記事タイトル:アレルゲン アトピー アレルギー 


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お名前: 山本クリニック・山本 博昭    URL
1.はじめに

生活環境や生活状況及び食生活の変化により、 アレルギー症状を持つ人が急速に増加しています。
いまでは、日本人の約3割強の人が何らかのアレルギーに関係があると言われています。
では、いったいアレルギー性の病気を引き起す原因はいったい何でしょうか。
今世紀における文化の発達は、人類史上かって例のないほど急速で、しかも高度で広範なものといえます。文化の発達は、私達に多大な恩恵をもたらしましたが、反面、自然を破壊し、大気汚染等、さまざまな公害を招いて、われわれの生活を脅かしています。
一方、私たちの暮らしは、生活水準の向上とともに衣・食・住を中心として生活環境も大きく変化してきています。なかでも建築様式の変化は、昔に比べて目を見張るものがあり、より快適なものとなっています。
このような内外の生活環境の著しい変化は、過去にそれほど問題視されなかったダニ・カビなどの汚染生物を住まいに繁殖させる原因となり、アレルギー性の病気など、現代人の健康を犯脅かし始めているのです。

アレルギー性の病気を引き起す5大要因
     


2.アレルギー性の病気について

それではここで、代表的なアレルギーの病気について、どんな病気なのか、原因となる物質(アレルゲン)とは何か、治療方法、防ぎ方についてをお話ししていきましょう。

(1)アレルゲンとは・・?

アレルギー症状を引き起こす原因となる物質です。人は体内に侵入してきた異物に対し、これを撃退しようとする自己防衛本能が働き、異物と特別な反応を示す抗体という物質を作ります。
通常、自己防衛本能は身体に害になるバイ菌やウイルスに対してだけ働くものですが、アレルギー体質の人は、ダニやハウスダストや花粉、時には日常の食物にも過敏に反応し、体内にアレルギー抗体(I・E)を作ってしまいます。この場合のダニ、ハウスダスト、花粉、食物をアレルゲンと呼びます。

(2)代表的なアレルギーの病気

・気管支ぜんそく

・どんな病気

症状は「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」といった息づかい喘鳴(ぜんめい)を伴ったせきが出て、呼吸が苦しくなります。
では、ぜんそくはどのようにして起こるのでしょうか。ぜんそくは、気管支が何らかの刺激により収縮し、気管支の粘膜がむくみ、また、痰もたくさん出てくるため、空気の通りが狭くなるのです。このような一つ一つの呼吸困難を「発作」と呼び、こういう発作を繰り返し起こすのが喘鳴(ぜんめい)とよばれています。

・原因となる物質(アレルゲン)

ぜんそくの場合、アレルゲンとしてはダニやハウスダスト、カビがいちばん多く、幼児では80〜90%、成人でも50〜60%の人がこれらに対する過敏性をもっています。
ですから、アレルゲン、すなわちダニやハウスダスト、カビを身のまわりから減らすことはアレルギー反応、つまりアレルギー炎症を減らすことにになり、ぜんそくの「発作」を少なくすることになります。 

・治療と予防

ぜんそく治療においては各自のアレルゲンを含めた発作増悪因子を見つけ出し、それらを出来るかぎり取り除くことが一番大切なことです。また、過敏性を少しでも低下させるために日頃から運動なども取り入れることが大切です。これを一般的に「生活治療法」といいます。この「生活治療法」を行っても、ぜんそくがうまく完治しない場合は、薬物治療法が必要になりますが、副作用などの心配があるために基本的にはアレルゲン除去を中心とした予防が不可欠です。

・アトピー性皮膚炎

・どんな病気

一言で言ってしまえば、かゆみを伴った湿疹のこと意味します。このような症状を持つ方は、自身あるいはその家族に気管支ぜんそくや花粉症などのアレルギーの病気があることが多々認められることから「アトピー(アレルギー)性皮膚炎」と名付けられました。主な症状としては、そうよう(かゆみ)・皮疹などを増悪・寛解(症状がよくなったり、悪くなったり)を繰り返しあらわれるのが特徴です。

・原因となる物質(アレルゲン)

