った騎士
デュエイン
「この臆病者め。聖印騎士の名折れぞ」

 グリッソムの兄。弟同様、神の不在を知っているはずだが、神の存在とは無関係に聖印騎士の職務に誇りを持っているようだ。部下を叱咤する厳しさは己に対しても当然向けられている。
 レアモンデ侵入作戦より数時間後にアシュレイに敗北、肉体は消滅している。