記事タイトル:山本クリニック 山本博昭(脳神経外科専門医・外科認定医) 「思考過程について」 


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お名前: 山本クリニック 山本博昭(脳神経外科専門医・外科認定医)    URL
緊張型頭痛症候群・緊張型背部症候群にも関連する
「思考の方法」の「異常」



1.思考過程(思路)の異常 
思考の筋道、進み方が障害されたものである。 
 
a. 保続 perseveration, Perseveration 
 これは同じ観念が繰り返し現われ、先へ進まないことで、
質問は変わっていくのに、答えは同じものが繰り返される現象である。
脳の器質性障害の際、巣症状などとともにみられる。
これと似ているものに 常同 stereotype,Stereotypie があるが、
これは質問に関係なく無意味に同じ言葉を反復するもので、精神分裂病でみられる。 


 b. 迂遠 circumstantiality, Umsta:ndlichkeit 
 まわりくどくて、細かいことを長々と話し、なかなか結論に至らない。
しかし、思考目的は失われていないので、ひどい脱線はない。
迂遠思考の結果、枝葉のことばかり話してなかなか本論に入らず、
話が長くなって理解しにくくなるのを 冗長 prolixity, Weitschweifigkeit という。
てんかん、精神遅滞、老人などでみられる。 
 

c. 思考制止 inhibition of thought, Denkhemmung 
 考えの進み方がブレーキをかけられたように遅くなるもので、
「考えが浮かばない、頭がからっぽになった」というように訴えられる。
うつ状態にみられるもので、次の思考途絶とは区別される。 


 d. 思考途絶 blocking of thougth, Denksperrung 
 思考の流れが途中で突然停止してしまう状態である。
話し中に急に黙ってしまい、ややあってまた話し出すもので、
唐突で不自然な感じをうける。主観的には急に考えがなくなった、
抜き取られたと訴えられる。
これを 考想奪取 thought withdrawal, Gedankenetzung という。
この思考途絶は精神分裂病に特徴的なものである。 


 e. 観念奔逸 flight of idea, Ideenflucht 
 考えの進み方が早く、次から次へと連想が起こるが、
結びつきは表面的で語呂合わせや単なる言葉の関連のみで統制がなく、
話は次第にわき道にそれてしまう。ひどい場合はまったくまとまりがなくなり、
 観念奔逸性錯乱 ideenflu:chtige Verwirrtheit となる。
この観念奔逸は躁状態や酩酊時にみられる。 


 f. 思考滅裂 Zerfahrenheit 
 考えの進み方に連絡や統一がなくなり、
全体としてなにを言おうとしているのかわからない。
ドイツ学派では意識清明な状態でこれが起これば滅裂といい、
意識障害を伴うときは 思考錯乱 incoherence, Inkoha:renz といって区別している。
この程度が軽い場合は、話のまとまりが悪くなり、 
連合弛緩 loosening of association, Assoziationslockerrungとよばれる。
また、極端になると単なる言葉の羅列となり、 
言葉のサラダ word salad, Wortsalat となる。
これらは精神分裂病に特徴的にみられるもので、
言語の形式や概念が崩壊したために起こると考えられる。
言葉に違った概念を与えたり、まったく新しい言葉をつくったりして、
他人にはわからないその人だけの独特の意味づけをすることを
言語新作 neologism, Wortneubildung という。 



A.児童期の精神分裂病/schizophrenia in childhood 
 児童期に発病する精神分裂病については、クリペリン Kraepelin、E.
の早発痴呆の調査では、10歳以前に精神的な問題があったものが
3.5%であり、ブロイラーBleuler,E.の精神分裂病患者の観察では、
思春期前に発病するものが4%とされている。
一般に、成人型の精神分裂病の発病は10歳頃からであり、
学童期以前にみられる分裂病様状態を精神分裂病とするには
少なからぬ問題が残る。別項にあげた
最早痴呆 ・A HREF="psy00303.html">ide.Sanctis,S.)、
ヘラー病 (Heller,T.)、早期幼児自閉症 (Kanner,L.)、
共生幼児精神病 (Mahler,M.)などもかつては
精神分裂病の早発型ないしは幼弱型としてとらえられたこともあったが、
現在では別種のものと考えられている。 
 また、小児精神分裂病(childhood schizophrenia)については、
ポッター Potter,H.W.(1933)やブラッドレー Bradley,C.(1941)らは
患児の行動特性から診断基準として、周囲に無関心で自閉的であり、
思考面では途絶、保続、象徴化などの種々の障害があり、
感情の硬化、歪曲や共感性の欠如などがあり、情緒的な接触がとれず、
奇妙な行動、常同行動や活動性の低下がめだち、
批判などに異常に過敏であるなどをあげた。
しかし、これらの症状も幼児自閉症児や発達途上に脳器質性障害をもち、
周囲の人々とのコミュニケーションがとれなくなった幼児や学童にもみられ、
小児分裂病の特有のものとはいえない。
1975年以来のコルビン Kolvin,I., ラター Rutter,M.らの
系統的研究や牧田の発病年齢の分布などから、
児童期 childhoodという修飾語は不用であり、
児童期精神分裂病は成人の分裂病が学童期に発病したものと考えるべきであるとされている。 

1.児童期に発症した精神分裂病の症状 
 症状は慢性ないし亜急性に発現する。患児は周囲への興味を喪失し、
次第に意欲が低下していく。
感情は硬化・歪曲し、共感性がなく、周囲の人々と感情的接触がもてなくなる。
思考は自閉的で、途絶・保続・象徴化などがあり、
奇妙な行動や常同行為、強迫行動、自閉的行動などの行動異常が出現する。
成人に比較して、妄想の内容は比較的単純で、関係妄想や被害妄想が比較的多いが、
体系的ではない。
幻覚も比較的単純な幻聴のほかに、幻視、体感幻覚や白昼夢などが前景に立つことが多く
ときには意識障害を疑われることもある。
実際には、当初は登校拒否、強迫神経症、うつ状態、人格障害、家庭内暴力、学校不適応などと
診断されていたもののなかから、次第に分裂病症状が顕在化してくるものもあり、
思春期の患者では成人の症状と類似してくる。 

2.治療 
 原則的には成人の精神分裂病とほぼ同様であるが、発達途上の児童ではできるだけ
入院を避け、家族や他児とコミュニケーションの断裂や孤立化させないことが必要である。
抗精神病薬を投与し、
問題のある症状を軽減するとともに、積極的な生活指導や家族への指導を行い、
コミュニケーションのゆがみや障害を悪循環的に増強させないように努力する必要がある。

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