アトピー性皮膚炎の場合、卵や牛乳など食生活の欧米化により、タンパク質の摂取量が増加したことで引き起されるのをはじめ、犬や猫のフケ・皮屑、花粉などさまざまなものが、ありますが、割合からいうとダニやハウスダスト、カビが一番多く、幼児期以降では70〜80%にものぼります。ですから、アトピー性皮膚炎の発症・増悪にかかわる最重要因子であるダニ、ハウスダスト、カビを制御することは、アトピー性皮膚炎を軽快させるだけではなく、予防の観点からも有用な対策と考えられます。特にダニの糞は花粉の10倍のアレルゲンを持っているといわれています。

・治療と予防

アトピー性皮膚炎の治療には大きな四本柱が必要です。アトピー性皮膚炎の発症・増悪にかかわるアレルゲンなどの増悪にかかわるアレルゲンなどの増悪因子をできるかぎり減らすこと、つまり環境調整です。もう一つは生まれつき落ちている皮膚のバリアー機能をスキンケAで補うことです。この二つを補助するものとして、薬物治療が必要に応じて追加されます。そして、もう一つ欠せない大切なことは、家族の理解と協力です。これら四つがうまく機能してはじめて良好な経過が得られます。

・アレルギー性鼻炎

・どんな病気

アレルギー性鼻炎は、花粉やダニなどのアレルゲンが鼻粘膜上でアレルギー反応を起こすことで、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりを生じる病気ですが、鼻症状にとどまらず、目のかゆみ(アレルギー性結膜炎)や全身倦怠感、頭重感を伴い、日常生活がおかされ壊されることもあり、本人にとっては不快このうえない病気です。ぜんそくやアトピー性皮膚炎同様、生まれつき鼻粘膜の過敏な人に発症します。

・原因となる物質(アレルゲン)

診断はこういった鼻症状がどのようなときに出るのかなどのエピソードに、鼻粘膜の状況の観察、アレルギー検査から原因アレルゲンを見つけます。アレルゲンが花粉のみであれば、その花粉の飛散している間だけ症状がありますが、ダニやハウスダスト、ペットなど身の回りにいつも存在するものでは、年中悩むことになります。

・治療と予防

治療・予防は、他のアレルギーの病気と同様に、原因アレルゲンを身の回りから出来る限り取り除くことが基本です。ですから、多くのアレルギー性鼻炎の方にとってもダニ・ハウスダスト、カビ対策が大切になります。

・アトピー性皮膚炎

・どんな病気

目のかゆみを主症状とするもので、やはり目の粘膜にアレルゲンがくっつき、アレルギー反応が起こり、その結果、目のかゆみや結膜の充血・むくみ、流涙、目やに、異物感、眼痛などを生じる病気です。全人口のうち15〜20%がかかっているといわれます。

・原因となる物質(アレルゲン)

アレルゲンとしては、症状に季節性があれば、スギやヒノキをはじめとする種々の花粉が疑われ、一年中であればダニ、ハウスダスト、カビ、ペットなど年中、身の回りにあるアレルゲンが疑われます。(最近はこのアレルゲンが多くなっています)

・治療と予防

治療と予防の原則は、アレルゲンを排除することです。したがって、ダニ、ハウスダスト、カビ対策が必要となります。

3.原因の多くがダニ! !

気管支ぜんそく児の80%がダニアレルギー

ダニアレルギーをもつ人の割合は、気管支ぜんそく児では、80%以上、成人気管支ぜんそくの人でも50%程度にのぼります。また、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎についても、ダニアレルギーの関与するものが増えていることが報告されており、全体としてアレルギーのある人の70〜80%はダニアレルギーをもつものと考えられます。

住環境・生活様式の変化がダニを増やした原因

生活環境中のダニの増加原因としては、日本人の住環境の変化が第一の原因と考えられます。住環境は大きく、◆建築様式、◆室内様式、◆生活様式に分けられます。
建築様式では、密集性が高く、居住スペースが狭くなり、プレハブづくりやコンクリートづくりが主体となり、縁の下の風通しも悪く、気密化されてきました。
また、室内では、じゅうたんの床や断熱材の壁にビニールの壁紙、アルミサッシの窓といった空間にさまざまな家具を入れ、冷暖房が完備ウれています。
生活様式としては、大掃除や虫干し・衣更えなどの生活習慣の衰退、核家族化・共働きによる布団干しや換気回数の減少、さらには、畳にじゅうたんを敷き、観葉植物を置き、室内犬を飼うといった和洋折衷型に変わってきました。このような住環境が、ダニの繁殖にとって好条件を提供することになってしまいました。

ダニを減らせばアレルギーを予防できる

アレルギーの病気の増加の大きな原因と考えられる住環境のダニ繁殖を防ぐことは、ダニによる気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の症状を軽減するとともに、アレルギー体質の増悪をおさえ込むことができると考えられます。
実際、気管支ぜんそくでは、ハウスダスト1g中のダニ数を100匹以下に減少させると、ぜんそくの症状がほぽなくなることが報告され、20匹以下におさえ込むとダニアレルギーの発症が予防できることも明らかにされています。ということは、ダニをうまくコントロールすることで、わが国における多くのアレルギーの病気を防ぐことも可能と考えられます。




4.ダニ・ハウスダスト対策

ダニ・ハウスダスト対策

みなさん、少しはダニ・ハウスダストの恐ろしさがわかって頂けたでしょうか。ここからは、ダニとはいったいどんな虫なのか。その正体・種類・問題点について詳しく説明していきたいと思います。

(1)ダニとはいったいどんな虫?

ダニは足が8本ありクモに似ていますが、クモは頭胸部と腹部の二つに分かれ、ダニは頭・胸・腹部が一体になっています。
   


☆ダニの大きさと重さ

ダニの大きさは種類によって異なりますが、その多くは体長100〜1000ミクロン(1μ=1000/1・)と非常に小さく、肉眼では見るのがたいへん難しいといえます。
また、日本の家屋でもっとも多く採取されるチリダニ(科)の成虫体重は、1匹平均、約6〜8マイクログラム(1μg=1000/1mg)で、まさに吹けば飛ぶような重さです。


(2)ダニの種類について

ダニは世界で6万種が記録され、わが国では1700種類が記録されています。家屋内から検出されるダは100〜150種類ですが、これは家屋内に生息しているダニと家屋外から侵入してくるダニの合計です。
室内のハウスダストには、ヒョウヒダニ、ツメダニをはじめ、ホコリダニ、イエササラダニなどが主に見つかります。そのなかでも、アレルギーの病気で問題になるヒョウヒダニ属のコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの発生が多く、90%にのぼります。
そのほか、人間に害を与えるものとしてツメダニ、イエダニ、ワクモなど人を刺すものや、ニキビダニやヒゼンダニのように人の皮膚に寄生して、かゆみや皮膚炎を起こすものもあります。


(3)ダニが居住環境で問題となる理由

・ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニ(チリダニ科)

アレルギー疾患は、3人に1人の罹患率と言われるほどで、特にアレルギー性喘息、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎罹患者が多くなっています。アレルギー疾患の原因のすべてがアのダニ類によるものではありませんが、ダニが多数発生する場所に居住すると発症しやすい傾向があります。また、このダニ類は、生虫、死虫、糞のいずれもがアレルゲンになります。 
糞のアレルゲンがダニ虫体よりも形態が小さく、気管に入りやすく、虫体よりも量が多く、アレルゲン活性が高いことから、家屋内で検出されるダニの中では最も注意を要する種類と言えます。
☆主な繁殖地
畳・じゅうたん・寝具・室内布製品
ベッドなどの寝具類、ぬいぐるみ

☆主なエサ
人や動物のフケ、アカ・食品くず
カビ、植物繊維	



・ミナミツメダニ

このダニは8〜9月に異常発生し、人を刺します。吸血はしませんが、人の体液を吸います。新築後5年未満の家屋の畳やウール絨毯に生息していますが、5年を経た家屋でも、冬季の結露の状態によっては翌年の夏期に被害が出ることがあります。
☆主な繁殖地
畳・じゅうたん・寝具

☆主なエサ
ダニ類(共食いもする)・チャタテムシ	


・イエダニ

ネズミに寄生して吸血するダニですが、人からも吸血するダニです。家ネズミ(クマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミ)が人の居住空間に侵入し始め、しかも繁殖しているので、イエダニ被害も増えています。 ネズミは冬季にも多いので、被害は一年中続きます。冬季のダニ刺されはイエダニによることが多いのです。
☆主な繁殖地
ねずみに寄生

☆主なエサ
ねずみ・人・動物の吸血	


・ヒゼンダニ

人に寄生するダニ類で、カイセン症を起こします。人の皮膚(角質)にトンネルを堀って生息し、繁殖もします。 特別養護老人ホーム・幼稚園・保育園などでこのダニの被害が頻発することがあります。
☆主な繁殖地
人の皮膚内

☆主なエサ
人の体液	




〈カイセン症ってどんな病気?〉

「カイセン症」は感染しても潜伏期間が長く、個人差もありますが、1ヶ月ほどで発症します。症状は皮膚患部に激しいかゆみとともに小さな発疹が現れ、ダニが大量に繁殖すると皮膚がカサカサして生気を失い、かきむしると皮膚炎はさらに広がり悪化します。
ヒゼンダニの繁殖を予防するためには、シーツ、パジャマ、下着などは常に洗濯し、清潔なものを使用するようにします。 
(4)ダニの繁殖と成長について

家屋内で生息するダニの繁殖に不可欠な3大条件とは、・ 高温多湿、・ 食べ物(エサ)、・ 潜入場所です。
まず、第一条件の「高温多湿」では、ほとんどのダニが温度20〜30℃、湿度60〜80%を好みます。したがって、高温多湿となる日本の夏はダニにとっても大好きな季節で、自然条件が味方して爆発的に繁殖する傾向が強いのです。
反対に冬場は、ダニにとってもっとも苦手な季節です。しかしながら、近年は住宅事情も改善され、1年中一定の温度と湿度が保たれた住宅では、ダニの生息にも好環境となり、季節問わず、繁殖できるようになりました。
繁殖条件の第2は食べ物となる「エサ」が重要です。ダニの種類によって“主食”に違いはありますが、多くはカビ、食品クズ、室内塵に混じってる、人やペットのフケやアカなどの有機物質を好みます。
繁殖の3番目の条件はすみかで、卵を生むための「潜入場所」です。ダニが潜入場所としてもっとも好むのは、畳のワラ床です。畳の表面や内部はエサが豊富で、ワラ床には適度な温度と湿度がいつもあって“快適な住まい”が約束されているからです。室内でダニの繁殖場所になりやすいのは、畳のほか、じゅうたん。布団、布製品のソファー、結露が発生しやすい家具と壁のすきまなどいたるところにあります。
 
ダニの成長過程は、一般的に卵・幼虫・第1若虫〜第3若虫・成虫と脱皮を繰り返します。繁殖条件が満たされている場合は、早いもので2週間ほどで卵から成虫に育ちます。成長の比較的遅いチリダニ(科)のヒョウヒダニでも、約3〜4週間ほどで成虫となります。
ものすごい勢いで増えることをねずみの繁殖に例えて「ねずみ算式」といいますが、ダニの一時的な繁殖力はねずみの例えを遥かに凌ぎます。繁殖条件のそろう夏はダニの大好きなシーズン
ですが、ケナガコケダニを、夏と同じ温度25℃、湿度75%と想定し、水分とエサを十分あたえた条件下で繁殖を調べた結果、30匹が10週間後に約1万匹となり、四畳半では100万匹以上になり、その爆発的な増え方が実験飼育でも明らかになっています。

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アトピー性皮膚炎


単に『アトピー』ともいい、アレルギー体質(過敏体質)にともなう湿疹である。小児喘息などのアレルギー性疾患も同じ原因で、子供を中心とした若年者に多い。皮膚に傷害が出るだけでなく、慢性的に続くかゆみは子供の精神状態を不安定にさせる。 

アトピー体質は遺伝性とも言われるが、単なる遺伝病ならば、近年急速に増える筈がない。しかしこの数十年間で数倍以上に増加したとされているので、原因は環境の変化であると考えられている。 

原因の一つとして、アレルギーの基になる物質(アレルゲン)が、昔に比べて増えている事が指摘されている。気密性の高い住居は、ダニやホコリを増やし、産業の発達と車の増加は大気汚染をもたらした。食物には人工添加物が混ぜられている。これからも新開発の生活物資が次々と登場することが予測され、それらが更に事態を複雑化させることはほぼ間違い無い。 

すなわち、アトピーの体質そのものは昔から存在した筈なのだが、最近の生活様式の変化や環境変化が発症の引き金を引いているらしいことを理解していただけると思う。 

【症状】 

アトピー性皮膚炎は、年齢によって症状や原因物質に違いがある。 

基本的に、湿疹症状は全身どこでも出るが、年齢によって特徴がある。簡単に特徴を列挙する。 

乳児期
耳たぶ、ほっぺた等に赤い湿疹が出やすい。 

小児期
肘、膝の屈側に慢性の痒みのあるブツブツが出やすい。全般的に皮膚の乾燥が強い。 

思春期・成人期
ほぼ全身に出るが、顔や頸部などにしつこい湿疹が出やすい。 

【治療】 

アトピーは長期間にわたる皮膚病なので、個々の場合に応じて、長期的かつきめ細かく治療して行かねばならない。 

アトピーは生後4カ月までに発症し、その後自然治癒する場合が多いので、原則としてあまり強い薬を使うことはせずに、対処的に治療する。小児期以降は部分的にステロイド外用剤を用いる場合もあるが、基本的には抗アレルギー作用のある内服薬を継続的に内服することが大切である。 

2歳ころまでは食物アレルギーから湿疹が出る場合があるので、こうした場合は食事療法が有効な場合がある。湿疹の直接の原因となる刺激物質(アレルゲン)は、乳児期には食べ物であることが多い。特にタマゴ、牛乳、大豆が3大アレルゲンとして有名である(米国ではタマゴ、牛乳、ピーナッツ)。栄養を吸収する腸の働きが未発達のため、不完全に消化された食べ物が血液に入ってしまうために起こる。 

アレルゲンを含まない食事を採れば症状が改善する場合もあるが、これらはチーズやケーキはもちろん、あらゆるものに含まれている。ほんの僅かでも食事やおやつに入っていれば湿疹が悪化する可能性が高いので、 現実には入院して完全な管理下にでないと食事療法は非常に困難である。家庭で中途半端に行うと、子供の成長を著しく抑制することがあるのでマイナス面が強く、安易には勧められない。 

とはいえ、有害と思われるスナック菓子などを際限なく食べさせたりすることは良くないし、犯人とわかっているタマゴ等を無配慮に食事に使うのは良くない事である。ゼロには出来なくても、アレルゲンの摂取量を減らしながら、栄養バランスを保つことは出来る。3大アレルゲンについて代用品を表にしたので、参考にして頂きたい。現在ではアレルゲンを腸から吸収されにくくする薬もあるので、食事療法と併用しながら治療しうるようになった。 

3、4歳頃になると、腸の働きも正常化するので3大アレルゲンの重要性は減少する。それに代わってハウスダストやダニといった皮膚から浸入するアレルゲンが重要になってくる。これらのアレルゲンから身を守るには、これらが皮膚に付かないように工夫するしかなく、家庭内のアレルゲンを減らすように対策を取る。カーペット、カーテン、下着などの対策は多くの刊行物に書かれているので参照していただきたい。(当院でも「アトピーのスキンケア」というオリジナル小冊子を用意している) 

思春期以降も原因物質は皮膚より侵入するアレルゲンで、学童期と事情は似ているが、症状が多様化する。ほとんどの場合は軽症であるが、なかには治療に抵抗する場合も少なくない。
特に顔面の湿疹は頑固であり、症状に応じた工夫が大変重要となる。顔面の湿疹は、ステロイド外用剤により逆に悪化している場合があるので注意を要する。ここで是非とも注意して頂きたいのは、「ステロイド外用剤は危ない」という事を人に聞いたり、本で読んだりして恐くなり、自分自身の判断で病院で処方されたステロイド外用剤の使用を止めてしまう事である。そうすると、「リバウンド現象」という事が起きて、逆に急激に悪くなる可能性が高い。長年顔面に使用しているステロイド外用剤を止めるには、いろいろな手法を使って時間をかけて行わねばならない。困難を伴うことが多いので、患者さんと医師とが一体となって当たるべき問題である。 

【解説】 

医師が「アトピー性皮膚炎」という診断を下すのには、注意を要する。日本皮膚科学会の作成した診断基準もあるが、これは曖昧で解りにくい。啓蒙書に写真が載っているような、典型的な場合は問題ないけれども、軽症の場合は問題となる。多くの人は、子供時代のある期間、乾燥肌を経験する。これは皮膚の未成熟ゆえの現象なのであるが、ほんの一時的な軽い湿疹であるにも関わらず、乾燥肌の湿疹を「アトピー性皮膚炎」と診断を下す医師がいる。近年アトピー性皮膚炎が増加している、と言われているが、ある部分はこのような医師による過剰診断が含まれているものと思われる。しかしそれらを差し引いても、やはりアトピー性皮膚炎が増えていることは間違いないようだ。 

また近頃では免疫抑制剤配合の軟膏が登場し、ステロイドに依存しがちであった治療にも変化が起きており、次第にアトピー治療のイメージも変わって行くことだろう。 

アレルギーというのは体内の免疫システムが引き起こす反応である。体を外敵から守るために存在する筈の免疫が、なぜ湿疹を引き起こしてしまうのであろうか。免疫には何種類かあるが、その中で、主に関わっていると思われるものは寄生虫排除の仕組みと同じであるため、公衆衛生の発達により寄生虫が激減した現在、暇になった免疫システムが新たな活路をダニやホコリに見出したのだ、という説がある。この線でも新薬開発が進んでいるという。 

食物アレルギー対策

タマゴアレルギーの除去食品
 	食べられないもの	代用できるもの
穀 類	食パン、ロールパン、菓子パン、パン粉、インスタントラーメン、天ぷらの衣、 うどん*、マカロニ*、スパゲッティー*	小麦粉、そうめん、ひやむぎ、中華めん、米、上新粉、白玉粉、ビーフン、とうもろこし、 うどん*、マカロニ*、スパゲッティー*
菓子類	カステラ、今川焼き、きび団子、タルト、どら焼き、ボーロ、かりんとう、プリン、ケーキ類、シュークリーム、ドーナッツ、ババロア、ウエハース、クラッカー、クッキー、ビスケット、ホットケーキ、かわらせんべい、砂糖漬けせんべい*	甘納豆、ういろう、かしわもち、草もち、ちまき、大福もち、ねりきり、ようかん、あめ玉、しょうゆせんべい
油脂類	鶏油	サラダ油、バター、マーガリン、ラード、ヘット、ショートニング
魚介類	だて巻、魚卵、かまぼこ*、なると*、ちくわ*、はんぺん*	生魚、缶詰、貝類、イカ、エビ、カニ、 かまぼこ*、なると*、ちくわ*、はんぺん*
肉 類	鶏肉	牛肉、牛肉の加工食品、豚肉、豚肉の加工食品、羊肉
卵 類	全部	無し
乳 類	アイスクリーム、ミルクセーキ	牛乳、脱脂粉乳、乳飲料、生クリーム、ヨーグルト等
嗜好飲料	インスタントココア	コーヒー、紅茶、緑茶
調味料	コンソメ、マヨネーズ、インスタント食品	醤油、酢、ソース、トマト加工品
* 卵が添加されているものとされていないものがある。 
 
牛乳アレルギーの除去食品
 	食べられないもの	代用できるもの
穀 類	食パン、ミルクパン、クリームパン、コッペパン、菓子パン、インスタントラーメン類	小麦粉、うどん、そうめん、生中華そば、マカロニ、スパゲッティー、ミルクノンパン、とうもろこし、上新粉、白玉粉、ビーフン
芋・澱粉類	インスタントマッシュポテト	きく芋、こんにゃく、さつま芋、じゃが芋
甘味料	ジャム	砂糖、水飴、はちみつ、シロップ、自家製ジャム
菓子類	カステラ、今川焼き、タルト、かりんとう、ボーロ、プリン、ケーキ類、シュークリーム、ドーナッツ、ババロア、ウエハース、クラッカー、クッキー、ビスケット、ホットケーキ、パイ、チョコレート、キャラメル、シャーベット、キャンディー、ドロップ、ワッフル	ういろう、かしわもち、うぐいすもち、かのこ、あられ、せんべい、草もち、ちまき、桜もち、大福もち、ようかん、ミルクノンビスケット、ミルクノンクッキー、らくがん、くずもち、自家製シャーベット
油脂類	マーガリン、バター	植物油、ラード、鶏油、ショートニング
肉 類	牛肉、牛肉加工品、羊肉、焼き肉、ハム、ソーセージ、ゼラチン	鶏肉、豚肉、うずら肉、馬肉、かえる肉、かも肉、きじ肉、くじら肉、七面鳥肉、すずめ肉、すっぽん
乳 類	牛乳、コーヒー牛乳、フルーツ牛乳、粉乳、やぎ乳、クリーム、ヨーグルト、フルーツサワー、その他の乳酸菌飲料、練乳チーズ、アイスクリーム、バター、その他の乳飲料	除去乳
嗜好飲料	インスタントココア、粉末ジュース、市販のジュース、コーラ、サイダー	緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、プラッシー
野菜・果物類	果物の缶詰	生の野菜・果物類
調味料	ビーフコンソメ、市販のルー(カレールー、ホワイトソース)、ポタージュスープの素、インスタントスープ	塩、しょうゆ、酢、みそ、トマトケチャップ、トマトピュレ、ソース、ドレッシング、みりん、自家製のルー

 
大豆アレルギー除去食品
 	食べられないもの	代用できるもの
穀 類	パン、パン類、揚げめん、ポップコーン、マカロニ*、スパゲッティー*、インスタントラーメン類*	小麦粉、干しうどん、そうめん、生中華そば、マカロニ*、スパゲッティー*、そば、米、もち米とうもろこし、上新粉、白玉粉、ビーフン
芋・澱粉類	マッシュポテト、ポテトチップス、フライドポテト	きく芋、こんにゃく、さつま芋、じゃが芋、澱粉、はるさめ、山芋
菓子類	あんこ類、ようかん、まんじゅう、おはぎ、もなか、ごかぼ、みつ豆、あんみつ、カステラ、タルト、かりんとう、あられ、ボーロ、クッキー、揚げせんべい、スナック菓子、しょうゆせんべい、パイ、プリン、ケーキ、シュークリーム、ドーナッツ、ババロア、ワッフル、菓子パン、ホットケーキ、ウエハース、クラッカー、チョコレート	ういろう、白玉フルーツ、ちまき、あめ玉、ゼリー、自家製シャーベット、自家製スイートポテト、塩焼せんべい
油脂類	ほとんど	パーム油、コーン油、ごま油、綿実油、米油の純粋なもの
豆 類	大豆、みずき、いんげん、えんどう、グリーンピース、そら豆、もやし、豆腐、油揚げ、がんもどき、練り豆腐、豆腐ちくわ、納豆、味噌、しょうゆ、おから、豆乳、ゆば、きな粉、ひよこまめ、ライマ豆、りょくとう	無し
魚介類	油、味噌、しょうゆを使ったもの(油漬け、佃煮、みりん干し、くんせい、みそ漬けなど)	生もの、干物
肉 類	油、味噌、しょうゆを使ったもの	生もの、干物
乳 類	アイスクリーム、バター、クリーム	牛乳、純粋な生クリーム、ヨーグルト、粉乳、練乳、チーズ
嗜好飲料	ココア、コーヒー	緑茶、ウーロン茶、紅茶
調味料	しょうゆ、味噌、ソース、マヨネーズ、ドレッシング、ルー	塩、コンソメ粉、トマトケチャップ、トマトピュレ、みりん、大豆ノンしょうゆ、大豆ノン味噌
* 油を使用しているものと使用していないものがある。
大豆アレルギーの場合、除去食品は広範囲となる。

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